宇宙厨房
「うっ……」
ワナワナがうめいた。
「う?」
オレが聞き返す。
「う、う、う……」
「???」
「宇宙厨房ーーーーぉっ!」
ワナワナが両手(彼の場合は前脚か)を二本上げて、バンザイの姿勢をとった。ヒヒーンと今にも本物の馬のようにいななきそうだ。
「ス、ス、ス、スラちゃんすごいよ」
「なにが?」
「ぼ、ぼくたちは今、う、う、う、宇宙厨房のチケットをもらったんだ」
ワナワナが水かきのある両手(両脚かな?)をグーにしてワナワナと震える。
「チケット?」
そんなものはもらっていない。
「いや、そうじゃなくって。宇宙厨房っていうのは、そこにツテのある人の紹介でしか入れないんだ。んでもって、今あの、ホウじいさん?がぼくらに『宇宙厨房』って言葉を言うことによって、ぼくらにもその入口が開かれたはずなんだ」
「はあ……」
「すごいよー。宇宙厨房は三兄弟で、宇宙病棟が次男で、宇宙厨房が三男で、長男がなんか絶大的にすごいヒトらしいんだけど正体不明なんだよねー。でもでもでもぉ、ほら今ぼくらには宇宙厨房の入口が開かれたんだから、もしかしたらそこで宇宙病棟のチケットももらえるかもしれない。そしたらそしたら、あのシンデレラちゃんの目も治るかもしれないんだよっっ」
「目が――」
あのボマーに切りつけられたという目である。今は痛々しい傷口が見えるだけだが――
「治る――」
「うん。治るかも、だよっ。善は急げ。宇宙厨房に出発!」
その前にシンデレラちゃんを連れて来ないと、とワナワナは池の方向に駆けて行った。




