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第58話

女の買い物は長い。


永い。


「服はそれぞれ3着。下着や靴下なんかも込みで。手短にね。」


手短に。


買い物をする女子には、なんの意味も持たない言葉だったようだ。


キャハハウフフ言いながら、楽しそうに選んでいる。


一時間ほど我慢した。


いいかげん待ちくたびれて


「二十数えるまでに持ってこなかったら、そいつのは買わないぞ~。」


あわてて持ってきやがった。


さすがに下着は新品だったが、他は古着だったせいか、まとめても1万ゴルいかなかったのが救いだ。


次に適当に武器屋に入る。


ノーラが槌1と斧1、ターナが槌1と盾1だから、二人には青銅の槌。


コリナドーラが短剣1と暗器1だから、鋼鉄の短剣。


鈍器は別に金属でさえあれば良いと思うんだ。


青銅で殴られても、鋼鉄で殴られても同じだと思う。


刃物とは違うのだよ、刃物とは。


他には三人共通で、短弓、革の胸当て、革のヘルメット、青銅の篭手、青銅の脛当てを買うことにする。


服屋で有ったあれほどの情熱は今は無い。


ただドナドナと俺の後をついてくる。


武器屋の壁に展示されている、銀色に輝く大きな剣が気になり、壽眼で見てみると、


  グレートソード(魔剣「サラマンダーソード」・両手剣)

  オリハルコン製

  特殊効果3:(火・刃に火を纏わせる)(空き)(空き)


今まで見れなかった詳細まで見えた。


魔眼では見れなかった内容だ。


壽眼スゲェ。


魔剣か。


なんか「空き」が有るってことは、後付けで特殊効果を付けれるんだろう。


高っけぇ。ちょっと手が出ないな。3百万ゴルは。




他にもそんなのが無いか店中を壽眼で見てみると、量販のものにも特殊効果を付けられそうな物がいくつか見つかった。


ただ、ほとんどが


  「特殊効果1・(空き)」



  「特殊効果2・(空き)(空き)」


で、一つだけ鋼鉄の短剣が、


  「特殊効果1・(LP回復(弱))」


となっていた。


詳しく見てみると、


  青銅のものは特殊効果1が最高、

  鉄のものは特殊効果2が最高、

  鋼鉄のものは特殊効果3が最高


だった。


材質によって上限が決まっているのかもしれない。


ってことは展示されている両手剣も最高品質ではないんだろう。


オリハルコンなら特殊効果4以上あっておかしくない。


どうやったら特殊効果を付けられるのかは置いておいて、買うなら、「空き」であっても特殊効果が付いているものがいいだろう。


さっきの特殊効果1・(LP回復(弱))」のついた鋼鉄の短剣一本、特殊効果1・(空き)の青銅の槌を二本、なにも無い普通の短弓を3張、矢筒と矢をセットで買って新人三人の装備とした。


合計十万ゴル。


金持ちになっても金勘定に敏感な元貧乏人である。




ちなみに後で俺が日本から持ち込んだマチェットや鉈などの武器を見てみたら、全て特殊効果があった。


ほぼ全てが「特殊効果3(空き)(空き)(空き)」で。


こちらの世界で、


  サミーに買った刀は特殊効果1(空き)、

  イルに買った鋼鉄の短槍は特殊効果2(空き・空き)、

  ヒルダに買った鋼鉄の片手斧は特殊効果1(空き)


だった。


偶然とはいえ、良い買い物だったようだ。


向こうの武器はなんか異世界補正が効いているんだろう。


あとで、どうやったら特殊効果を付けられるのか、神コールででも聞いてみようか。


驚いたのはストレージの中のものも壽眼で見れることだ。


武器に特殊効果があるなら、防具にもあるだろう。


ってことで、手持ちの防具を壽眼で見てみる。


残念ながらどれも何も無い。


次に防具屋に行き、店内を壽眼で見渡す。


やはりいくつか特殊効果が付いているものがある。


やはり、材質によって違うようだ。


空きは青銅が1、鉄が2、鋼鉄が3が最高だ。


もちろん鋼鉄で空きが一つの物もある。


革装備には特殊効果は無いらしい。


逆にそれ以上の素材のものは無かったので、わからなかった。


とりあえず、資金は豊富にあるってことで、特殊効果の(空き)がマックスでついている奴を買っておくことにする。


いずれ付けられるようになったら、役に立つだろうし、うちらにいらない装備でも特殊効果が付けれたら高く売れるだろう。


今は装備はしない。特殊効果を付けてからだ。


というか防具は今はまだもったいない。


レベルも低いし、回避スキルも無いしで、すぐ傷物になってしまいそうだし。


逆にだから必要だという意見もあるだろうが。


装備用に防具屋で、


  革の胸当て、革のヘルメット、青銅の篭手、青銅の脛当て


を三人分購入する。


六万六千ゴル也。


投資用に防具屋で、


  鋼鉄のヘルメット(特殊効果3(空き)(空き)(空き)を一つ、

  鋼鉄の胸当て(特殊効果3(空き)(空き)(空き)を一つ、

  鉄のカイトシールド(特殊効果2(空き)(空き)を二つ。


で十五万ゴル也。


武器屋で、


  鋼鉄のグレートソード(特殊効果3(空き)(空き)(空き))を一本、

  鋼鉄の投げナイフ(特殊効果3(空き)(空き)(空き))を二本、

  鋼鉄の短槍(特殊効果3(空き)(空き)(空き))を二本、

  鋼鉄のハルバード(特殊効果3(空き)(空き)(空き))を一本。

  鉄のメイス(特殊効果2(空き)(空き))を一本。


で三十四万五千ゴル也。


将来的には帰ってくるとはいえ、投資しすぎた感は否めない。


六十万ゴル以上使ってしまった。


以後引き締めよう。


何軒も武器屋や防具屋を回って聞き込みもしてみた。


「魔剣とか聖剣とか無いの?」


あっても高いか、求めていたような性能までは無かった。


さっき見た、


  魔剣「サラマンダーソード」


が最高で、他には、「重量軽減」や「強度増加」といった微妙なものだった。


「そういうのってどっか他で買ったり作ってもらったりできないの?」


できるらしい。


春夏秋冬の境にある休日に、王都で競り市というのが開かれ、そこでは、珍しい物や者が競りに掛けられるらしい。


ただ、商業ギルドのメンバーか、貴族、紹介状を持っている者しか参加できないらしい。


ふつうは、仲介業者を介するらしい。


あとは、これも王都に行かなければ行けないのだが、付与神殿と言うところに材料を持ち込んで、お布施を払えば、付与魔法で付与できることもある。


ということだ。


「できることもある。」ってのがミソだな。


料金は取っておきながら、適当に「できませんでした。」とか詐欺が可能なんじゃないかな?


失敗すると材料は塵になってしまうらしいし、お布施の額はケタが違う。


「材料って、どんなのがあるの?」


大口の客だったせいか、店長の口は軽い。


「魔剣が欲しいなら、剣と、付与して欲しい特殊効果別に宝珠だな。


 ウチの最高級品のサラマンダーソードも作ってもらったんだ。」


なんでも、宝珠は魔物がたまにドロップするらしい。


競り市でもよく出品されるらしいが非常に高価なのだとか。


それで、オリハルコンの剣を落札し、サラマンダーの宝珠を落札し、付与神殿で作ってもらったと。


店の看板商品として飾っておくだけでも、客寄せになるのだとかなんとか。


時期を見て王都には是非行かねばならなくなった。










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