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彩色の魔女  作者: 唄海
2章 英国の闘い
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死神6吸血鬼3サキュバス1

「ふんす!」

「ぬわぁ?!」


 あまりの速さに驚き、思わずその白い頭にチョップをかます。


「大きな星が点いたり消えたりしている。アハハ、大きい…」

「いい加減にしないと魔力抜くぞ」


 目を回しながらもネタを入れてくるアニマを脅しながら、俺はアニマの前に立つ。

 白いツインテールがブラブラ揺れていて、ふと俺は振子時計を連想した。


「なんですかその夕ご飯抜き! みたいなのは。鬼! 悪魔! ご主人様!」

「抜くぞ」

「すいません」


 本当に魔力を自由に抜けるのかは不明だが、今の返事を聞く限り抜けるみたいだ。


「変な奴には変なアニマがつくのね」

「酷くねそれ」


 ライヴは呆れた表情を浮かべ、俺とアニマを交互に見ていた。


「改めてご主人様、お初にお目にかかります、アナタ様のアニマでございます!」


 目の前の少女は、元気な声でそう告げた。どうやら本当に俺のアニマらしい。


「全く酷いですよ、作られてすぐ殺意の眼差しを向けられるなんて。一体なんですかあの方」

「あー、えーっと……」


 ライヴの様子を伺う。なんと説明すればいいんだろうか。


「……友達かな?」

「ほうほう、友達ですと! これはこれは失礼致しました!」


 俺の返答を聞くなり、アニマはライヴへと駆け寄り手をとってブンブン上下に振る。


「まぁ、服さえ着てくれればいいの。いくらアニマと言えど、見た感じ女の子なんだから」

「わざわざお前が心配することかねぇ……」

「何、見たいの? 変態」

「お前俺になんの恨みが!」

「ふんっ」


 ぷいっと顔を背け、ライヴはアニマに握られた手をまじまじと見つめる。


「そろそろ離して貰っていい?」

「はいっ」


 アニマは手を離すと、再び俺の方へと歩いてきた。

 先程の全裸姿とは違い、ホットパンツとキャミソという普通の服装だった。


「もしご主人様の趣味に合わなかったら変えられますよ?」

「変えんでいい。というか微妙に脳内を読むな」


 もしかしてあの伝達回路、思考だだ漏れになるのだろうか。正直それはやめてほしい。


「にしても、本当にお前アニマなのか? どっから見ても人間なんだけど」

「えぇ、アニマですよ! もっと詳しく言うと死神と吸血鬼とサキュバスのアニマですよ」

「へー、そりゃ随分と立派なアニ──死神?!」


 全力で飛び退く。人間(特に男)に危険な存在がミックスされた存在だった。


「もっと詳しく言うと死神6の吸血鬼3のサキュバス1ぐらいの割合です」

「ごめん何言ってるか分かんない。ガル分かる?」

「知らんな」


 こんな状況なのに、ガルは随分と余裕そうだった。もしかしてコイツ、美少女なら殺されてもいいって考えの人か。半分分かる。


「大丈夫ですよ、魂と血と精力の代わりに魔力を貰いますので」

「なら大丈夫か。てか、魔力なら自分で作れよ」

「貰った方が美味しいんですよ!」

「知るか!」


 魔力が美味しいとはどういう事なのか。アニマは魔力を味わう器官でもあるのか? それとも単に、人のを貰うと言う幸福感だろうか。


「下さいよご主人様〜。もし頂けたらチョットはイイことしちゃいますよ〜?」

「えっ」

「うふふふ」

「…………」


 別に気になるわけじゃないが、このアニマのご主人様として知っておく権利と責任と義務はあると思う。いや別に決して聞きたいわけでは……


「詳しく!」


 思いっきり脳内で叫ぶ。ガルとライヴに聞かれたら色々と誤解があるので伝達回路とやらを活用してみる。別に聞きたいわけではない。


「えっへっへー、ご主人様も男の子ですねぇ」

「いやいやそう言う訳じゃあない! ただ自分のアニマの事はちゃんと知っておかないと、と思ってだな」

「ホントですかぁ〜?」

「……」


 嘘かもしれない。いや、嘘ですごめんなさいすごくそのイイことに興味津々すぎて色々とヤバイですかも。


「ちょっとアンタ、元々気持ち悪い顔が更に気持ち悪い」

「えっ」


 まるで俺の考えを読んだような口ぶりで罵ってくる。いかん、これではまた軽蔑されてしまう。それはそれで悪くないが。


「それでどうするんですご主人様? イイことしちゃいます?」

「いや、辞めておきます……」


 ライヴの視線がどうにも俺の心臓を痛めつけてくる。睨むだけで心臓にダメージを与えるなんて勝てる訳がない。


「なんでお前そんなに俺に厳しいんだよ……」


 視線を辿り、視線の主にその原因を問いかける。一体俺が何したって言うんだ。


「アンタがアホだから」

「答えになってない」

「知らない! 自分で考えれば!」


 何か気に障ったのか、ライヴはぷいっとそっぽを向いてそのまま黙り込んでしまった。


「うわぁ……ご主人様も大変ですね」

「お前が言うか」


 一番の原因である奴には言われたくない。そもそもコイツが素っ裸で出てくるからこんな事になったんだ。


「まぁ、あの方が一番大変そうですけどね」


 ライヴに聞こえないように、ポツリとつぶやく。


「そうか? ライヴ、俺をイジメて楽しんでるんじゃないのか……?」

「ご主人様がそんなんだからですよ」

「えっ」

「はいはい、それじゃあ改めて自己紹介にしましょう!」

「おい、ちょっと……」

「さっきも言った通り、ワタクシはアナタ様のアニマです! それで、死神で吸血鬼で──」


 どうやらはぐらかされたらしい。ライヴは俺になんの恨みがあるんだろうか。思い当たる節と言えば初めて会ったときくらいだ。


「さすがにあの時の事を根に持たれてるなら解決出来ねぇよなぁ……」


 はぁ、とため息をつく。不機嫌なライヴと、やたらハイテンションなアニメに挟まれながら、俺は今後について物凄い不安を感じていた。


「……刺されなきゃいいんだがな」


 誰に言うでもなく、ポツリとガルがつぶやく。だがそれは、アニメのやかましい声にかき消され誰にも聞こえなかった。


「ご主人様聞いてます?!」

「あ、ごめん聞いてなかった」


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