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第63話

その日も先輩組の三人とダンジョンに潜ることにする。


良い依頼も無かったし、魔物との遭遇率からすると、ダンジョンに潜ったほうが森に狩りに行くよりも戦闘が多く、短時間で経験値や金が稼げるからだ。


そのせいで、冒険者がダンジョンに潜るのを優先して、護衛や採取系の依頼をする人員が減って冒険者ギルドとしても頭を悩ませているらしい。


今日も魔物がよく湧く日のようだ。


朝から、ひっきりなしに魔物が現れては俺たちに倒されていく。


魔石や、死体は全てストレージに納める。


魔物がようやく途切れたと思ったら、前から人の声とドタバタ走る音がする。


魔物との連戦で気配察知を見ているヒマがなかったのだが、気配察知に前方から黄色い光と赤い光が近づいてくるのが分かる。


「何人か魔物に追われて逃げてくるぞ。」


皆に注意を促す。


後ろから魔物の気配も迫ってきているので、今後考えられる流れとしては俺達を襲おうってのじゃなく、なすりつけか援護を求めてくるかのどちらかだろう。


念のためどんな連中なのか壽眼で確かめようと発動させる。


比較的長い直線の向こうに松明と[ライト]らしい光が見える。


六人。


陸人族が五人に、ドゥエルフ?が一人。


ドゥエルフってなんだ?


レベル十が四人、レベル九が一人、ずっと下がってレベル三がドゥエルフだ。


スキルのほうは剣や短剣の1か2。


盾の2を持っているやつもいる。


おっ?レベル三が風魔法1と土魔法1を持ってる。


回復職は居ないが、まあまあバランスの取れたパーティだろう。


でもなんか変だ。


前を走るガタイの良いレベルの高い連中が武具と小さなザックしかもって居ないのに、後ろを走るレベル三は小柄なのに大きなリュックをいくつか背負っている。


魔法使いなのに荷物持ち担当なのか?


レベルも合わないし。


見習いとかか?


「あぁっ」


後ろから追っている魔物が投げた武器が、最後尾を走るレベル三に当たったようだ。


レベル三が悲鳴をあげて倒れる。


「構うな、金目のものは持たせてねぇ。」


先頭を走るチェインメイルの剣使いが言い捨てると、他の四人と一緒に俺達の脇を駆け抜けていく。


倒れたレベル三は見捨てられたようだ。


駆け抜けた奴らの誰かが、


「あとはよろしくな。」


とニヤッと笑いながら言い残していく。


なすりつけだ。


「こけたヤツを助けるぞ。」


皆に声をかけ、前に向かって走り出す。


皆も同じ気持ちだったのか、送れずに着いてくる。


MPの尽きかけている俺はもう攻撃に魔法を使えない。


[ダンジョン移動]を使うMPにギリギリだと思う。


「イル。魔法も良いぞ。」


普段使わせないようにしている水魔法を解禁する。


追ってきている魔物は十数匹。


出し惜しみしていては、疲れの出始めている俺達では乗り切れないかも知れない。


こけたまま重い荷物にまとわりつかれて、起き上がれないでいるレベル三のすぐ後ろまで迫っていた魔物達にイルの複数攻撃の水魔法[水刃]が当たる。


吹き飛んだ魔物に俺の鎚、ヒルダの双斧、サミーの双刀が追い討ちをかける。


戦いながら、レベル三に声をかける。


「大丈夫か。」


「はい。」


息切れしながらもしっかりとした返事が返ってくる。


「アイツらとのパーティから抜けろ。」


支持を出す。


違うパーティのメンバーでは、[ダンジョン移動]で一緒に移動できない。


逃げるにしても、うちのパーティに入れなければいけない。


「も、もう誰も残ってません。」


擦り付けていった連中は、逃げていった先で別の魔物と会って全滅したようだ。


レベル三を詳しく壽眼で確認しているヒマもない。


「じゃあウチのパーティに入れ。」


鎚を魔物に振り下ろしながら、パーティ勧誘と念じる。


すぐに承諾の感覚がある。


「荷物を置いて、仲間が逃げていったほうの警戒をしろ。足止めくらいはできるか?」


俺達は、奴らを追っかけてきた魔物の相手で、手一杯だ。


奴らを倒した魔物の団体さんが来たらヤバイことになる。


「一分位なら。」


自分の実力を把握していると言っていいだろう。


レベル1の魔法は単体攻撃しかできない。


武装も短剣とローブと貧相だ。


よくこんな装備とレベルでダンジョンの二十階層あたりまで来たな。


「任せた。」


レベル三に、声と一緒に[初級回復]をかける。


レベル三を追いかけてきた魔物はようやく四匹位まで減らした。


「倒しきったら、サミーとヒルダは警戒しつつ魔魂石を回収。イルは反対への備え。」


「「「はい。」」」


奴隷と主人のパーティだけあって「何で」や「どのくらい」といった質問がない。


日本で呼んだ本によると、軍隊では「何故?」と聞く戦闘員は二流らしい。


戦闘員は上官に従う。下士官になって初めてその行為の意味を知る必要がある。


と書いてあった。


全員がいちいち命令の背景まで考えていては攻勢に逆らえないのだろう。


その意味では今は理想的だ。夜の下克上さえなければ。


ようやく追いかけてきた魔物を倒しきる。気配察知にも反応はない。


「魔魂石を拾ったら後退。なすりつけパーティの後を追うぞ。」


すぐさま魔魂石を拾い終えると、五人で後退する。


気配察知ではすでに反応していないし、同じパーティだったレベル三が誰も残ってないというのだから全滅しているのだろう。


遺品くらいはハイエナしてやろう。


なすりつけた代償くらいは貰っておいてもバチは当たらないだろうし。


程なく、通路には装備品やリュックだけが転がっていた。


死体はすでにダンジョンに吸収されてしまったらしい。


残ったものを全て、ストレージではなくあえて時空魔法の[亜空倉庫]に入れる。


ついでにレベル三が抱えていたリュックも一緒に放り込む。


「よし、集まれ。とっとと逃げるぞ。」


意味の分からない様子のレベル三を無理やり引き寄せ[ダンジョン移動]でダンジョンを出る。





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