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学校生活にこんな魔法はいかがですか?  作者: 炎尾
生活魔法で知り合おう。
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部活までの一週間③

「なんで!?さっきあげた魔法陣じゃなんかダメだった?」


そういいながら少し涙目な正治。認められたと思った相手にこの扱いはさすがに応えるようだった。


「変態はさすがに失礼だと思ったので名前で呼びますが、まだ私は正治さんを完全に認めたわけじゃありません。」


茜はそういいながら部屋を出ていく。


「おい。工藤。変態予備はやめてもお茶はこういう扱いでいいのか?」


「まぁ俺も正治だからそこはいいと思うんだが。」


いつも通りのぞんざいな扱いである。


「それはどういう意味だ?ああん?」


「まぁ落ち着け。ほらお茶が冷めるぞ。」


「おお。それもそうだな。」


そういってお茶に手を付ける正治。ズズーという音を立ててこう言い放った。


「うん。昆布からいい出汁出てるね。」


「そうだろ。」


正治にお茶はこれからもこの昆布茶でいいなと思う工藤であった。




「しっかし普通な扱い受けるにはどうしたもんか。」


「ちなみにいままでこの家に来てお前以上の扱いを受けたやつは一人もいないぞ。」


「俺で最高ってどんだけ?そんなんだと人来なくなるだろ。」


「まぁ誰か来て部屋が汚れないし一人は落ち着くしそれはそれでいいんだがな。」


「・・・お前は友達いるのか?」


少し哀れに思った正治は工藤にそう問いかける。


「失敬な!俺にだって友達くらいいる・・・かもしれない。」


「そこで言葉を濁すなよ・・・。」


「しょうがない。そういうもんだ。」


普段から一人でいることに慣れてしまったいるため工藤は大して気にしていないのだが憐みの視線を向けられると言葉に詰まってしまう。そこで微妙な空気になり始めたため話題をもとに戻す正治。


「まぁそれはそれとして俺はさすがにお前の妹からこの扱いに納得いかない。」


「根性あるなお前。話したいんならたぶんリビングにいるから行って来いよ。」


「おうそうする。」


そういって正治は部屋を出ていき茜の元に向かった。


「まぁ自慢の妹だがさすがにもう少し常識を持ってほしいしあいつには頑張ってもらいたいもんだな。」


工藤はそうつぶやくのだった。





「おっす茜ちゃん。害虫扱いから最低限石ころ扱いをしてもらうための努力をしに来た。」


正治の目標は思ったより低かった。


「はぁ。正治さんですか。それでどんな努力をしに来たんですか?」


「その前にひとつ聞きたいんだけどさっきの魔法陣はなんか不満があったのか?」


「ええ。あれじゃ一回しか使えないみたいだったので。お兄ちゃんを一回追っかけたらそれで終わりなんて意味ないじゃないですか。」


「なるほどな。とはいえあれは緊急用だからしょうがないんだがな。」


「でしたら永続のをくれたら少しは扱いをマシにしてあげますよ。」


常に工藤のそばに居たい。離れていても相手の居場所がわかりたいというストーカー発言である。

しかしそれは正治にも作れない。作るわけにはいかない。なぜなら


「それは倫理的に作れないんだ。諦めてくれ。」


魔法を犯罪同然のものとして使うわけにはいかないからだ。しかしこの発言に茜は一歩も揺るがない。


「倫理的?入学式に女子の制服着ていく人がそれを言うんですか?」


正論を言う茜の前に心が屈しそうになりながらもこらえる正治。そこに更に茜が猛攻を仕掛ける。


「大体あなたはお兄ちゃんを部活に誘ったんですよね。騙して。そんな人にまともな扱いなんかすると思いますか?」


「騙してはいないぞ。あいつが最後まで話を聞かなかっただけだ。」


そういって言質を取った魔法陣を再生する正治。


「むぅ。確かに騙してはいないようですね。ですが少し質が悪いのでは?」


「まぁ確かに質が悪いのは確かなんだがな。」


「そうですよね。だから私の扱いは変わりません。」


この話の流れになった瞬間正治はニヤリと笑い、こう告げる。


「でもこの部活はあいつにとっても茜ちゃんにとっても損はない話だと思うぞ。」


「損がない?」


「ああ。たぶん茜ちゃんは来年うちの学校に入学するつもりだよな?」


「はい。そのつもりです。」


「まず運動部だとマネージャーと部員の恰好になりまともに兄と話す機会なんてないよな?」


「はい。そうなります。」


「その点うちの部活は一つの部室に集まってやるものだ。話す機会は多いよな。」


「確かに・・・」


「それにうちの部活は基本的に人も少ない。だからいくら兄妹で話していても特に問題はない。」


「ふむふむ。」


話していくうちにどんどん話に引き込まれていく茜。このとき正治は思い始めていた。この子はお兄ちゃんと近くに入れる環境を作ってやれれば普通に話せる子なんじゃないかと。


「むしろ魔法のことをいくらでも兄に聞く口実が出来る、教えてもらえる。こんな環境が出来上がるわけだ。自然な恰好で学校でも兄と話せる。」


「それは素晴らしいです!正治さん!」


そういいながら正治の手を握る茜。


「どうやら私はあなたのことを誤解していたようです!これからは正治先輩と呼ばせていただきますね!」


こうして正治は無事一般的な扱いを受ける権利を得ることに成功したのだった。





そのころ工藤は・・・


「お茶無くなっちまった。片づけるか・・・。」


そういって台所に向かう途中彼は見てしまった。


「素晴らしいです!正治さん!」


と言いながら正治の手を握る茜を。


「あいつ・・・何をしやがった!?」


「どうやら私はあなたのことを誤解していたようです!これからは正治先輩と呼ばせていただきますね!」


そこで工藤は悟った。ああ。妹は正治に好意を持ったんだなと。


「そうか・・・。あいつにもとうとう春が来たか・・・」


そういって湯呑を片付け部屋へ戻っていくのだった。






そんなことがあったのは露ほども知らない二人は・・・


「少し話は変わるんだが茜ちゃんに交渉したいことがある。」


「交渉したいこと?」


「ああ。俺が入学式女子の制服で行ったことは知ってるよな。」


「はい。流石にどうかと思いますが。」


「まぁそこは気にしないでくれ。ただこのことを弱みとして君の兄に握られている。」


「は、はぁ。」


「そこで少しでも互いの関係を対等にするために奴の弱みが欲しい訳だ。」


この話を聞いて少し怪訝な顔をする茜


「お兄ちゃんの弱みを私が教えると思います?」


「俺もさすがにそうは思わない。だから交渉という形を取りたい。」


「交渉?」


「なにか弱みを教えてくれるならそれ相応の茜ちゃんのお願いを聞いてあげよう。」


「それはどれくらいの範囲までですか?」


「例えば現在の部活に入っている以外の女子の告白を阻止もしくは成功しないようにするとか・・・」


「わかりました!それで乗りましょう!」


そういって食い気味に正治の話に乗る茜。


「おっおう。わかった。それじゃあそうしよう。それで気の兄の弱みって何かあるのか?」


「うーん。なんとも言えないですねー。私の手元にはお兄ちゃんの観察日記とかお兄ちゃんが中学生の時に書いていた素敵なポエムとかそういったものなので弱みというのはなかなか・・・」


少し自信を無くしながら茜は答える。


「ん?なに?ポエム?」


「はい。中学校に通っているときに書いていたポエムなんですけど二か月くらい書いてやめちゃったみたいなんです。私は好きだったんだけどな~。」


「ちなみにそのポエムはあるかい?」


「はいっ!コピーして製本にしたものが5部ほど!」


「一つそれをもらっていいかい?それでさっき言っていた女子との付き合いをカットしよう。」


「ええ?そんなものでいいんですか?」


「ああ。それがいいんだ!」


「わかりました!持ってきますね!素敵なポエムで気に入ると思います!」


「ああ。うん。そっそうだといいね。」


茜絶賛のポエムに少し引きながら正治は答える。


「それじゃあ取ってきます!」


そういって茜は部屋に戻っていった。


「俺はもしかしたらとんでもない弱みを手に入れたかもしれない。」



その後茜から工藤が中学校の時に書いていた「数学ノート」という偽装の文字が書いてあるポエム集を受け取り普通に工藤とゲーム遊んでその日は帰っていった。




その夜・・・

「茜?(異性として)正治はどうだった?」


「うん?(先輩として)すごくいい人だと思うよ!」


「そうか・・・。それならいいんだ。やっぱり春が来たのか・・・」


「・・・?今は春だよお兄ちゃん?」


「いや。気にしなくていいんだ。」


こうして工藤の勘違いをし、ポエムが正治の手に渡り一日は終わったのだった。

中学生とか高校生の時の黒歴史って大抵の人が持ってるよね。

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