4 チーム47
鵠沼の沿道
「ねえ、麗香さん?」
「何? 雪乃さん」
「早乙女くんは本当にこのレースに出ているんですか?」
「当たり前じゃない、出てるはずよ、ほら?」
鎌学女子寮総長の華宮麗香は沿道の看板にあるQRコードから、出場選手の中にチーム47に早乙女春風の名前を見つけ「どうだ」とばかりに周りに見せつけた。
「でも、遅いですね。先頭を走ってた選手たちからして、かなり遅くないですか?」
田中エリーが口を挟む。
「このままだと、レースは終わったもう同然だ!」
そのセリフに、一同は冷ややかな視線をエリーに向けた。
「私たち鎌学女子寮からも神楽紗矢香も参戦してますが」
「サーフィンの子ね」
あんたたち、何やってるのよ!
これまでにもう、40選手くらいが通過しているわよ!
「総長! 次の選手が見えてきました!」
「どれ? 神楽か、いや早乙女もいる」
沿道が湧く
「寮長、ガンバレ!」
「寮長、ファイト!」
「紗矢香さん、お兄ちゃん、ガンバレ!」
ん?
お兄ちゃん?
あら、
早乙女の妹・詩織は、
今日は来ないと言っていたが?
麗香か振り向くと、
山科学長の娘が、
そこで、
応援をしていた。
「楓ちゃん、いつの間に?」
「さっき総長を見つけまして、こっそり駆けつけました」
相変わらず、
愛らしい。
あのイカつい、
山科学長のご息女とは、
思えぬ愛らしさ。
いかぬ、
応援をせねばなるまい。
「早乙女! ガンバレ!」
ドローンが紗矢香らをを捕捉
「こちら、スローペースをいち早く抜け出した、ゼッケン47の神楽選手、続いて常盤選手に早乙女選手が続いております」
気づいたか、
紗矢香。
「如月プロ、どうですか、この走りは?」
谷山さんでなくて、
俺に振る?
「そうですね、良い流れを作りそうですね」
「ありがとうございます」
それだけ?
「ちょっとカメラを遠めにしてもらって下さいよ」
谷山が話に飛び込んできた。
「ついに、来ましたよ!」
「おっと、超スローペースから次々と選手たちが抜け出しています」
「チームゼッケン4のゲルニカの鹿島光一選手を先頭に、5番の天野開選手と続々と抜け出しています」
変わる展開
先頭集団が茅ヶ崎東海岸南の折り返しポイントに差し掛かる頃、後方集団もややスピードを上げ、中間地点になる辻堂海浜公園公園東駐車場前交差点に、紗矢香たちはさしかかっていた。
「後ろの方で、沿道が盛り上がってるみたいだけど……」
「そうね、私たちが先に飛び出したとは言え、あってないようなマージンだけど」
「僕らのペースはそんなに早い訳ではないから、まだまだ、ペースは上げられるよう」
「ええ、あたしも、行けますよ」
凄いなぁ、
私、
これでも、
頑張った方なんだけどな。
「私はこれ以上は無理よ。だから、遠慮なくね」
「僕らは先には行かないから、一緒にレースするよ」
「そうですよ、あたしは紗矢香さんについて、ずーっとついて行きたいんです」
みんな。
「そんな作戦だったわね、じゃあ目標はあくまで3人一緒に70位に入りましょう!」
東海岸南折返し地点
「見て、折返し地点よ!」
「なんか掲示板があるよ」
「通過者の人数かしら? 51って出てるわ!」
「ここからね」
折返しをした紗矢香がふたりに伝えた。
「この先のサーフィンボードロッカーについて説明するから、よく聞いて」
「はい」
「サーフボードは必ず自分のボードを使用すること」
「当たり前のことだけど、それが意外にミスを犯す可能性がありそうなの」
「どう言うこと?」
「簡単に説明するとね……ゴホゴホ」
息切れ?
「とにかくボードは間違えないように! 自分のボードが見つからなかったら、ボード管理者に話せば、代わりのサーフボードを借りられるから」
間違えて使用した場合は、
どうなるのかな?
「間違えた時点で失格よ」
えっ、失格なのか。
気をつけねば!
「見えてきた! ボードハウス!」
「ビーチは……えええっ?」
春風はその光景に言葉を失う。
登場人物
1華宮麗香
鎌倉学院高等部3年の女子寮の元締めである総長。
早乙女が寮長時代には敵対的関係にあったふたりだが、彼が退寮をするあたりから良好な関係が見栄え始めた。
2田中エリー
鎌倉学院高等部3年で女子寮のお茶らけキャラ。
3石原雪乃
早乙女の同級生で高等部1学年長。
微力ながら早乙女肩を持つ。
4山科楓
女子寮に生活する鎌倉学院中等部1年生で、学長の娘であり、春風に家庭教師をしてもらい、「お兄ちゃん」と慕っている。




