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神々の愛し子  作者: chima
開かれた扉
9/32

食事はお膝でいただきます


チュチュン チュチュン



『おはようございます』



「ん~?」



ふかふかのお布団は羽根のように軽く柔らかい。まるで雲に乗っているかのような心地よさ。



外からは鳥のさえずりが更に眠気を誘う



起きなきゃとは思っているものの脳が覚醒しきってくれないため夢と現実の狭間を揺蕩う



コンコンコン

『あら、こんな早くに誰かしら・・・・・・』


『-------』

『---------』

『--------』



なんだか、騒がしいような。高い声と低い声、にゃーという猫の声。ピチュチュと鳴く鳥のさえずり。ガヤガヤガヤ



遮るよう毛布に潜り丸くなる。


もともと寝起きは悪くないはず、ただ、たまに、ほんのたまに酷く寝起きが悪くて起きれないことがある。そのため、普段はバッチリ目覚ましをセットしている。



『ルナ、まだ眠いのか?』


「……んん」


『ふふ、仕方あるまいな』


バサッ


『殿下!!! 恐れながら、お子様といえどレディでございます! いけません!』


『そうです! 私が替わりますので!』


『みゃー!』


やっぱり、美形さんとエリーさんに、ヴァルトさんの声だったよね。あとフィーさんの鳴き声?こんな声だったはず。


ん?


それ誰だっけ……?


確か……昨日……


「……ん?」



ぼーっと事態の把握に思考を巡らせる。


あれ、確か昨日……


『おや、騒がしくて起きてしまったではないか』


『おはよう』と素敵な笑顔と美声


…………ん?んんん?……んうぇ?!


「ななな、なな !!!」


『うん?面白い顔してどうした?』




ふわふわな雲に乗っていた気分から急速に現実の感覚が戻ってくる。首から下は肌触りの良いコットンのタオルケットに包まれ拘束された状態。抱き上げられて何処かへ移動……。



寝起き早々イケメンが自分を抱き上げてて、良い声なのは素敵だけど、って、そうじゃない!


なんか失礼なことを言われた気もするけどどうでもいいか。



子どもならまだしも、高校生にもなって寝たまま抱き上げられて移動なんて恥ずかしくて、情けなくて………。


そもそも、物心ついてから抱き上げられた経験なんて昨日がはじめてで、お姫様抱っこなんてこれが初めて。まあ、赤ちゃん抱きかもしれないけど……。



「……ふぅ」


疲れた。



『良い子だ。そう、大人しくしていなさい』


柔らかく、しかし反論させないよう釘は刺されると溜め息しかでない。いろいろとおかしいとは思わないだろうか。



余計なお世話だろうし、今から警戒されて捕らわれても困るが、昨日突然現れた不審人物を王族の部屋のそばに泊まらせたことや、こうしてフレンドリーというか、甘やかしは不思議でしかない。



なにか罠があるのか……?

そう疑うくらい甘い扱いをうけている。ましてや、日本から来たとか話して神様がどうとかよくわからないけど話したもん。何か利用価値があるとか、アニメみたいに人体実験の材料になるとか?肥やして食べるとか?


ガチャ


『準備はできておるか?』

『はい。完璧です!アレク殿下!』


何が何やら、昨日の部屋に入ると始めてみる美形さんの問いに答えるコックさんらしき男性とメイドさんと執事?なのか男性は、せっせと食事のセットとお花の準備、手から光を出して何かしていたりと忙しそう。


『ご苦労。ほら優月も座って朝食を……ぷっ、いや、すまない。それではソナタの額しか見えぬな……ふふ』


「……届きません……」


メイドさんたちは、どうしましょう!といったように慌てだす。


テーブルの木目を見つめながら、いまいちどグルグルと考える。今更だけど初対面で剣を突きつけてきた相手が今日は甘甘と違和感しかないが、食事を貰っても平気なのだろうか。毒ははいってないだろうが。


『おやおや、また眠り姫になってしまわれたか?』


「!!!」


『残念ながら良い解決方法がないので私が抱き上げてさしあげましょう!』

『ならば、私の膝へ来ればよいではないか』

『いいえ、殿下はそちらでお召し上がりください。私は食事を済まして参りましたので』


現れたヴァルトさんと美形さんの攻防はヴァルトさんに軍配が上がり、美形さんの向かいで膝を椅子とさせてもらい雛鳥のごとく食事を与えられることになってしまったのだった。


答えは出ないものの拒絶することも出来ないので好きにして!なんてなげやりな気持ちで身を任せる。


『ルナさんは、お嫌いなものはございますか?』


「いえ、何でも食べられます」


『ほう、幼いのに感心だな。良い子だ』


なんだこれ。警戒したものの、ご飯は始めて見る食材ばかり。好奇心には逆らえず口に運ばれるままパクリといただくが、どの料理も美味しくて、どこかしっくりくる味付けで普段食べている味よりもむしろ好みかもしれない。



周囲から生暖かい視線を受けながらもデザートまでしっかり頂いて、とても満腹満足結構でした!ぷふぅ



「ごちそうさまでした」


『もうよろしいのですか?』


「はい。お腹一杯です。美味しかったです。」


『気に入ってもらえてよかった。


そうだ、ひと休みしたら神殿へ行こう』


「神殿?」


ヴァルトさんの説明によると、この世界では神様が空想とか伝説の存在ではなく、実態をもって実際に逢うことができるという。勿論、特別で気高い扱いではあるらしく神殿をつくり神託を授けていただいているらしい。


詳しくはわからないものの、とにかく神様に逢うことで日本についての情報を得られるかもしれないとのこと



『ルナの身支度を頼む』


『かしこまりました』


『ルナ、またあとで』


静かに控えていたエリーは軽く礼をしたのち「失礼します」と軽々と優月を抱き上げ部屋へ戻るのだった。




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