投げる男
「そうなると、ここにボマーはいないことになるぜ……?」
首(もしスライムに首という部位があればのことだが)をひねろうとしたオレは不意に体が浮くのを感じた。強い力(たぶん男のごつい手だ)で体をむんずと掴まれて、次いでブンとすごい力で投げられた。
「え……?」
「スラちゃん!!!」
ワナワナが叫んでいた。
まるちカッターとゴーレムが目を丸くして、飛んで行くオレを見ていた。
そしてオレは、オレを放り投げた男が(薄汚い布切れのような服を着た大男だ)次々に同胞であるスライムを放り投げていくのを見ていた。
同胞のスライムたちは『きゅわ?』『きゅわ!』『きゅわー!!!!』と口ぐちに悲鳴や非難めいた声を上げながら飛ばされ(投げられ)ていた。
飛んで行く方向はみんな同じ。
男は機械のような正確さで、目指す方向には目を向けずに次々とスライムを放り投げていた。
そしてそのスライムたちが飛ばされて行く方向には窓があり、オレの体は窓から飛び出した。
――と軽い衝撃があり、体が受け止められる。
他のスライムたちは重力に従って落下し、約三階下の地面に落ちて行く。
『きゅわーーーー!!!』という悲鳴が悲痛だ。
まあ、スライムだから落ちても大してダメージはないが、一応オレを受け止めてくれた誰かに礼を言おうと目を向けて、お互いに目を剥いた。
シンデレラだ。
彼女の頭上の数字は『1』となっていた。




