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第80話

ようやく出発することとなる。


隊列は、

      ↑(進行方向)

   騎士    騎士

   騎士    騎士

男爵家馬車

     護衛馬車(デスタPT組)

     移民馬車

     移民馬車

     移民馬車

     移民馬車

     移民馬車

     護衛馬車(俺組)

     移民馬車

     移民馬車

     移民馬車

     移民馬車

     移民馬車

     護衛馬車(イル組)


車間距離も含めれば300m位の隊列になる。


進むスピードは、歩くよりは早い、走るよりは遅い。


多分時速15~18km位だろうか。


初日の移動は、休憩と野営準備を含めて一日の移動がおよそ10時間。


道中は何事もなく、100km程は進んだだろうか。


地図という物がほとんど発達していない(知らないだけかも)この世界では、おおよその移動時間でしか判断が付かない。


昔の日本のように一里塚とかあれば良いのに。


ずっと馬車に乗りっぱなしの旅は、なかなかハードだった。


二つに割れているケツは腹筋バリに六つや八つに割れる寸前だった。


少し開けて視界の良い草原で、原野営の準備をする頃にはもう、とっぷりと陽は暮れていた。



皆に交じって野営の準備をする。


気配察知で周囲を探ってみる。


魔物も他の人間もいないようだ。


男爵家のメンバーを中心に、移民が回りを囲み、その外側に馬車で簡易的な馬防壁をつくり、

その外側にデスタパーティや騎士、従者の見張り担当が四方に散る。


焚火   デスタ・女奴隷    焚火


 馬      異民      馬 

 車      騎士      車

     移      移

     民  男爵  民   


騎馬  移  従者  移    馬従

士車  民      民    車者

        移民      

 馬              馬

 車      俺達      車

      

焚火     獣人奴隷(竜)  焚火




イル組が野営場所につく頃にはすでに、デスタパーティはすでに配置について、干し肉とパンをかじっている。


焚火もすでに四隅に焚かれており、男爵家従者の人と移民奴隷が薪になるものを焚火の脇に運んでいる。

一晩分の薪は結構な量だ。焚火から数m離れたところに積まれている。



移民団の獣人奴隷たちは輜重隊の馬車から食料や天幕をだして、野営の準備に余念がない。


移民団の獣人奴隷は防具は持たされていないようだ。


武器も短槍がいくつか、不寝番が引き継ぐ用にあるだけのようだ。


せめて短剣だけでも全員に配ればいいのに。



「イル、サミー、ヒルダは一組になって回りを見回ってきて。

距離を測るために、弓の届く位置に何か目印もよろしく。

 他は食事と野営の準備をして。」


あの三人に任せておけば俺の気配察知に気取られないような魔物がいても何とかなるだろう。


ストレージから、薪、カマド、テーブル、イス、鍋に入ったシチュー等を取り出しながら支持を出す。


準備と言っても俺のメンバーは、大体三分のニが馬車で寝る。三分の一が私的警備だ。


他の移民団のようにテントを張ることもない。


食事の準備に至っては、ストレージから取り出すだけで、せいぜい冷めないようにカマドにかけるだけだ。


それを見ていた男爵家の従者の一人が声をかけてくる。


「男爵閣下にその食事を持て。」


上から目線のそのセリフにカチンとくる。


「依頼主の食事や身の回りの世話は依頼内容に無い。」


獣人差別をしない男爵の家人であっても身分差別をするのか。


男爵に対する評価を一段階下げる。


貴族に対して平民は自ら進んで奉仕せよ?


ふざけるな。


「なんだと? 無礼な。 この冒険者風情が。」


「主に温かい食事を準備できないのはお前らの怠慢だ。

周りに迷惑をかけるな従者風情が。」


「な、な、な、な、」


「俺が受けたのは移民の護衛であって、お前らの護衛ではないことも忘れるなよ。」


当然のことのように理路整然と告げる。


契約社会の現代日本で生きてきた経験をナメるなよ。


言葉尻を捕らえられないように気を付ける位は常識だ。


貴族や平民って身分に対する考え方もお前らとは違うんだよ。


「きっ きさ「下がれ」ま~」


従者がなにか言おうとしているところを男爵が遮る。


「私の家人が申し訳ない。」


間に入った男爵は、軽く頭を下げるとともに従者に告げる。


「エバンス。お前はこれから屋敷へ戻れ。

 代わりにオマリーを騎馬装備でこちらへよこせ。

 すぐにだ。」


「ですが、」


「お前はわが男爵家の従者として問題がある。

 私が帰国後に処分を言い渡す。

 それまで謹慎しておれ。」


ワナワナとしながら親の仇を見るような目でこちらを見てくる従者エバンス。


またしても敵を増やしてしまったかもしれないけれども、獅子身中の虫よりは、敵認定できた方がマシだと思う。


「覚えておれよ。」


従者エバンスのセリフに


「お前の存在に、その価値があると思っているのはお前だけだ。屑が。」


なんだろう?


最近、日本で生きていた時の、配慮遠慮気遣いが無くなってきている気がする。


転生の影響だろうか?


「あまり言ってくれるな。」


男爵がなだめてくる。


「俺的には、こいつが自領に帰って有る事無い事言って、問題起こす確率が大きいと思う。

 誰か信用できる人間をつけないと、あとあと面倒になりますよ。」


交代要員のオマリーに「護衛が謀反」的なことを吹き込まれたらかなわんがな。



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