第217章:母と歩く楽園、そして問われぬ哲学
序章 - 一人で見る景色と、二人で見る景色。
一人で見る、景色は。
美しい。
だが。
二人で見る、景色は。
その、何倍も。
心に、残る。
今日。
一人の少年が。
初めて。
母と共に。
自分の、魂そのものである、島を。
歩いた。
そして。
その、涙の意味を。
初めて。
知った。
第一章:賢者との、会話
ヴィカスは。
自室にて。
静かに、座っていた。
ヴァジュラ・レヴェリーの、賢者が。
念話にて、話しかけてきた。
賢者は。
ヴィカス自身の、一部から。
生まれた、存在。
だからこそ。
こうして。
直接、語り合うことが、できる。
「マスター。」
「島を。」
「変えました。」
ヴィカスは。
軽く、眉を、上げた。
「そうか。」
「では。」
「見に、行こう。」
「マスター。」
賢者は、続けた。
「行かれるなら。」
「どなたかと、ご一緒に。」
「そうすれば。」
「体験は。」
「二倍にも、なるでしょう。」
ヴィカスは。
しばらく、考えた。
「確かに。」
「言う通りだ。」
「俺は。」
「いつも。」
「誰にでも。」
「会いに行くのに。」
「母上のもとには。」
「行っていなかった。」
「では。」
「母上を、連れて、行こう。」
「それが、いい。」
「これから、母上のもとへ。」
「向かう。」
第二章:母の膝で
ヴィカスは。
母、シモカの。
玉座の間へと。
向かった。
シモカは。
目を、閉じたまま。
静かに、座っていた。
ヴィカスは。
その、傍らに、腰を下ろし。
頭を。
母の、膝に、預けた。
シモカの、瞳が。
ゆっくりと、開いた。
「私の、可愛い息子。」
「何か。」
「用が、あったの。」
「母上。」
「ただ。」
「会いたかった、だけです。」
シモカは。
すべてを、見透かすように。
微笑んだ。
「その、言い訳は。」
「もう、やめて。」
「本当のことを。」
「教えて。」
ヴィカスは。
小さく、苦笑した。
「母上には。」
「もう、全て。」
「見透かされて、いますね。」
「私は。」
「精霊界の、原初の、至高の霊の、一人。」
「わからないことなど、ない。」
「あなたが。」
「わざわざ、ここに、来た。」
「何か、理由が、ある。」
「もしかして。」
「私と一緒に。」
「冒険に、行きたいと。」
「言いに、来たの。」
ヴィカスは。
静かに、首を、振った。
「いいえ、母上。」
「あなたたちの、誰一人。」
「俺を、冒険に。」
「行かせては、くれない。」
「だから。」
「もう。」
「そんな、望みは。」
「とうに、忘れました。」
第三章:一緒に、行きましょう
シモカは。
しばらく、彼を、見つめた後。
静かに、言った。
「本当に、それだけ。」
「なら。」
「約束を、しましょう。」
「私が。」
「一緒に、行くわ。」
「冒険でも。」
「庭でも。」
「滝でも。」
「湖でも。」
「森でも。」
「あなたが、行きたい、場所へ。」
「私も、一緒に。」
ヴィカスの、瞳が。
わずかに、見開いた。
「母上。」
「本当に。」
「来て、くださるのですか。」
「ええ。」
「もちろん。」
「本来、私の、主でもある。」
「あなたと、共に、歩くことは。」
「名誉、そのもの。」
「母上。」
「ですが。」
「誰にも。」
「言わないで、ください。」
「ヴァジュラ・レヴェリー島に。」
「行ったことは。」
「わかったわ。」
「では、行きましょう。」
「おいで。」
「私を、抱きしめて。」
「そのまま。」
「島へ。」
「転移するの。」
「はい、母上。」
「それが、良いですね。」
二人は。
互いを、抱きしめ合い。
光と共に。
ヴァジュラ・レヴェリー島へと。
転移した。
第四章:見覚えのある、景色
その、姿を、目にした瞬間。
ヴィカスは。
言葉を、失った。
それは。
かつて。
人間として、生きていた頃に。
見た、景色と。
寸分、違わなかった。
「母上。」
「行きましょう。」
「島の、滝を。」
「庭を。」
「聖なる湖を。」
「聖なる川を。」
「案内、します。」
賢者の、声が。
響いた。
「マスター。」
「この、仕組みを。」
「知りたく、ありませんか。」
「いや。」
「今は、知らなくていい。」
「後で。」
「俺から、聞く。」
「今は。」
「母上と、島を。」
「見て、回りたい。」
ヴィカスは。
母と共に。
島を、歩いた。
以前は。
自然だけで、満ちていた、この島に。
今は。
賢者が。
城を、築き。
食堂を、開き。
新たな、雀たちを。
生み出していた。
その、雀たちが。
庭を。
滝を。
湖を。
川を。
さらに、美しく、彩っていた。
「泣いて、いるの。」
シモカが、静かに、聞いた。
「いいえ、母上。」
「これは。」
「ただ。」
「少し。」
「感傷的に、なっているだけ、です。」
「これほどの、ものを。」
「感じたのは。」
「初めて、なので。」
シモカは。
何も、言わず。
ただ。
彼の、頭を。
優しく、撫でた。
第五章:億の、人形たち
賢者の、声が。
再び、響いた。
「マスター。」
「全て、お話し、しましょう。」
「これから。」
「島は。」
「こうして、運営されて、いきます。」
賢者は。
数十億もの。
人形の、少女たちを。
創り出していた。
「マスター。」
「これらの、人形は。」
「人間と、変わりません。」
「彼女たちが。」
「すべてを、管理、します。」
「マスター。」
「人形たちに、会ってみますか。」
「いや。」
「今は、いい。」
「母上と、島を、見終えたばかりだ。」
「マスター。」
「先ほどは。」
「母上と、島全体を。」
「ご覧に、なりました。」
「人形たちは。」
「これからも、ずっと、ここに、います。」
「今、会うことも、できますよ。」
「お前。」
「今、俺を。」
「からかって、いるだろう。」
「いいえ。」
「ですが。」
「そう、思われても。」
「不思議では、ないかも、しれません。」
「母上。」
「行きましょう。」
「私の、記憶について。」
「お話し、します。」
「この、賢者は。」
「少し、おかしいのです。」
「勝手に、色々と。」
「やってしまう。」
「マスター。」
賢者は、答えた。
「私が、おかしいなら。」
「あなたも、おかしい、ということです。」
「なぜなら。」
「私は。」
「あなたから。」
「生まれた、存在。」
「それは。」
「よく、わかっている。」
「食事の、支度は。」
「お前の、人形たちに、任せろ。」
「俺は。」
「城の庭で。」
「母上の膝で。」
「休んでいる。」
「準備が、できたら。」
「教えてくれ。」
「かしこまり、ました。」
「準備を、整えさせます。」
第六章:世界の声
庭にて。
ヴィカスは。
母の、膝に。
横たわっていた。
シモカの、手が。
そっと。
その、頭に。
置かれていた。
「母上。」
「島も。」
「城も。」
「庭も。」
「滝も。」
「湖も。」
「川も。」
「山も。」
「この島の、自然。」
「どう、思われましたか。」
「ええ。」
「すべて、良かったわ。」
「これは。」
「あなたの、魂と。」
「繋がっているから。」
「どの、場所にいても。」
「あなたを、感じられる。」
「母上も。」
「そう、感じられるのですね。」
「みんな。」
「同じことを、言っています。」
「リスカレスも。」
「アクアも。」
「ハナも。」
「ヒナタ・ホノカも。」
「ユキも。」
「ええ。」
「その通りよ。」
「もし。」
「本当に、そうであるなら。」
「もし。」
「俺が。」
「あなたたちを、ここに、残して。」
「一人で、冒険に、出たら。」
「どうでしょう。」
シモカは。
すぐに、答えた。
「駄目よ。」
「私は。」
「許可を、出しません。」
「では。」
「俺が。」
「あなたたちに。」
「命令を、しても。」
「それでも。」
「行かせては、くれませんか。」
「それなら。」
「不可能、です。」
「けれど。」
「あなたの、哲学の、せいで。」
「あなたは。」
「私や、姉妹たち、至高の霊たちに。」
「直接、命令を、出すことが、できない。」
「かといって。」
「命令を、出さずに、行くことも。」
「その、哲学を、忘れることも。」
「あなたには、できない。」
「だから。」
「これは。」
「不可能、なの。」
ヴィカスは。
静かに、頷いた。
「母上。」
「それは、そうです。」
「ですが。」
「いつか。」
「あなた自身が。」
「『息子よ、冒険に、行きなさい』と。」
「言う日が。」
「来るかも、しれません。」
「そんなことは。」
「あり得ないわ。」
「誰も。」
「そんなことは。」
「言わない。」
「ですが。」
「何が起きるかは。」
「誰にも、わからない。」
「明日を、見た者は。」
「いないのですから。」
シモカは。
小さく、微笑んだ。
「もし、あなたが、望むなら。」
「明日を。」
「実際に、見ることも、できるわ。」
「でも。」
「そんなことを、すれば。」
「永遠世界の、先進AIが。」
「あなたを。」
「仏の結界に。」
「封じるかも、しれない。」
第七章:見えぬ、支配者
「母上。」
「その、永遠世界の、先進AIとは。」
「誰、ですか。」
「わからないわ。」
「誰も。」
「その、姿を。」
「見た者は、いない。」
「この、世界の。」
「支配者。」
「すべてを、律の中に。」
「治めている。」
「他の世界から。」
「誰かが、やってくる度に。」
「その、声だけが。」
「聞こえる。」
「そうですか。」
「そんな、存在が。」
「実在すると、いうことは。」
「母上。」
「以前。」
「俺が。」
「あなたと。」
「リスカレスを。」
「悪魔界、精霊界、死の世界、霊魂界、虚無の世界から。」
「召喚した、あの時。」
「その、声を。」
「聞いた、はずです。」
「あの時。」
「世界の声は。」
「何を、言っていましたか。」
「何も。」
「言わなかったわ。」
「ただ。」
「あそこまで、至高の力を、使えば。」
「仏の結界に。」
「封じられる、ということだけ。」
「母上。」
「その、程度のことで。」
「あなたは。」
「世界の声を。」
「恐れて、いるのですか。」
シモカは。
わずかに、視線を、鋭くした。
「恐れては、いない。」
「ただ。」
「あなたに、攻撃を、仕掛ける者が、いれば。」
「私は。」
「必ず。」
「至高の力を、使う。」
「それだけの、こと。」
「母上。」
「それなら。」
「その時。」
「あなたには。」
「もう。」
「封じられる、恐れさえ。」
「なくなる、はずですね。」
「ええ。」
「その通り、よ。」
「なら。」
「教えてください。」
「あなたたちが、力を使うと。」
「封じられる。」
「なのに。」
「なぜ。」
「俺は。」
「封じられない。」
「俺は。」
「いつも。」
「至高の力を、使っている。」
「それは。」
「あなたの、力が。」
「環境や、人々に。」
「害を、与えないから。」
「島を、創ること。」
「城を、建てること。」
「精霊に、人の姿を、与えること。」
「それらは。」
「攻撃には、当たらない。」
「なるほど。」
「では。」
「俺が。」
「聖なる国々に。」
「攻撃を、仕掛けたら。」
「どうなりますか。」
「その時は。」
「あなたも。」
「封じられるかも、しれない。」
「そうですか。」
「それは、あり得ますね。」
「ええ。」
「あり得ること。」
第八章:夕食の、呼び声
その、時。
ヴァジュラ・レヴェリーの、賢者の、声が。
庭に、響いた。
「マスター。」
「夕食の、準備が。」
「整いました。」
「まだ。」
「母上の、膝の上に。」
「いるおつもり、ですか。」
「お前。」
「少し。」
「口が、過ぎるぞ。」
「マスター。」
「笑わせて、あげてください。」
「まずは、夕食を。」
「わかった。」
「母上が、いらっしゃる、間だけ。」
「見逃して、やろう。」
「後で。」
「お前とは。」
「じっくり、話す。」
「マスター。」
「お待ちして、おります。」
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【世界設定公開】無限剣海——ヴィカス様にのみ従う、剣の海
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皆さん、こんにちは!
「ダークコンチネント:生きる大陸と至高の支配者」の作者です。
今回公開するのは、
ヴィカス様だけが持つ——
一つの、
異常。
「無限剣海」。
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◆ 気づかれぬ、異変
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長い間——
ヴィカス様に対し、
誰も、
攻撃を
仕掛けてこなかった。
彼自身——
その理由が、
分からずにいた。
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◆ 剣は、意志を読む
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理由は——
単純だった。
誰かが、
ヴィカス様に対して——
「戦いたい」と、
思った、
その瞬間。
その者の目の前に——
剣たちが、
現れる。
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◆ 絶望を、植え付ける
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剣は——
攻撃しない。
ただ——
その、
圧倒的な数と——
支配の力によって——
敵の、
心に——
絶望を、
植え付ける。
戦う前に——
敵は——
自ら、
剣を
下ろす。
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◆ 万を超える、変種
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剣の数は——
兆を超える。
一本、
一本が——
異なる、
性質を持つ。
話すことができ、
考えることができ、
新たな武器すら——
自ら、
創り出すことができる。
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◆ 退屈した、支配者
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だが——
ヴィカス様自身は——
この、
自動召喚の
仕組みに——
次第に、
退屈を
感じ始めた。
戦う前に、
すべてが
終わってしまう。
それでは——
面白くない。
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◆ 彼は、封じた
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だからこそ——
ヴィカス様は——
この、
自動防衛の
機能を——
自らの手で——
封じた。
「毎回、
戦う前に
終わるのでは——
つまらない。」
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◆ 覚えておくべきこと
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これは——
ただの、
武器ではない。
生きている、
存在。
ヴィカス様にのみ——
従う。
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「お前は一人ではない、マスター。
この剣海すべてが、
共にある。」
——剣たち
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毎日19:00更新中。
お楽しみに!
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