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第54話

「で?どんな条件で示談を持ち掛けたいんですか?」


ストレートに聞いてみる。


「領主様の許しも出ましたので、」


示談して無罪放免の、お上の承諾を得たってことか。


「こちらとしても、どちらも得をするウィンウィンの関係でいきたいんですよ。

 数をごまかして領主様に言っても何も言いません。」


ピンハネオッケー、チクリません。


「こちらは新たに有能な奴隷を得られる。

 そちらは、失った奴隷以上に領主から金を得られる。

 って感じで。

 具体的には、奴隷を数人。

 慰謝料を数百万ゴルってとこで折り合いをつけたいんですけど。

 社長がどうしてもと言うなら、いろいろ人数とか金額とか考えなくも無いですよ。」


って言っておけば主犯は俺じゃないし、商館にうまみもある。


社長も言いたいことが解ったらしく、


「では、慰謝料は、奴隷を値段関係無しで三人で帳簿上八人。

 金を三百万ゴル、帳簿上は八百万ゴル。

 別口で以後十人までは奴隷を半額ということで決着した。

 ということでいかがでしょうか?」


こっちの思ったとおりにいった。


ちょっと奴隷の数は少ないが、あまり欲をかいても決裂するかもしれない。


社長の顔は最初とは全く違う黒い笑顔だ。


差の五人はこのオッサン等が自分用にするか、金にするかだろう。


「おぬしも悪よのお。」


通じるかどうかは解らないが悪い顔をして言ってみる。


「いえいえ、お代官様にはかないませぬ。」


なんで通じるのかは別にして、成功したことを喜ぼう。


そして後で、オタク女神に苦情申し立てだ。


「ちなみに社長。俺が商館の分館をどこかで開くことになったら援助願えますか?」


「もちろん喜んで。」


「そのときは『エチゴヤ』と称するのでよろしくお願いしますね。」



「それはそうとコマガさんについてなんですけど。」


コマガの顔色が急変する。


いままでの良好な雰囲気に油断していたのだろう。


コマガに向かって、


「どうしたいか選択できるようにします。

 色々教えていただいた恩は忘れていませんから。」


と言って油断を誘う。


「取り合えず、コマガさんの意見も聞きたいので、ギャグボールを外してもらっていいですか?」


本当に変な日本文化だけが伝わっている気がしてならない。


本気で苦情を申し立てなきゃいけないな。


「ありがとうございますお客様。」


ギャグボールを外されたコマガが、似合わない台詞を吐く。


「ご主人様?」


にやけながら言うと、顔色が青くなる。


奴隷堕ちの未来が見えたのだろう。


おそらくコマガの脳内では、最初死刑が想像されてて、交渉結果が出たときには、なんとなく軽い刑で済むと思っていたのだろう。


「殺されかけたのが数十回・・・」


俺の台詞にあわせて、三人が殺気を放ってくる。


ノリノリだな。


ノリですよね?


本気じゃないですよね?


って位の本気と書いてマジと読む殺気だ。


コマガや社長も気づく。というか本気でビビる程の殺気だ。


もしかして奴隷を増やすのがお気に召さなかったのでしょうか。


あとでご機嫌取らないといけませんね。


「解っていただけましたよね、この恐怖。」


社長もオッサン等もコマガもガクブルだ。


「コマガさんには選択肢をいくつか準備しましたので、その中から選んで頂きたいのですが。」


  一、男専用の性奴隷として娼館に売りに出す。

  二、去勢

  三、馬や牛やオークやオーガーに犯させる。

  四、鋸引きの斬刑


と挙げていったところで、コマガからギブアップコールがあった。


「御慈悲を。」


そりゃそうだ。


そのつもりで言ってんだから、逆にオーケーされたら引くわ。


「社長さん。この人要ります?」


おそらく、商館の存続にかかわるようなミスをしてしまった社員なんて、クビか冷遇かもっと酷い処遇が普通だろう。


「不要ですな。最低ランクの犯罪奴隷として鉱山にでも売り払う予定でおりました。」


だろうな。


「もしよければ、この人別枠でウチで引き取って扱き使ってもいいですかね?」


コマガの顔が微妙な感じになる。


鉱山で工夫として死ぬまで扱き使われるのと、俺がさっき提案した内容を考えたのだろう。


「お好きなように。」


その場で、ガチガチの禁止事項だらけの奴隷契約をされてしまう。


道端に落ちている石を鼻の下にハナクソのような感じで付けられて。


よし、簿記を仕込んで居酒屋に送り込む人員は確保できた。


少なくとも大手の商館で働けてた位の能力はあるだろう。


ミスはしたが、誰にでもミスはあるし、今回で懲りただろう。


あとは、戦力になりそうなんを3人だな。


「サミーとイルの知っている人で良さそうな人いる?」


この商館出身の二人に仲の良かった人とかいるか聞いてみる。


「その二人がいた頃の奴隷はもう一人も残っておりません。」


社長が答えてくれる。


そうか。


逆に言えば、しがらみ無く選べるってことだね。


「じゃあ今、この商館に何人いるの?」


社長なら把握しているだろう。


「全部で五十四人です。」


聞き出したところによると、用途は別にして


  陸人族・男十人 女十人

  森人族・♂一人 ♀三人

  地人族・♂八人 ♀三人

  獣人族・♂九人 ♀十人


らしい。


「全員一度に見たいんですけど可能ですか?」


「ホールを準備させますので、お待ちください。」


社長が指示すると、ワルサーとやらが、部屋を出て行く。


全員を勢ぞろいさせる準備のためだろう。


「そういえば社長。服もあるんですよね?」


「当商館の売りですからな。」


「それもサービスで、全種類全員分と、ここにいる三人にも全種類貰えませんかね。」


「そのくらいならお安い御用ですな。」


原価はものすごい安いようだ。


ボラれてた。






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