非常用
「店長、店長やってみたいことあるんすけど。」
都が言ってくる。もちろん却下だ。こいつがやりたいことはろくなことがないからな。
「ダメだ。大人しく働いてろ。」
相手をしないことが1番だ。
「聞くだけ聞いてくださいよ。」
ウルセェな。
「わかったよ。言ってみろ。」
聞くだけ聞いて即却下してやる。
「非常ベル押してみたいっす。」
……。
「バカかテメェ。ぶっ飛ばすぞ。」
大問題になるじゃねーか。小学生みたいなことを言いやがって。
「一回だけ一回だけっす。」
「その一回で終わりなんだよ。大人しくしてろ。」
聞いて損したぜ。
「先っちょだけ先っちょだけ。」
なんだ先っちょって。指の先っちょなら鳴っちゃうんだよ。
「ダメだ。指の関節全部折るぞ。」
それなら絶対押せないだろ。
「じゃあカラーボールでジャグリングしますね。」
じゃあってなんだよ。今度は交渉すらしてこねーじゃねーか。
「待て待て待て。なんでそんなことする必要があるんだよ。」
普通は使わない物なんだよ。
「そこにカラーボールがあるからっす。」
黙れよ。山があるからみたいな言い方してんじゃねーよ。
「じゃあここに雑巾があるから店中雑巾掛けしてこい。」
「ちょっと何言ってるかわかんないっす。」
それは俺の感想だよ。お前の理論だろ。
「とりあえずカラーボールはダメだ。外で掃き掃除でもしてこい。」
…カラーボール入れにカギをかけておくか。あいつは信用できんからな。




