第12話 大歓迎
硬化した皮膚を見て、俺は拳を握って喜ぶ。
「よし、いけた!」
感覚的に使えるのは分かっていたが、無事に能力が発動したことに安堵する。
今使ったのは、酒場で絡んできた大男サグの祝福である。
やはり死体に触れることで、そいつの持つ祝福を奪えるらしい。
続けて何度か矢が飛んでくるも、俺はすべて無傷で弾いた。
硬化は簡単に連発できた。
ただし持続させるには集中しなければいけないようで、危うく射殺されるところだった。
慣れるまでは瞬間的な防御に留めておく方がよさそうだ。
そうして俺が砦の門前まで辿り着いた時、他に生き残っていた傭兵は四人だけだった。
青髪の男の頭上に、大きな水の球がふよふよと浮かんでいる
球の中には矢が沈んでいる。
(なるほど、祝福で攻撃を防いでここまで来たのか)
他の三人は青髪の男に頭を下げて感謝を伝えている。
俺は硬化の祝福の検証に夢中で気付かなかったが、たぶん彼に守ってもらったのだろう。
水の祝福を持つ男は門に両手を当てて俺達に忠告する。
「下がってな。派手にぶっ飛ばしてやろう」
刹那、巨大な水の球が門を吹っ飛ばした。
とてつもない威力だ。
祝福を鍛え上げているのがよく分かる。
優雅に髪を撫でた男は、意気揚々と砦内に乗り込んだ。
「よし! 俺に続けッ!」
次の瞬間、男の顔面に棍棒が炸裂する。
頭部が半分ほどの厚さまで潰れた男は、耳から血を流しながら倒れる。
そして二度と起き上がることはなかった。
「おっしゃぁ! 祝福持ちをぶっ倒したぞー!」
そう叫んで棍棒を引き抜いたのは、ボサボサの髪の男だった。
なぜか上裸にズボンという格好で靴も履いていない。
男の背後に控える兵士達は彼をしきりに賞賛していた。
「さすがセイク様!」
「見事な一撃ですっ!」
「残りの奴らも殺しましょう!」
胸を張って前に進み出たセイクは、俺達を見回して獰猛な笑みを浮かべる。
そして堂々と名乗りを上げた。
「やあ、ファルクエンの諸君! 俺の名はセイク! 不死身のセイクだ! よろしくぅッ!」
言い終えたと同時に、セイクが全力で殴りかかってくる。
横殴りの棍棒が、棒立ちだった傭兵の頭部をあっけなく粉砕した。
さらに回転したセイクの振り下ろしが別の傭兵の顔面を陥没させる。
砦に侵入する前に、ファルクエン側の傭兵は残り二人となってしまった。




