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神々の愛し子  作者: chima
神様のてびき
30/32

良薬調剤致します


『では、そちらのコルンコルサの実を叩き布で搾りましょう。瓶容器に保存魔法を掛けてあるのでそちらへ淹れましょう。出来たら果汁を少しずつタムの乾燥葉に併せてすり鉢でゴリゴリしますよ』


「はい! コルンコルサは何粒使えば良いでしょうか?」


『だいたい潰してタムがしっとりする位なので普段は葉30枚に対して実を15個位ですが、全部で60:50ですから、そうですねえ、今回は薬効の高い時間に採集したのでタムを20枚コルンコルサを10個にして残りは陰干しと液漬けにしましょう!』


「りょうかいです!」


るんるるんるーん♪ ふんふふーん♪



今日は収穫した樹木果実薬草を使い、かねてより話が上がっていたニコさんによる薬剤講義第何回目かとなっております。


これまでと違い、今回から初の調剤……薬剤作りです!資格取得のための大切な知識なので聞き漏らしのないように真剣です。


同行者は用事があるというフィーさんに替わり、エリーさんが補助補佐役兼護衛として普段のフィーさんの役を担ってくれています。(危険植物の排除など)



「ネットの袋にコルンコルサをいれて……麺棒で軽くトントン……柔らかくしてから……ネットを綿布で覆ってギュー! ……できません……」


『……あら』


横でお手本をみせるニコさんの動作を口に出しながら真似してみるものの、手でギューっと搾っても体格の違いの弊害……力が違うせいか絞れません。


しょんぼり


ぽたりっ、ぽたりっ、対して隣をみるとビシャー、私が頑張って林檎を手で搾ってみた程度だとすればニコさんは桃でも搾ったかのような違い。



元々、ライチのような仕組みで更に栗のように硬い皮を叩いて搾る手法だけれど、力が少ないルナには叩きが甘かった様子。



『ルナ様はもう少し叩いても宜しいかと思います。網と布で皮は出てきませんので思いっきりいっちゃってください』


バンバンバンッ


ふぬぬぬぬっ!


『はい! よろしいですよ。続いてぎゅーっと搾りましょう』


ぐぬぬぬぬっ!


『そうです! 上手ですよ』


ぼこぼこに叩き上げたことで汁が出やすくなりニコさんの倍の時間をかけて漸くできました。出来上がったそれを保存処理された瓶へ移します。



『続いてあらかじめ陰干しで乾燥保存させておいたタムの葉をちぎりながらすり鉢へ淹れましょう』


「どのくらい千切りましょう?」


『すりつぶすので規定はありませんが、力を使わないで済ますためには細かい方が宜しいかもしれません』


「細かくですね! 頑張ります!」


ぺりぺりぴりぴりぺりぺりぴりぴり


『出来ましたら先程のコルンコルサの液を少量ずつ加えます。最終的には全量使います』


「はい!」


『乾燥後は水吸収しにくいので他の調合よりも水分が多めとなります。ここは注意ポイントですので覚えておきましょう』


「りょうかいです!」


『さあ、次はすりこぎで摩っていきましょう。中央へ集めるように意識して、このようにします』


「はい!」



この動作はとろろ汁を作るために何度も行った動作ですので得意です。ひとりで摩るのは大変なんですよね。でも、達成感がたまらんのです。


『上手ですよ。そうしましたら、最後に濾す用の布で軽く搾ります』


「軽く……」


『水分が滴り落ちない程度です。はい! その辺で!』



「おおおー!」


完成いたしました。目の前には保存容器に容れられた搾ったタムの葉と、保存瓶へ容れられた調合液。なんと、両方共に薬効があるため薬になるという何ともエコなお薬です。



『お見事でした! こちらの液状のものが薬効が強くなりますので、体調不良の際にお使いいたします。医師の許可または資格の取得後にお使いする事が望ましく思います』


「はい。こちらは医務室の保管庫に管理していただこうと思います」



『それがよろしいですね。搾ったあとの方は再度乾燥させて磨り潰し疲労回復の栄養剤としてお使いいただけますのでお持ちください。それでは本日はここまでとしましょう。本日も大変優秀でございました』



「本日もありがとうございました」



せっかくつくった栄養剤だから忙しくしているアレクに差し上げたら疲れも改善してくれるかな。近頃、眉間に皺をよせてため息ついている姿をよく見かけます。肩もガッチガチなんです。



そうなると、乾燥させなきゃ……


「乾燥……、エリーさん……」


『はい。どうなされましたか?』


「この薬種を乾燥させたいのですが……いつも髪を乾かしていただいているようにお願いできませんか」


温風冷風を使い分けて髪を乾かしてくれるエリーさんですが、時間がないときは風ではなく水分をすいとるように乾かしてくれるのです。その要領でパリッと乾燥できないかと思ったのです。


『もちろんお手伝いさせていただきます。では、熱を与えずに水分を吸収したのち食材乾燥に使う魔法を使用いたしますね』


「わー! すごいです、使い分けがあるんですね!」



くすくすと笑われて子どもみたいにはしゃぐ自分が少し恥ずかしかったです。なので抱き上げてもらった自室までの道はエリーさんの肩口から後ろを眺めて顔を隠しました。




「アレクさま……アレク、いつもお仕事ご苦労様です」


もじもじと一生懸命言葉を紡ぐちいさな少女の姿に頬を緩める王子様と猫型従者の心は忙しさのなかに見つけたオアシス的な時間を満喫中。1日の執務が終わり疲労困憊ながらも日課のルナとの夕食を楽しみに意気揚々と部屋へとやってきたら、少し照れながらも気持ちを伝えようとする可愛い子と遭遇したのだから疲れなど飛んでいった心地でした。


『ルナに労ってもらうと疲れが吹き飛ぶよ、ありがとう』


「それは私も嬉しいです、えへへ。 ですが、やはり身体はお疲れでしょうから無理はなさらないでくださいね。それで……あの、少しでも疲労回復のお手伝いが出来たらと思いまして本日の講義で栄養剤をつくったのでアレクにお持ちいただけたらと思って。もちろん医務官の方にも確認して許可はいただけました!」



皇族しかも次期皇帝ですから品質確認、安全確認は厳重に確認しました。何かあっては責任とれませんので!



『ルナがつくった薬か。嬉しいよ。大切に飲ませてもらうよ』



就寝前に服用してもらえるとのことでよかったです。その後は普段通りに食事をすすめ入浴を済ませて寝台に入り夢の中へ。とても疲れた1日のでした。





『……フィー、ルナから疲労回復薬をもらったけど……これって苦薬(くやく)だよな。すっげー苦いやつ。苦手なんだよなぁ、いやいや、だけどルナのつくった物を飲まない選択はないよな! よしっ!


………ぐふぉっぐぅぅ』


チーン



『フッ』



寝台で猫型のフィーへ呟き自己簡潔そして気を失った主をみやり、鼻で笑った従者は見目麗しい人型へと戻り残務を片しに去っていった。



翌日、起床した皇子は身体の毒素が引いているようなスッキリした心地で元気に執務へ向かったのでした。

台風やら災害やら皆様ご無事でしょうか。今年の異常気象は本当に異常でこわいですね。せめて、避難を強いられたときに身を護るため避難袋は管理しておかねば!


靴と口腔衛生にマスク、水なども大切ですが大規模避難となると感染予防も身を護るひとつ。非常時対策見直そうと思います。

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