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ファルクエン戦記  作者: 結城 からく


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第13話 獣の戯れ

 俺は唯一の味方を見る。

 そいつは腰を抜かして小便を漏らしていた。

 しかも情けない声を上げて泣いている。


(くそ! 役立たずがっ!)


 俺は心の中で悪態をつきつつ、アーデ兵に向かってナイフを投擲した。

 回転するナイフは奇跡的な軌道を描き、セイクの顔面に突き立つ。


「おぇっ」


 白目を剥いたセイクが仰向けに倒れた。

 大将を攻撃されたことで敵兵は騒然としていた。


 その隙を逃さず、俺は殺されたばかりの水の祝福持ちに触れる。


(これで使えるはず……!)


 俺はアーデ兵に向けて手をかざすと、気合を入れて叫んだ。


「とにかく何か出ろォッ!」


 手から小さな水の球が滲み出して、ふよふよと浮上した。

 水の球はほどほどの高さでぱしゃんと破裂する。

 それだけだった。 

 攻撃とも言えない攻撃に、アーデ兵は戸惑っている。


 俺は頭を掻き毟って唸った。


「全然だめじゃねえか、ちくしょう……!」


 その時、セイクがいきなり起き上がった。

 彼は顔面にナイフが食い込んだまま大笑いする。


「はっはっは! 面白い一発芸じゃないか! まあ、祝福の扱いが未熟なだけだが!」


 セイクは顔のナイフを乱暴に引き抜いて捨てる。

 再生の祝福によって、抉れた傷が瞬く間に塞がって治っていった。

 顔の血を拭ったセイクは棍棒を振り上げる。


「俺がやる! お前らは何もするなッ!」


 兵士に命じたセイクが嬉々として跳びかかってきた。

 駆け引きも何もない馬鹿正直な一撃で、小便漏らしの頭が爆散する。

 血飛沫を浴びたセイクは、凶悪な笑みを深めて俺に告げる。


「あとはお前だけだっ!」


「うるせえ! ぶっ殺してやる!」


 勢いで負けたら終わりだ。

 そう考えた俺は、殺気を全開にして襲いかかる。


 セイクの振るった棍棒が額に命中する瞬間、俺は皮膚を硬化させた。

 とてつもない衝撃と共に、皮膚がバキバキと割れる音が響き渡る。

 視界もぐにゃぐにゃに歪んだが、俺は死ななかった。

 即死級の棍棒を耐えたのである。


「おおおおおおおおおぉぉっ!」


 俺はセイクの両肩を指をめり込ませる。

 肉を突き破って骨を鷲掴みにして、そこから全力で右腕をもぎ取ってやる。


「おおっ!? やるなぁ!」


 驚くセイクが、残る左腕で棍棒を振るおうとする。

 その前に腕を引き千切ってやった。


 両腕を失ったセイクだが、断面から小さなが手が生え始めていた。

 本人もまったく痛がっていない。

 これくらいの傷は慣れているのだろう。


(とんでもない再生力だな)


 俺はセイクの髪を掴んで引っ張り、無防備な首に手刀を打ち込む。

 硬化させた指に怪力の祝福が合わさり、セイクの頭部を胴体から分離した。


 転がった頭部を抱え込んだ俺は、無我夢中で殴りまくる。

 頭部の断面から胴体が生えてこようとするので、拳で丹念に殴り潰して妨害した。


「このまま、死ぬまでっ! 殺してやる! 再生できるもんならやってみろ!」

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