第23回「奏でる間」
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第23回「奏でる間」結果発表
1位 ZUMAさん 3票
――どうしてピアノ弾かないの?
鍵盤を叩くときの、硬く沈む独特な感触が、嫌な思い出ばっかり引き出して、手が動かなくなるんだ。
ぼくはそう答えたかった。
――飽きたんだよ、そんなの。
本気でやるもんでもないし、と言ったら、きみは黙ってどこかへ行っちゃったんだ。
2位 霧谷さん 2票
西陽の射す音楽室で俺と彼女は、汗も建前も気にせず、旋律に想いを馳せていた。
君は普段のひっつめ髪を解いて、その艶やかな黒髪を揺らしながら、軽やかに鍵盤上で指を踊らせる。
その一音一音を聴きながら、俺は深く息を吸う。
ここには、彼女をただのガリ勉と笑う奴も俺が歌う事を茶化す奴もおらず、ノイズは意識外に消えていった。
ただ、黒髪のピアニストと茶髪のシンガーが音楽室の空間、音を支配していた。
同率2位 くまくま17分さん 2票
ピアノの奏でるのに、特別な資格は必要ない。
鍵盤はただただ公明正大で、紡がれる旋律に対し誠実に、奏者に応えてくれる。
だからこそ僕は今日もピアノの前に座り、全てを擲って演奏に没頭する。
白魚の指を鍵盤に躍らせ、身体全体で音を奏でながら身も心も音楽と一つになる。
その瞬間だけは親からの期待、周囲の羨望と嫉妬、胸に滲む不安や、押し潰してくる重圧を忘れることができた。
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