第26話
少し前の初秋に俺は十五歳になり、大人の仲間入りをした。
陸人族は、年中盛っているらしく、一年を通して子供が生まれる.
しかし、他の種族は春が盛りの季節で、子供が生まれるのも春。
ということでサミーとイルは少し前、今年の春に十六歳になっている。
同学年で誕生日が少し早いってとこだ。
ヒルダは十四歳。
身体のほうも成長しているらしく、俺は百八十センチ、七十キロ位になった。
メジャーも体重計もないから正確にはわからないけど、以前より視界が高くなった気がする。
イルとサミーも背は伸び百六十センチくらい。
体重は、言えない。
言っちゃいけない。
言ったらまる●●される。
そのほかの部位もそれぞれ成長しているのが目に毒だ。
ヒルダは、全く変わらない。長命の種族は成長もゆっくりなのだろうか。
巨○、美○、微○と揃っているのはうれしい。
セクシー、美人、ロリの住み分けもすばらしい。
使っている武器も、槍、双刀、双斧、鎚とバラバラ。
まさにバラエティだ。
あとは、どんなジャンルがあるかな?
淫魔、合法ロリ、御令嬢、メイド、先生、看護婦、女医、人妻、魔王、魔物娘に男の娘ってとこか。
お姉さま、シスター、巫女、尼、お姫様、義母、義姉妹、家庭教師、妹の友人、幼馴染。
日本のラノベやVジャンルを網羅すればあとは無いだろう?
ようやく五十万ゴルの資金がたまった。
みんなの誕生日に武具を買ったせいで、少し遅れてしまった。
イルには、鋼鉄のジャベリン七万ゴルがチャリーン。
青銅の篭手八千ゴルに青銅の脛当て五千ゴル。チャリンチャリ~ン。
サミーには、刀七万ゴルがチャリーン。
長弓三万ゴル、青銅の篭手八千ゴルに青銅の脛当て五千ゴル。チャリンチャリ~ン。
ヒルダには、鋼鉄の斧五万ゴルがチャリーン。
それにようやくキャッチャーセットを卒業してもらい、革の胸当て五千ゴル、青銅の篭手八千ゴルに青銅の脛当て五千ゴル、おまけに短弓二万ゴル。チャリンチャリ~ン。
冒険ってハイリスクハイリターンでハイコストハイリターンなのね。
異世界まで来て金勘定に余念のない俺って小市民だなぁ。
貧乏性は不治の病ですね。
でも、装備をケチって怪我くらいならともかく、死んじゃったら元も子もない。
俺とヒルダはレベル8、イルとサミーはレベル7になっていた。
ギルドの級は上がらなかった。
常時討伐依頼の出ている魔物の討伐と、魔物の死体の買取りだけでは無理なようだ。
探索者ギルドの方は、D級になるために、ダンジョンの魔物が稀にドロップする[貴魔魂石]というものをギルドに売ればD級になれるらしい。
俺の所属する冒険者ギルドの方は、個別依頼をあと一つクリアすると俺はD級になれるらしい。
あとパーティにも級があり、我ら「バラエティ」は、現在E級。
リーダーの俺のD級昇級で同じD級に上がれるらしい。
今後のことを考えて、ポイントは使わずに貯めていた。
ここを出発するときに、出発記念で使おうと思ったのだ。
でも、戦力は強化されている。
一年の間に、みんなが持っていて俺が持っていないスキルを軒並みコピーすることができたのだ。
一生懸命狩りに精を出していたせいか、オタク女神の目に適った行動は無かったようで、残念ながらボーナスポイントは付かなかったのが残念だけど。
イルとサミーがレベル四から七へと上がったので、18P。
ヒルダは、レベル五から八へと上がったので、21P。
俺とヒルダがレベル五から八へと上がったのだが、俺はチートなんで、レベル数+九ポイントがあるので(6+7+8=21P+(9P×3レベル)48P。
それに取っておいた11Pを足して59Pある。
定番になりつつある居酒屋でのミーティングだ。
散々この店の売り上げとメニュー開発に努めてきた成果か、俺達が行くと個室に案内してくれるようになっていた。
そりゃそうだ、毎日顔を出す。
他の客の数グループ分の量を注文する。残さない。
それに贔屓の店の用心棒になるくらいの実力と愛着はある。
店側からすれば、固定売り上げを見込める上客だ。
俺でも大事にするわ。
それに、たまに教える俺の日本家庭料理のレシピで、なんでもデスタの町で三号店まで出したらしい。
二号店は「バラティエ」、三号店は「バラーティ」って名前らしい。
日本の材料が揃わないここでは、知っているレシピもほとんどが使えないけれど、調味料の砂糖と塩、香辛料の胡椒と唐辛子的なもの。
何かの卵と鳥肉とオーク肉。
トマトと生姜とネギに似た何か。
それだけあれば、焼き鳥、豚肉の生姜焼き、ミートソース、スクランブルエッグ、目玉焼き、玉子焼き、オムレツ。できる料理は結構ある。
豚肉の生姜焼きはオークジンジャーが正確か?
醤油や味噌、昆布に鰹節があれば、もっともっと種類も味もいろいろできるんだが、この辺には無いらしい。
この世界のどこかにはあるんだろうか?
日本人としては醤油と味噌と米は是非欲しいところだ。
でも、制限があっても結構作れるもんだよね。
さすが、他国の文化流入を歓迎する日本文化。
仕入れたものを本国よりも高レベルで実現してきた日本人のDNAたるや、なんにも意識していなくても恩恵を与えてくれる。
もはやスキルといってもいいんじゃないだろうか。
メニューの記載も他の店では「アラカルト」になっているところが、俺達のパーティ名である「バラエティ」にしてくれるというおまけ付きだ。
おかげで、利点の分からないスキル、伝道師と料理人がどっちもレベル2になっていた。
オーナーも、俺が冗談で言った全大陸展開のフランチャイルス制ってのに乗り乗りで、どこに行っても、俺達には便宜を図りたいと印籠みたいのをくれた。
俺の「会社のエンブレムって貴族の家紋みたいなの作ったら?」の一言がキッカケらしかったが、これを見せればオーナー権限を使えるってことらしい。
水戸黄門かよ。
おいオタクメガネ。じゃなくて女神。仕入れる情報が偏ってないか?
「よし、みんな聞いてくれ。」
目の前にある、大量の戦力を前に[待て]である。
「今後の・・・」
俺が話し始めようとすると、
「ダーリン。そんなことより。」
「冷めます。」
「食材に申し訳ありません。」
口々に「早く食わせろ」という内容を言葉を変えてぶつけてくる。
たくましくなったものた。
でも「そんなこと」ではない。重要な案件である。
「じゃ、じゃあ、食べてからにしようか。」
俺も大分学んだのだ。
このパーティはどこかで革命が起こったのだ。
当初は違ったはずなのだが、既に遠い記憶だ。
野営や宿泊の旅に、腕枕兼抱き枕になることを強要される。
爆発寸前の思春期の純情をどうしてくれる。
手を出そうにも、三すくみの厳戒態勢なので、何もできない。
野宿でテントは貼れないので、毛布をかける程度だ。何かしようとしただけで速攻でバレル。
こっそり爆発すれば、獣人特有の嗅覚や、エルフ特有の直感で気づき、当該部位を見つめる、嗅ぐなどの悪行三昧。
気づかず暴発した朝に下腹部を凝視されながら目覚める恥ずかしさといったら・・・
いつかみていろよ。再度政権を強奪してみせる。
ようやく肉食獣どもが落ち着いたところで、再度切り出す。
「聞いてくれるかな?」
聞いてくれるようだ。食後のお茶を飲みながら俺を見てくる。
「今後の活動方針なんだけどさ。みんなの探索者がD級に、俺達のパーティランクがD級に上がったら、この町を出ようと思うんだ。」
「どこに行くのでしょう?」
一年経ってもこれは変わらず、イルがまず反応する。
「前に話したとは思うんだけど、この世界の果てを見てみたい。
ということで、もう少ししたら、この町を出て、東の村へ行く。
そこが大陸の東端で、海があるらしい。」
ヒルダが目を輝かせる。そういえば海を見たかったと言っていた。
「そこをスタート地点にして、とりあえずは大陸の西の果てを目指す。良いよね。」
「歩いて、でしょうか?」
この大陸がどのくらい広いのか分からない。
分からないからこそ、歩いてでは生きている間にたどり着けるかは分からない。
地球だって、シルクロードの旅だと中国からローマまで、駱駝なんかの隊商で片道数年単位だったはずだ。
「いや、馬車を買おうと思う。歩くのもそうだけど、地面で野営するよりはずっと楽だし。
馬車の中だって俺にはストレージもあるから、広々だと思うよ。」
「この店の料理、結構お気に入りなんですけど。食べられなくなっちゃいますね。」
イルが残念そうにつぶやく。
「俺が作れるし、大丈夫だよ。それに」
とっておきを披露する。
「時空魔法の[転移]で、この店の入口にいつでも帰ってこれるようにしておくから。」
時空魔法は、本当に便利な魔法で、某RPGゲームのル○ラやリレ○トのような魔法[迷宮移動][フィールド移動][転移]があるのだ。
[迷宮移動]は一度通った場所なら、同じ迷宮内のどこへでも指定人数で瞬間移動できる魔法。
便利なリレミ○だな。
[フィールド移動]は、一度通った場所で地上なら、五十キロメートル以内のどこへでも指定人数で瞬間移動できる魔法。短距離のテレポーテーションってとこだ。
[転移]は、レベルの数だけのあらかじめ指定した場所に、縦横五メートル位のゲートを開いて移動できる魔法。いわゆるルー○だ。
それ以外にも[亜空倉庫]という、俺のストレージにあたる魔法。
ストレージとの違いは、ストレージ内は時間が止まるのに対して、[亜空倉庫]内は時間が外と同じように流れるのだ。
あと出し入れの際に少しだけどMPを使う。
最大収納量は試したことは無いけど、そのうちヒマを見つけて、小石や葉っぱで試してみよう。
「ご主人様はそんなこともできたのですか?」
サミーが感心したように聞いてくる。
「今まではあんまり使い道が無かったんだけどね。
旅にでるために覚えたのさ。
[フィールド移動]じゃそんなに遠くまでは行けないしな。」
そりゃ何回も繰り返せばたどり着けるだろうが、みんなを抱えて[フィールド移動]を繰り返してたらMPがいくらあっても足りないだろう。
「東の果ての海のところには、小さな村があるらしいから、まずそこへ行こう。
そして一度[転移]でここに戻って来て、出発式で飲み食いしてから行こうよ。
村までは馬車の御者の練習もしながらさ。」
「わかりました。それでは、早速D級にならなければいけませんね。」
なんで?
急ぐ理由なんてあったっけ?
「もうすぐ冬になります。野営は厳しくなると思います。」
そうかもうすぐ冬になるんだ。雪も降るし、野営はきつくなる。
「そっか。じゃあ冬の間の目標としてD級昇格。春になって鬼桜が咲いたら出発にしよう。」
そうだった。今は秋。この町の辺りでは真冬には少し雪も降る。
「雪が降る前に、外の個別依頼をやっちゃって冒険者D級パーティになってしまおう。
ダンジョン内なら雪は関係ないだろうから、探索者の昇級はその後で。」
「「「はい。」」」




