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第43話

「ご主人様。」


今までと変わらない呼びかけがある。


「うん、大丈夫。

 だめだったからってべつに奴隷に戻そうとか、そんなんないし。

 できないし。」


あぁ、辛い。


主人と奴隷でなくなったのに、名前ですら呼びたくないほど嫌われていたなんて。


もうそっとしておいて。


追い討ちをかけないでそっと居なくなって。


「お昼になりますので二人が戻ってきますよ?」


追い討ちがあった。


これから俺の行動が晒されるのだ。


「こいつ私に告白してやんの。

 勘違いスンナっつーの。

 何様?

 ご主人様?

 キャハハ。」


とか言われるんだ。


「奴隷契約で縛られてただけで、なんでオメーみてぇなヘタレと恋人にならなきゃいけねぇんだって。

 身の程をしれっつーの。」


とか言われるんだ。


「しょぼい装備しか寄こさねーで、深層階なんて行けるかっての。」


「メシが足りねぇんだよ。ドケチが。」


とか言われるんだ。


「奴隷契約で縛ってるからってキスすんな。」


「あなた達もこの鬼畜の被害者なんだから、なんだったら私が殺っておくわよ。」


「ハーレムでも欲しいんでちゅか?」


とか言われるんだ。


ひたすら落ち込んでいた場所が良くなかった。


そう、ダンジョンを出てすぐのところで落ち込んでいたのだ。


時間になれば当然イルとヒルダはダンジョンから出てくる。


あぁ、ついに審判の時が来たのだ。




「で? 午前中は何をしていたのでしょうか?」


笑いながらイルが聞いてくる。


何か企んでいるような瞳が今は怖い。


「サミュエルお姉さま、お肌艶っ艶ですねぇぇぇぇぇぇ。

 なにかありました?」


微笑みながらヒルダが聞いてくる。


目だけが笑っていないのが今は怖い。


サミーの方は怖すぎて見れない。


今から公開裁判が始まるのだ。


結果の見えている裁判が。


「私。ついさっき。」


サミーが口を開く。


やめて、お願い。


もう勘弁して。


俺が悪かったから。


「ご主人様と」


あぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁ。


やぁめぇてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。


「なんと、二人っきりで。」


終わった。


全て終わった・・・


「十二階層に連れて行っていただきました。」


ニコッ。



確信犯だなこいつ。






「まだお昼ですが、今日はいろいろ疲れたので宿に帰ります。

 皆さんは、これで飲み食いしてきてください。」


数える気力も無く銀貨を一掴み渡す。


数万円になるはずだから、足りなくはならないと思う。


「おやすみなさい。」


一人宿の部屋に篭り、布団に入る。


なんか目から汗が出てくる。




「修羅場グッジョブ。いやぁ甘露甘露。」


夢にオタクが出てきてサムズアップしている。


ボ-ナスポイント10Pが与えられたが、こんな思いをするなら、いりません。


勘弁してください。


幸運度をもっとください。


魅力値が一三〇でダメって、どれだけ上げればいいんですか?


神も仏もあるものか。




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