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勇者は転職して魔王になりました  作者: nauji
最終章 新天地編
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SS-10 エピローグ 学者

元勇者の魔王のおはなしは終わってしまいました。

では、他のキャラはどうなったのでしょうか。

エピローグは各キャラクタ視点で、最終話前後のおはなしとなります。

 自室に籠り、机に向き合う日々。


 手掛けるは一冊の本。


 綴るは勇者の物語。


 いや正しくは、元勇者で魔王の物語、とでも称するべきか。


 子供のころからの憧れの存在。


 ほんの僅かとは言え、同じ時間を共有できた幸運。


 自分の目で見たありのままを。


 皆さんに伺った旅のお話を。


 余さず全て書き残す。


 事実が事実として、のちの世にも伝わるように。


 皆さんの成した偉業が、歴史に埋もれてしまわないように。


 どれほどの時間を費やそうとも。


 幾本の筆、幾枚の紙を消費しようとも。


 必ずや書き上げてみせる。






 幸いにも、ボクの行動を咎められることはなかった。


 不思議にも思うが、都合が良いなら理由は問わない。


 ただただ恐ろしいのは、目覚めたときに全てが夢の出来事だったらということ。


 眠るのが怖い。


 記憶を妄想が浸蝕する。


 何が現実で何が虚構か。


 睡眠不足も相まって、作業の進みは遅くなる。


 これは皆さんの記録。


 ボクの感情や願望は不要。


 事実のみを書き記すべきなのだから。


 頼るは大量のメモ書き。


 都度、記憶の整合性を確認してゆく。


 断片化されたそれらを、時系列に沿い繋ぎ合わせる。


 ボクは道具。


 本を完成させるためだけの、ただの道具。


 自己を、自我を、排除する。






 いつ振りかの外。


 僧侶さんに連れ出され向かった先は、勇者様と秘書さんの婚礼の場だった。


 これでまた一つ、記すべき事柄が増えた。


 ボクは記録装置。


 表面上の遣り取りとは別に、頭の奥底で情報を収集し続ける。


 余さず漏らさず。


 見逃しの無いように、取りこぼさないように。


 勇者様の故郷。


 発展を遂げたらしい村。


 集う人々。


 何故か大量に居るケンタウロス。


 奇妙な門番――ゴーレムと言うらしい。


 疑問は多数存在したが、事実は事実。


 惜しむらくは、この村の場所を記せぬことか。


 勇者様はこの場所の露見を望んでおられない。


 僭越にも書き手に過ぎぬ身分で、差し出がましい真似はできない。


 メモ書きに大きく記す。


 場所は不明、と。






 再び籠って執筆作業。


 書く、書く、書く、書く、書く。


 書き続ける。


 積み上がる紙の束。


 記録であり記憶。


 ただし、ボクのではなく皆さんの。


 実に素晴らしい。


 追体験しているような錯覚。


 それでもいつかは、長い旅も終わりのときを迎えてしまう。






 勇者様が倒れられた。


 心配だ。


 心配で心配で心配で心配で堪らない。


 どうも具合は良くないらしい。


 いや、良くなる見込みがないご様子。


 短過ぎる。


 あまりにも。


 まだまだ書き足りない。


 もっと見せて欲しいのに。


 ずっと浸っていたいのに。


 ボクの命なら、幾らだって差し出しても構わない。


 現実が呪わしい。


 何故これが悪夢であってくれないのか。


 幾度の目覚めを迎えては、現実に絶望を繰り返す。


 擦り切れそうな精神は、やがて一つの結論を見出すに至る。


 本。


 心血を注ぎこんでいるコレ。


 この中に、再現すれば良いのだ。


 本物と見紛う、否、本物と寸分違わぬ出来栄えに。


 色褪せぬ冒険の日々を。


 必ずや完成させ、読みふけるのだ。


 命の続く限り。


 ずっとずっと。






本日はSSを後5話、投稿します。

今回更新分を以て完結となります。


勇者に憧れた少年が至った境地。

当初の想定では、ここまで狂気じみてはいなかったのですが、何故だかこんな結末に。

他のキャラはそんなことはない……はずです。


22/05/22 誤字修正


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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お読みいただき有難うございます!

『勇者に挑むは無職の少年』 本作の続編も完結!

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