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彩色の魔女  作者: 唄海
2章 英国の闘い
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不自由落下

「うぉわあああああ!」


 圧倒的浮遊感に、思わず満足に動かないはずの体をじたばたさせる。激痛が走るが、その痛みのおかげで冷静になれた。

 俺とライヴは今、空中に転移して落ちてる最中だ。遥か下方には、屋敷のある浜辺が見える。


「ミスった⋯⋯」


 ライヴが忌々しげに呟く。


「おいライヴ、顔色が悪いぞ。大丈夫か」

「無理して二人も転移したからかな⋯⋯場所の計算も間違っちゃったし、ちょっとまずい状況ね」

「あー⋯⋯」


 一難去ってまた一難、どうやら今度は墜落しそうになってるらしい。


「しょうがねぇ、ちょっと失礼しますよ」


 隣で一緒に落ちるライヴを守るように抱きしめると、そのまま地面の方へと体を向ける。


「何すんのよ!」

「しょーがねーだろ。ほらそれに、俺なら魔法のお陰で落ちても何とかなりそうじゃん?」

「馬鹿じゃないの! てか、変な所触らないで!」

「別に下心は無いんだけどなぁ⋯⋯」


 ワチャワチャと暴れるライヴをなだめ、落下の衝撃に耐えようと体を丸める。


「こんなんで死んだら殺すわよ」

「おい」


 そろそろ地面が近づいてきた。死ぬつもりは毛頭ないが、多分何とかなるだろう。ぐっと目をつぶり、歯を食いしばった。


「真!」


 突如風が巻き起こり、落下の勢いが殺される。風はどんどん強くなると、あろう事か体が風だけで浮き始める。


「これは⋯⋯」


 閉じた目を開け、周囲を見渡す。ガルと、それからベルが魔法によって風を起こしていた。


「苦労させやがって⋯⋯」


 安堵の表情を浮かべるガルの前に、ゆっくりと着地する俺とライヴ。


「えぇい離せ!」

「おうふ」


 ジタバタと俺の腕を振りほどくと、ライヴはバツが悪そうに離れる。本当に下心も何も無いんだけどなぁ⋯⋯


「真!」

「ご主人様!」


 遠くから聞き覚えのある声が二つ。声の方向からは、小夜とサリィが全速力で走ってくるのが見えた。


「あ────」


 その瞬間。抑えていた物が一気に噴き出し、意識を塗りつぶす。急激に落ちていく意識と、朦朧して歪む視界。

 安心したせいで最後の支えが消え去ったのか、俺はその場で皆の前で倒れ込んだ。


「眠い⋯⋯」


瞼を閉じて、ゆっくりと眠りにつく。暗闇にどっぷりと浸かった意識は、抵抗すること無く無意識の奥底へと沈んでいった。

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