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アリシアお嬢様と仲良し大作戦 1

〜登場人物〜


カロリーナ……小さくされてメイドとして働くことになった元令嬢

アリシア……カロリーナたちが仕える優しいお嬢様

エミリア……意地悪な通常サイズのメイド

キャンディ&メロディ……元気で無邪気な双子姉妹

「キャンディちゃん、メロディちゃん、アリシアお嬢様からのお呼び出しよ」

この間と同じように、ベイリーが丁寧にノックをした後部屋に入ってきて、2人のことを呼んだ。


「アリシアお嬢様からお呼ばれ!」

「アリシアお嬢様とお友達!」

先ほどのアリシアお嬢様と仲良し大作戦なるものを一緒に実行することになったキャンディとメロディはとっても楽しそうにしていた。


「なあ、ベイリー。あたしらもどっちか一人はついて行って良いよな?」

今までは、基本的にキャンディとメロディがアリシアお嬢様に呼び出されたときにはリオナがついて行っていた。


「良いわよ。でも、今日はカロリーナちゃんのご指名があったから、カロリーナちゃんが行ってきてもらえるかしら?」

「え?」とわたしは目を大きく見開いた。アリシアお嬢様から呼んでもらえるのは嬉しい反面、不安もある。つい半日ほど前に倒れて、粗相をしたばっかりで、さっそく呼び出しなんて、何か怒られてしまうのだろうかという可能性もある。


アリシアお嬢様は優しそうだったけれど、実は怖くて、そのままペロリと口の中に……、とまではさすがにいかないにしても、何らかの罰は受けてしまうかもしれない。


「行こう、カロリーナ!」

「アリシアお嬢様のとこ!」

2人に手を引っ張られながら、部屋の外に出る。


「じゃあ、頑張ってこいよ〜」とリオナが間伸びした声で応援してくれていた。

不安混じりのわたしと違って、リオナは随分呑気そうだった。


「ねえ、カロリーナ。アリシアお嬢様のこと、どうだった?」

「どうだった? どうだった?」

「どうって……」

「優しかった?」

「可愛かった?」


楽しそうに尋ねられた。そのどっちもだった。だけど、その印象が合ってるかどうかわからず、不安にはなっていた。ソフィアにだけ優しかったエミリアのように、アリシアお嬢様も、ソフィアの前でだけ優しいということも十分考えられた。


「ねえ、アリシアお嬢様って本当に優しくて、可愛いの?」

尋ねられたことを、そのまま返す。二人の素直な感想を確認しておきたかった。

「優しいよ! いっぱいお菓子くれるし、いっぱい撫でてくれる!」

「可愛いよ! お姫様!」


2人の話してくれたイメージは、大方わたしのもっていたものと同じ印象だった。なら、わたしが呼び出された理由は罰ではなさそうで少し安心した。小さなメイド屋敷のドアを開けて、意気揚々と外にで出る。


出た時にいるのはアリシアお嬢様なのだと思っていた。だから、外に出てまず目に入ったのが、メイドエプロンのほんのり膨らんだ胸元だったのを確認して、わたしは咄嗟にキャンディとメロディの後ろに隠れた。


小さな子どもを盾にするのは恥ずかしいことはわかっているけれど、さっきの勢いよく蹴ってきた大きな靴も、押さえつけたり、逆さ吊りにしてきたりした巨大な手も、すっかりトラウマになっていた。


「カロリーナ、大丈夫?」

「カロリーナ、お腹痛いの?」

「あなたたちは大丈夫なの? エミリアだよ?」


エミリアの耳に入らないように、2人しか聞こえないような小さな声で尋ねた。恐る恐る上を見上げると、冷たい目でわたしたちを見下ろすエミリアの姿があった。当然屈んで視線をあわせたりするような気遣いはない。まるで、わたしたちに自分の大きさを誇示するみたいに、腕組みをして、冷たい目で見下ろしていた。


怯えるわたしに、キャンディとメロディはこちらを向いて、そっと頭を撫でてくる。2人の小さな手がわたしの頭に触れて、くすぐったさと、恥ずかしさの両方の感情がやってくる。


「エミリアはただ運ぶだけ!」

「アトラクションだよ!」

「アトラクション……?」


わたしが尋ねたのと同時に、エミリアがわたしたちを鷲掴みにした。

「え!? 何のつもり!?」

掴み取りをするときみたいに適当に、左手だけでわたしたちを3人とも捕まえてしまった。

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