第214章:母の膝と、書物が知る海の深淵
序章 - 天国とは、場所ではない。
天国とは。
場所では、ない。
それは。
誰かの、膝の上かも、しれない。
誰かの、声かも、しれない。
今日。
一人の少年と。
一人の、水の精霊が。
同じ、天国を。
見つけた。
そして。
夜が更けた後。
その少年は。
一冊の、書物と共に。
海の、深淵を。
覗き込んだ。
第一章:膝の上の、二人
ヴィカスは。
母、キヨミの、膝の上で。
静かに、目を、閉じていた。
そこへ。
慌ただしい、声が。
響いた。
「マスター。」
「マスター、どこに、いるの。」
アクアだった。
「ここだ。」
ヴィカスは。
軽く、目を開けて。
答えた。
アクアは。
駆け寄ってきた。
「マスター。」
「こんな、所に。」
「おいで。」
ヴィカスは。
小さく、笑った。
「お前も。」
「母上の、膝に。」
「乗ってみろ。」
「天国が、見える。」
アクアの、瞳が。
輝いた。
「マスター。」
「本当、ですか。」
「母上。」
「私も、いいですか。」
キヨミは。
優しく、頷いた。
「もちろん、いいわ。」
「おいで。」
そうして。
ヴィカスと。
アクアは。
二人揃って。
キヨミの、膝の中に。
沈んでいった。
アクアは。
すっかり。
自分が。
なぜ、ここに、来たのかを。
忘れてしまっていた。
第二章:選ばれし、食卓
しばらくの、時が。
過ぎた後。
三人は。
三番目の、店へと。
向かった。
その、食堂は。
特別だった。
誰もが。
入れる、場所ではない。
ヴィカスが。
人の姿を、与えた者。
そして。
ヴィカスを。
主と、認めた者。
その、二つの、条件を。
満たす者だけが。
足を、踏み入れられる。
「マスター。」
アクアが、聞いた。
「日本から、来た。」
「あの、お二人は。」
「今日は、いらっしゃらないの、ですか。」
ヴィカスは。
小さく、頷いた。
「あの二人は。」
「俺の、妹だ。」
「いつでも、来られる。」
「だが。」
「来ない。」
「一人は。」
「レストランを。」
「次々と、開いている。」
「金策に、忙しい。」
「もう一人は。」
「農業省の、長官に、なった。」
「二人とも。」
「自分の、仕事に。」
「夢中に、なっている。」
キヨミは。
微笑んだ。
「それも、悪くないわ。」
「自分の、居場所を。」
「見つけたということ。」
食卓には。
静かな、時間が。
流れていた。
母の、笑い声。
アクアの、無邪気な、声。
それだけで。
この、王国が。
家であることを。
十分に、証明していた。
第三章:書物が、開く夜
夕食を、終え。
母も。
アクアも。
それぞれの、場所へと。
戻っていった。
ヴィカスは。
自らの、私室に。
一人、残った。
「無限真理よ。」
「召喚する。」
「叡智の書物。」
その、声と共に。
深い、青の、光が。
部屋を、満たした。
「マスター。」
「今宵は。」
「何を、お知りに、なりたい、ですか。」
ヴィカスは。
しばらく、考えてから。
答えた。
「教えてくれ。」
「この海で。」
「最も、強い、船を。」
「知りたい。」
書物は。
微かに、輝いた。
「マスター。」
「立体で。」
「実際の、映像として。」
「ご覧に、なりますか。」
「ああ。」
「見たい。」
「その方が、わかりやすい。」
「かしこまり、ました。」
その、瞬間。
書物の、頁全体が。
海へと、姿を、変えた。
黒い、帆を、張った。
一隻の、船が。
夜の、波の上を。
進んでいた。
その、船の、背後には。
無数の。
蛸の、触手が。
うねっていた。
「これは。」
「見事だ。」
「全てが、鮮明に、わかる。」
「あの、触手は。」
「何をしている。」
書物が、答えた。
「マスター。」
「あれは。」
「あの船の、船長が。」
「契約を、結んだ。」
「オメガ・インフィニットレベルの。」
「太古の、蛸です。」
「この海の中で。」
「最強の、一体。」
「その、全貌を。」
「見た者は。」
「契約者ですら。」
「一人もいません。」
第四章:太古の蛸
「戦うのか。」
「その、蛸は。」
書物は。
首を横に、振るように。
答えた。
「いいえ、マスター。」
「あの蛸は。」
「争いません。」
「船と。」
「乗組員に。」
「己の、力を。」
「分け与える、だけです。」
「だから。」
「あの船の、者たちは。」
「食べずとも。」
「眠らずとも。」
「海を、渡り続けられる。」
「エネルギーが、尽きることは。」
「決して、ありません。」
ヴィカスは。
静かに、息を、吐いた。
「なんという、世界だ。」
「この海には。」
「まだ、こんな、存在が。」
「隠れている。」
「マスター。」
書物は。
続けた。
「この海の、最深部。」
「セレスティアル・デプス、と呼ばれる、領域は。」
「131億平方キロメートルにも、及びます。」
「その、中心に。」
「太古の、蛸たちが、住まう、聖域が、あります。」
「彼らは。」
「殺すことも。」
「死ぬことも、ない。」
「ただ。」
「癒し、支え、分かち合う。」
「それだけの、ために。」
「存在、しています。」
「彼らを、殺せる者は。」
「この世界に、いません。」
「彼らを、裏切っても。」
「彼らは、決して。」
「牙を、剥かない。」
「それが。」
「彼らの、真実、です。」
ヴィカスは。
しばらく、その、映像を。
見つめ続けていた。
「海とは。」
「これほどまでに。」
「底知れない、ものか。」
第五章:訪問者
その、時。
扉が、開いた。
「マスター。」
「こんな、夜遅くまで。」
「何を、しているの、ですか。」
アクアだった。
「何も。」
「書物を通して。」
「この海を。」
「見ているだけだ。」
ヴィカスは。
軽く、笑いながら。
続けた。
「どうせ。」
「お前たちは。」
「俺を、外に、出さない。」
「なら。」
「この、書物で。」
「全て、見て、しまおう。」
「そう、思ってな。」
「私も。」
「一緒に、書物を、見て。」
「時間を、過ごします。」
「お前は。」
「休まなくて、いいのか。」
「マスター。」
「私は、スライムです。」
「休息など。」
「必要、ありません。」
「そうだったな。」
「以前は。」
「今は。」
「俺が、人の姿を、与えた。」
「休んでも、構わない、はずだ。」
「休むことは、できます。」
「ですが。」
「必要は、ないのです。」
「私は。」
「これで、十分、なので。」
ヴィカスは。
小さく、肩を、すくめた。
「なら。」
「いい。」
「俺も、竜だが。」
「休まない。」
「それでも、俺は。」
「何も、言われない。」
「なら。」
「お前が、休まなくても。」
「同じことだ。」
「主人が。」
「これほど、怠け者、なら。」
「従者に。」
「何が、できる、というのだ。」
アクアの、顔が。
一瞬で、赤く、なった。
「マスター。」
「二度と。」
「そんなことを。」
「ご自分に、言わないで、ください。」
「怒るなら。」
「怒れ。」
「だが。」
「俺から、離れろ。」
「誰かに、見られたら。」
「面倒だ。」
「お前と。」
「夜遅くに、二人で、いたと。」
「言われる。」
アクアの、瞳が。
揺れた。
「そんな。」
「そう、思われて、しまいます。」
「俺は。」
「困る。」
「離れろ。」
「叫ぶぞ。」
「襲われたと。」
「そうなれば。」
「お前が、どうなるか。」
「わかっている、な。」
「マスター。」
「もう。」
「わかりました。」
「離れます。」
「今は。」
「私に。」
「書物と、話を、させて。」
「ください。」
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【世界設定公開】ウィズダム・アイランド——第105の島、境界主
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皆さん、こんにちは!
「ダークコンチネント:生きる大陸と至高の支配者」の作者です。
今回公開するのは、
ウィズダム・アイランド——
第105の島。
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◆ 小さな島。だが——
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この島の、
面積は——
わずか、
360平方キロメートル。
だが——
その小ささに、
油断してはならない。
ここは——
「第106番目の門」を、
守る——
境界の地だ。
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◆ 一人の、女神
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この島には——
一人の、
女神がいる。
彼女は——
誰一人として——
この門を、
通させない。
「私を倒せ。
そして——
次の世界へ
進む資格を、
証明せよ。」
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◆ 3つの、区域
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この島は——
3つの
区域に
分かれている。
一——
「癒しの区域」。
すべてを、
回復させる場所。
二——
「第106番、
門の区域」。
次の島への、
開かれた門。
三——
「女神の区域」。
女神と、
戦う場所。
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◆ 戦いの、途中で
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戦闘の中で——
もし、
あなたの仲間が——
深く、
傷つけば。
女神は——
攻撃を、
止める。
そして——
玉座に、
座り。
こう、
告げる。
「私は、
ここにいる。
まず——
あなたの仲間を、
癒しなさい。
さもなくば——
5分以内に、
彼らは——
命を
落とすだろう。」
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◆ 彼女は、殺さない
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これまで——
この女神が、
自らの手で——
誰かを、
殺したことは——
一度も、
ない。
命を落とす者は——
皆——
自らの、
選択によって——
倒れていく。
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◆ 二つの、道
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仲間が、
瀕死の状態に
陥った時——
道は、
二つ。
一——
その仲間を、
その場に
置いていく。
女神が、
攻撃を
止めている、
その隙に——
第106番の門へと、
進む。
だが——
その状態のまま
門をくぐれば——
その者は——
命を、
落とす。
二——
仲間を、
「癒しの区域」へと
運ぶ。
あるいは——
そこに、
残していく。
そして——
自分たちだけで、
門をくぐる。
多くの、
海賊たちが——
こうして、
先へと
進んでいった。
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◆ すべては、船長次第
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もし——
仲間が、
瀕死に
陥ったのならば。
それは——
多くの場合——
船長、
あるいはリーダーの——
判断の、
過ちに
起因する。
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◆ 覚えておくべきこと
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「あなたは、
挑むことができる。
戦うことも、
できる。
私を倒すことも、
できる。
だが——
誰も、
連れずに来たならば——
あなたは、
決して——
次の島には、
たどり着けない。」
——境界主
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毎日19:00更新中。
「もしあなたがこの島の船長だったら——瀕死の仲間を、癒しの区域へ連れて行きますか?それとも、そこに置いて門へ進みますか?」
コメントで聞かせてください。
お楽しみに!
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