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収穫祭の魔女  作者: れいてんし
Episode 3. Tomb of the Red Queen
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Chapter 16 「蛙の神」

 赤い女は倒れた。


 全員が寄生していないこと。

 入り口から赤い女と戦った部屋までの間の通路には、もう寄生生物が残っていないことの確認は済んだ。


 熱線は外に出た時にとりあえず空へ放っておいた。


 安全を確保した後は、全員で探索だ。


 カエルの呼び声対策は、音の出口に物を詰めても風で飛ばされてしまうので、管の途中を凹ませるという対策を取った。

 教授は渋っていたが、さすがに放置すると人の命にかかわる事態なので仕方がない。


「音の出口は一か所ではないはずだ。他にもいくつか隠されていると考えていい。全部潰して回る必要があるな」

「他も壊すのか!?」

「諦めてくれ。あんたの国の法律でも、遺跡内の人を殺傷する罠は停止させていいと規定されているはずだ」


 パタムンカさんが言うと、正論だったからなのか、教授は歯ぎしりをしただけで終わった。


「ガーネットちゃんは風の流れが分かるんだっけ?」

「カードには書いてない能力なんですけどね。音からも空気の流れが分かるんです」

「というわけで、オレとガーニーの2人で、このカエルの合唱団は潰して回るぜ」


 ウィリーさんがただの壁にしか見えない場所を叩いた。

 テンガロンハットを脱いで、壁に当てると、ふわりと浮き上がった。

 一目しただけでは分からないが、どうやら通風孔になっているようだ。


「こういう風の流れが分かるんです」

「中に管が埋まっているらしい。なので、オレがエネルギー弾を撃ち込んでやると、中の管が壊れて凹むってわけだ」

「周波数が狂えば、音の種類が変わるので、洗脳効果はなくなるはずです」


 ウィリーさんが腰のホルスターから拳銃を取り出して、指先をトリガーガードに引っ掛けて回転させた後にまたホルスターに戻した。

 西部劇などで見るガンプレイだ。


「全員の安全がかかっていますので、対策をよろしくお願いします」

「まあ、結構な数があるみたいだし、じっくりやるさ」


 カエルの呼び声対策はウィリーさんとガーネットちゃんが教授とパタムンカさんのサポートに付けば大丈夫だろう。


「しかし、確かにこの遺跡は興味深い。この大陸の文明とは全く異なる思想と技術で作られている。やはり君たちに話を聞いたエジプトの影響だろうか」


 教授は遺跡破壊について、もう何も考えたくないのか、突然に話題を切り替えた。

 広場に掘られた彫刻、祭壇の紋様などを細かくスケッチをし始める。


「エジプト文明について何か知らないか? 少しでも特徴を教えてもらえると参考になるかもしれない」

「残念ながら専門家でもなんでもないので」


 エジプトの遺跡と聞くと最初に連想されるのはピラミッドやスフィンクスだが、それらについては観光ガイドチラ見程度の知識しかない。

 それは教授の求めている専門知識とは別物だろう。


「クロウさんやハセベさんはどうですか?」

「私も門外漢だな。クロウさんは?」

「大学で少しだけ講義を受けたな。日本国内でエジプトの影響を多く受けた古墳を見つけたとかそういう話だ」


 クロウさんが壁のレリーフを触りながら言った。


「詳しく聞かせてくれないか?」


 日本の古墳の話という言葉に教授が食いついた。


「いや、たいした話じゃないさ。母校の教授が昔に奈良の山奥でそんな遺跡を発見したってだけの話だ」

「発見された遺跡はどうなったんだね?」

「なんでも、複数の大学で共同研究をしていたが、突然予算が出なくなって調査継続を断念したらしい。それだけさ」

「どこの国でも同じだな。歴史学は金にならんから仕方ないさ。研究より日々の生活が大事だ」


 アンカス教授が意味深に言った。


「私も義母のサポートがあるから続けられているだけで……いや、ここでそんな愚痴はやめておこう」


 教授はリプリィさんの方を向いて小声で呟いた。


「クロウさんは、大学時代は歴史専攻だったんですか?」

「専攻は教育学だよ。こう見えて、日本にいた時は小学校教師だった。歴史は一般教養の講義で少し学んだだけだ」

「私の友人も教師ですよ。まだ卵ですけどね」

「そうだったのか? 大変な職業だけどやりがいはあるから頑張ってくれと、その友人さんに伝えてくれ」

「ありがとうございます。伝えておきます」

「しかし、宝石や金の装飾品くらい出てくると思ったんだが」


 こちらはパタムンカさんだ。


 彼女は探掘家だけあって、やはり俺たちが出すガイド料だけでは不満で、何かしらの報酬――売却できるような宝物が何かないか探しているようだ。


「そういう点でもマヤとは傾向が異なるな。金属よりも石や宝石を神聖視していたようだ。特に球に対するこだわりが強い」

「赤い宝石にだけは注意してください。あれは寄生生物の種……卵のようなものです。所持していると、それに寄生されて変異体になってしまいますので」

「さすがにそれは高く売れようと触りたくないねぇ。苦労して持って帰っても偽宝石な上に自分にも被害があるとか」


 パタムンカさんが露骨に嫌悪感を示した。

 

「ところで、このミイラは貰っていいのかい?」


 パタムンカさんが指し示したのは、かつて「赤い女」だったミイラだ。


 俺たちの敵であり、戦った関係ではあるが、ゲームマスターの犠牲者だった可能性もある。

 そう考えると、日本人的な考えではあるが、土に返してやるのが正解ではないだろうかと思えてくる。


「ミイラは古代のものだが、他所から持ち込まれたものだぞ。出所不明のミイラを買い取る古物商はいないだろう。偽物かもしれないのに」

「確かにそうか」


 パタムンカさんは教授の言葉に納得して興味をなくしたようだ。


「こいつは結局何だったんだろう」

「無貌の神の模倣だろうな。トラペゾヘドロンもどきを使うところまで模倣だ」


 カーターが相変わらずよく分からない話を始めた。


「俺が全部知ってる前提で意味不明な固有名詞を並べて話をするのをやめてくれ」

「赤い女はレイナ=ロハって名乗ってただろ。地球の南米の古代遺跡で発見された2つのミイラ、レイナとナイア=ロハの組み合わせだろう。スペイン語で赤の女王」

「なんだか分からんが、つまり偽名か」

「偽名だな。こいつ自身は本当に名もなきミイラでしかない。多分、運営に仮初の蘇生をされたんだ。このまま生き続けたければ言うことを聞けと」

「無縁仏みたいなもんか。じゃあ、どこかに埋葬するのがいいな」

「ああ……」


 さすがに、どこかの博物館に展示するのも、ここに放置もすっきりとしない。

 一通り片付いた後に、どこか適当な場所に埋葬するとでもしよう。


「一応、石像やら何やら売れそうなものはあるが、重いものばかりだし、後日、荷車と人足を揃えてから回収だな。まあ、それなりに儲けさせては貰うよ」

「この遺跡で見つけた品は、タウンティンの文化庁が買い取るということをくれぐれも――」

「――わかってるって」


 パタムンカさんは教授の話を流しながら、500ミリのペットボトルサイズの小さい石像を自らの鞄に入れた。

 教授に「今日はこいつだけだ」と断りを入れているので、無断持ち出しではないだろう。


 そして、今までの言動から、安物を持ち帰るはずがないと分かる。

 小さいが、それなりの価値があるものなのだろう。


「繰り返し言いますが、赤い宝石だけは――」

「はいはい、こちとらプロだ。それくらいは分かってるさ」


 念のために口が酸っぱくなるほど警告はしておく。


 俺たちが見逃した赤い宝石を事情をよく知らない人足が見つけて町に持ち帰ったことによりパニック。

 B級ホラー映画では頻繁に見る展開だ。


 俺たちがいなくなった後とはいえ、そのような事故が起こったとなれば寝覚めが悪い。


「それで、その祭壇の下にある隠し扉は調べたのか?」


 パタムンカさんから声をかけられた。


 隠し扉の存在など知らなかったので、俺は慌ててパタムンカさんが指差す祭壇の下を覗き込む。


 分かりにくいように偽装されてはいたが、祭壇に四角い切込みが入っている。

 微妙に石が削れてできたであろう砂がこぼれているので、最近開閉した形跡がある。


 切込みの横には何かをはめ込むような小さな窪みがある。

 鍵を差し入れれば扉は開くのかもしれない。


「意外と単純な構造だな。これならば手持ちの道具で簡単に解錠できるかもしれない」


 教授は俺と同じように祭壇の下の扉を見た後に、自信ありげに言った。


「この手の隠し扉を見るのは初めてじゃないが、経験上は開けると半々くらいの可能性で酷い目に遭う。その上で確認だが、あんたはどう思う?」


 パタムンカさんに突然意見を求められた。


「開けるべきか、それとも開けないべきか?」

「俺としては調べないという選択肢はありません。この下に何か別の祭壇があって、邪神の類を呼び寄せるような仕組みがあると、悪用されかねないので」

「オレも同意見だ。この下にまだ赤い宝石が隠されている可能性が残っているならば、見過ごす理由はない」


 クロウさんも同意見のようだ。

 クロウさんの仲間であるレオナ&マリアもこれに賛成した。


「私としては危険は避けたいところだが、何もしないで帰るのも違うだろう」


 ハセベさんも同意見。


「モリ君の意見は?」

「寄生生物の対策はしっかりするという条件をお願いします。具体的にはミミズサイズの寄生体を目視できるエリスと、駆除ができるラビさんの参加です」


 モリ君は基本的には賛成だが、その内容が具体的だ。

 クロウさん、ハセベさんも納得したようだ。

 

「私も手ぶらで帰る気はない。これで全会一致だ」

「では私が解錠してみよう」


 教授はそう言うと、鞄の中から何やら道具を取り出して扉の横の窪みに細工を始めた。


 様々な道具を取り出して試行錯誤しているうちに、突然にカチャリと小さい音が鳴り響いた。


「開くぞ」


 教授とパタムンカさんが石造りの扉を横にスライドさせると、ゆっくりとだが中の様子が露わになった。


 扉の向こう側は地下へと降りていく階段になっていた。


 階段の先は漆黒の闇が広がっており、その先に何があるのかを見通すことはできない。


 パタムンカさんが慣れた動きで移動させた扉に楔を打ち込んでいく。

 恐らく扉が自動的に閉じる仕組みが備えられている場合に閉じ込められることを防ぐための措置だろう。


「この先には誰が行く? もちろん私は行くが」

「当然だが、教授である私も行くべきだろう」


 パタムンカさんと教授はさらに地下に赴くつもりのようだ。


「俺たちが行かないという選択肢はないでしょう、ラビさん」


 モリ君も地下の調査については前向きのようだ。


「ただリプリィさんたちはここに残っていてください。どんな危険があるかわかりませんので」

「わかりました。ヒロカズさんも気を付けて」


 リプリィさんがモリ君だけに手を振る。


「いやちょっと待ってくれる。なんでリプリィさんがこいつの本名を?」


 ここでエリちゃんがリプリィさんへ絡むように近寄って行った。


「私はリプリィさんも友達だと思っているから正直に聞くね。何があったのか教えて」

「ヒロカズさんに気持ちを伝えて、正式にフラれました。それだけです」


 リプリィさんは答えた。

 憑き物が落ちたような爽やかな顔だった。

 エリちゃんはしばらく無言でリプリィさんとモリ君を交互に見た後に、笑顔を浮かべた。


「それならいいか」

「はい。だから私の分までエリスさんにお任せします」

「別に私は、モリ君とは恋人関係じゃないけど、他ならぬリプリィさんの頼みだし、分かったよ。後は任せて」


 2人の中では今の短いやり取りで何かが解決したようだ。


 だが、俺には何が起こったのかすら理解できない。

 誰か詳しく説明して欲しい。


「なっ、女ってのは男には理解できない生き物だろう、ラビ助」


 難しい顔をしていたところを突然にカーターに肩を叩かれた。


「本当に理解できんぞ。やっぱり俺は女として生きていくのは無理だわ」


   ◆ ◆ ◆


 地下に降りるメンバーは教授、パタムンカさんと寄生生物対策として俺。

 寄生生物を視認できる視力を持ったエリちゃん。

 壁とヒール持ちのモリ君という、いつもの3人+アルファになった。


 ゆらゆらと揺れる松明の灯りだけを頼りに長い階段を5分ほど降りると、細く長い通路に到着した。


 幅は狭く、2人が横に並ぶとそれだけで通路は埋まってしまう。


 ただでさえ狭い通路だというのに、左右には様々なポーズのカエルの像が設置されており、さらに狭くなっている。

 その目の部分には何かをはめ込むような窪みがあった。


 蛙の像がある場所は2人横並びで進むのは難しいだろう。


「防御スキルを使える俺が前に出ます。エリスはすぐ後ろで目を光らせていてくれ」

「前に出るならこいつを使いな」


 パタムンカさんが奇妙な形状のランタンをモリ君に手渡した。


 丸い形状で、内側は鏡が張られているようだ。

 中に火を灯すと、かなり明るい光が広がった。


 構造としては車のヘッドライトと同じだろう。

 鏡が光を反射させて、一方向へ光を集中させることで、より明るく照らす。


「ありがとうございます。パタムンカさんと教授は後ろに付いてきてください。ラビさんは最後尾で後ろからの攻撃に警戒を」

「任された」


 モリ君がついに自主的に指示を出してくれるようになった。


 危険な遺跡内で突然に思春期イベントを始められた時は少し頭を抱えた。

 だけど、そのおかげで人間的に成長できたと考えると、そこまで悪い話ではなかったのかもしれない。


 このままどんどん成長して、もっと俺を楽にさせて欲しい。


 俺は楽なのが好きなのだ。

 世の中効率がいいのが一番だぞ。


「その赤い宝石が危険なやつなんだよな」


 パタムンカさんがカエルの像の一体を指差した。

 直接触れないのが慎重なところだ。


 カエルの像に埋め込まれた赤い宝石がランタンの光に反射して不気味な赤い輝きを見せる。


「何も知らなければ、ここは宝物庫で、宝石はルビーか何かと勘違いしてもおかしくはないか」


 像のすぐ脇には、探掘家の所持品らしき布の鞄がいくつも転がっていた。

 寄生体に変えられた探掘家が生前に使用していたものであろう。


「これ見よがしに目立つところへ置いてあるのは罠だな。金目のものがあるかもしれないと手を出した奴に対して何かを仕掛けるパターンだ」


 通路の一番奥には大理石で作られた石の玉座があり、そこには不気味な生物のミイラが鎮座していた。


 胴体と首の境目がない丸い頭部。

 頭の上には飛び出た巨大な2つの目があり、特徴はカエルに似ている。


 首……というか胸元には、赤い宝石が付いた首飾りのようなものを掛けている。


 頭頂部からはイソギンチャクの触腕のようなものが垂れ下がり、太い胴体からは、山羊から移植したような細くて長い蹄のある二本の長い足が生えている。


 寄生体の変異体と共通する部分があるが、これも変異体のミイラなのだろうか?


 その時、そのミイラの右腕がゆっくりと動いて俺たちを指差した。


「ゲコ」


 静寂をカエルの鳴き声が切り裂いた。

 それは通路全体に反響し、空気を大きく揺るがせた。


「ゲコ」「ゲコ」「ゲコ」「ゲコ」


 カエルによる輪唱が俺たちを取り囲んでいた。


 鳴き声は通路に反響し、まるで何万匹ものカエルに取り囲まれているような錯覚を覚える。


 誰かが何かを叫んでいるようだが、カエルの鳴き声以外は何も聞こえない。

 思わず耳を塞ごうとして――その手を止めた。


 これは空気の流れがどうととかいう話ではない。

 単純な音ではなく、脳内で直接鳴っている。超音波か精神攻撃か……。


 ふと気づくと、いつの間にか立ち上がったミイラが先頭にいたモリ君へ手を伸ばし……それをエリちゃんが両腕でガードして食い止めていた。


 エリちゃんが苦悶の表情を浮かべている。


 ランクアップ後はSFロボ、赤い女といったボス相手でも一切苦戦することがなかったエリちゃんだが、このミイラ相手には明らかに力負けしている。


 異常な事態が起こっている。


 一瞬「魔女の呪い」を使用することも考えたが、今の状況では使用できない。

 味方を誤射する可能性も高い上に、天井が崩壊して生き埋めになる可能性がある。


 それに、熱線は対象を焼くだけではなく、周辺の酸素も大量消費するはずだ。

 このような密閉した場所で使用すると酸欠や一酸化炭素中毒も引き起こしかねない。


(シールド)を展開! 残り2匹は体当たりだ!」


 2羽の鳥をミイラの顔面に直撃させるが、何のダメージも入ったようには見えない。


 だが、ミイラとエリちゃんの間に形成した盾については有効に働いた。


 盾がミイラの腕を少しだけ押し戻したので、ミイラとエリちゃんとの距離が微妙に開いた。


 その隙にエリちゃんはバックステップでミイラと距離を取る。

 そしてモリ君がすかさずエリちゃんに近寄り、回復能力(ヒール)で腕の傷を癒した。


「ゲコ」「ゲコ」「ゲコ」「ゲコ」


 カエルの輪唱はまだ続いており、耳がおかしくなってくる。

 意味がないと理解しつつも、たまらず箒を持っていない左手を耳に当てた。


「全員退避! 一度引き返して体勢を……」


 全力で叫ぶが、カエルの輪唱によって、それはかき消されてしまう。

 俺の声が届いたとは思えない。


 ただ、教授とパタムンカさんは状況が不利だと把握したのか、自主的に逃走を開始したようだ。

 2人で肩を支え合いながら階段の方へと駆け上がっていく。


「せめてこの輪唱を止めないことには……」


 効果があるか分からないが、単体発動の第3スキル「極光」を放った。

 通路に設置されていたカエルの像。

 探掘家の荷物が入った鞄。

 赤い宝石など、目についた怪しそうなものを一通り薙ぎ払う。


 赤い宝石は砕け散り、探掘家の鞄は吹き飛んで中身をぶちまけた。


 虹色の閃光による石像の直接破壊はできなかったが、それでも石像を台座の上から落として、衝撃で破壊することには成功した。

 

 何個か石像を倒すと、今までうるさく鳴いていたカエルの輪唱がピタリと鳴り止み、通路内に静寂が戻ってきた。


「この狭い通路だと戦うのは無理だ。2人とも一時退避を!」

「わかりま――」


 モリ君の返事は、再開した輪唱によってかき消されたが、その前に俺の言葉は伝わった。


 音を鳴らしているのは単純に石像という話はないだろう。他に何か別の要因がある。


 モリ君はミイラの前にスキルで青く光る壁――プロテクションを出現させた後に俺の方へと走ってくる。


 音は聞こえないので素早く指で指示を交わす。

 そして、俺たち3人は階段を全力で駆け上がっていった。


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