Japanese UDON
「何しにきたんだ?」
いまだにズキズキ痛む眉間を撫でながら、目の前の仁王立ちの少女を軽く睨みつける。
「別に。アンタが何してるか気になって探しただけ。でも、来るだけ損だったわ」
ライヴは気づかれなかった事に拗ねてるのか、プイッと顔を逸らして呟く。
まるで幼稚園児みたいだ。さすがに幼稚園児よりは大きいけど。
「いやさ、料理に没頭してたから気づかなかっただけで、決してライヴだから気づかなかった訳じゃないんだよ」
ライヴの機嫌を治そうと、俺は言い訳をする。実際、ライヴじゃなくても話しかけられなければ気がつかなかっただろうし。
「へぇ、それじゃあ振り返っても気がつかなかったのはどうして?」
「う、それは……」
ライヴが小さいから、なんて言えるわけない。もし言ったら今度は何をされるか。幸い今は銃は持っていないが、コイツは魔法の効果無しで俺を超える馬鹿力の持ち主なのだ。
「…………」
「…………」
「……ごめん」
綺麗なオッドアイの瞳と見つめ合うこと数秒、俺は観念して謝る。
小さいから、とはっきり言わなければ、彼女もそう簡単に怒らないはずだろう。
「仕方ないから許してあげる。いきなり入ってきたアタシも悪かったと言えば悪かったし」
「お、おう。ありがとう?」
予想以上に素直に許してくれた。素直過ぎてなぜかお礼が出てしまうくらい。
「なぁ、ライヴ。なんでまた俺の様子なんか見に来たんだ?」
先程彼女は、俺が何してるか気になって来たと言った。やっぱり、まだ完全に信用されていないのだろうか。
「別に。ただ、無性にアンタの顔が見たくなったのよ」
「へ?」
ライヴは不思議な事を言う。会ってすぐの人間の顔が見たくなる事なんてあるのか?
まさか、俺がそんなにイケメンに見えたのか?! やっぱり外国人のイケメンの定義は日本人とは違うから──
「相変わらずのアホ面だったから、骨折り損だったけど」
「うどんの鍋ん中に突っ込むぞこの野郎。ってそうだうどん茹でてたんだヤバイヤバイ」
急いでうどんの様子を見る。まだ少し時間がかかりそうだ。
「あ、そうだ。ライヴ、飯食った?」
「まだだけど」
「そうか、そいつはいいや。わざわざ俺のアホ面を見に来てもらったんだし、ご馳走するよ」
元々小夜達がどれくらい食べるかわからなかったから、多めに作っておいていた。この量なら、一人増えても大丈夫だろう。
それに、理由はどうあれ俺の様子を気にかけてくれたのだ。お礼とお詫びも兼ねてここはご馳走するべきだろう。
「仕方ないわね。どうしても、と言うならご招待されてもいいわ」
「ホントか、良かった。飯は大勢の方が楽しいしな」
「ただし不味かったらコロス」
「ひえええええ!」
俺は慌てて鍋と向き合う。こうなったら気合を入れて作るしかねぇ!
「俺は信じてるぞ! うどんは外国でも受けるって!」
心から祈る。どうか、うどんの美味しさは世界共通でありますようにと。
そんなわけのわからない祈りを込めながら、俺は必死に夕飯の準備を続けるのであった。
真「イギリスって飯不味いって聞いたんだがどうなん?」
小夜「いい質問ね」
真「……」
小夜「……」
真「答えて……怖いから……」




