第十一話(最終話):幸せな後日譚
「リリア! 待って! またダリウス兄上のところに行こうとしてるだろう!」
昼下がりの午後、離宮の裏庭で騒がしく追いかけ合うリリアとアレクセイの姿があった。
逃げるリリアの手には単眼鏡がある。明らかに「宝石」を見に行こうとしている。
「ち、違いますよぉ、アレク様! 私は、お義兄様のダイヤモンドの輝きが、今日の天候だとどう変化するか確認しようと思っただけなんですーっ」
苦しい言い訳をしながら息も絶え絶えになっているリリアをアレクセイはあっさり捕まえる。
伊達に夜な夜な街中を駆け回っているんじゃない。
「あのね、それを『浮気』と言うんだよ! 君は僕の瞳だけ見ていればいいと言ったはずだよね!?」
「むぐっ……。で、でもぉ……」
アレクセイに頬を掴まれてリリアは半泣きになって、アレクセイに涙目で抗議する。
だって、天下無双の『宝石眼』なんですよ!見られる時に見ておかないと駄目じゃないですか!
宝石オタクの血が騒ぐのだから、仕方がないのですっ。
「……はぁ。もう仕方ないなぁ。今夜は特別に、キャンドルの数を増やして、君が好きな『カラーチェンジの瞬間』を何度でも見せてやる。……だから、ずっと僕のそばにいろ」
好きなこの涙に弱いのは世の男性の常。アレクセイも例に漏れず、リリアの涙を目にして、あっさり折れた。
この場合、リリアがダリウスのもとに行くのを防いだのだから、そもそもの目的はすでに達しているわけで、さらに、これで一晩中ずっと一緒にいていいってリリアのお許しが出たわけだから、アレクセイにとって一石二鳥なのだから、折れる以外の選択肢はなかった。
「!! やったぁ! 大好きです、アレク様!」
「……調子がいいな、本当に」
いつものように呆れながらも、満面の笑みで抱きついてくる婚約者をアレクセイはしっかりと抱きとめて、その柔らかい頬にキスをする。
もちろん、彼女の左手にはジェムエンゲージが煌めいている。
これまでの昼行灯か裏の顔の彼しか知らない人間が見れば、驚くような優しい笑顔を浮かべた。
リリアの言うところの世界でたった一つしかない美しいその緑色の瞳は、幸せの色一色に染まって細められているのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
宝石オタク令嬢リリアと屈折した宝石王子アレクセイとの凸凹恋物語楽しんで頂けましたでしょうか?
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「契約破棄は許しません!~四人の宝石王子は、妻を前にして、愛に跪く~」
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本作で完結しました!
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