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第24話

ダンジョン探索は、順調に進む。心配していた他のパーティとの遭遇も何度かあったが、大過なくこなすことができた。


ストレージのないパーティは戦利品を山のように抱えていて、俺達のパーティにかまうどころではなかったのだろう。


四日間のダンジョン探索の成果は、三人の探索者E級への昇級と、討伐依頼報酬や魔物の死体・魔魂石の代金で十七万二千ゴル、そして、俺達全員のレベルアップだった。


森や草原に比べると、遭遇率が半端なく高いためか、稼げる。


他のパーティとの遭遇とか緊張する場面もあるが、こちらをメインにしたほうが、良い気がする。


そして、金を貯めたら、どこかダンジョンのある他の都市に拠点を移す。


旅をする。拠点を決めてダンジョン探索する。金を貯める。旅をする。


この繰り返しでこの世界中を見て回ろう。


今後の中期展望をみんなと話すためにも、今日は少し早めに宿に行くことにする。


たまには贅沢をしてもいいだろう。


特に今日は、皆のレベルアップ記念日だ。皆で公衆風呂に行くことにする。


食事も少し贅沢してもいいかな。と思ってすぐに考えを改めた。


あいつらはブラックホールでザルで、ポリバケツだ。出せば出すだけ、有れば有るだけ、無くても追加でむさぼる。全身胃袋なのだから。


また俺は大風呂、三人は貸切風呂で入ることに決める。


俺も含めたみんなで貸切風呂って手も有るが、俺の理性とかいろんなものが耐えられそうに無い。


そういうのはしたいけど、相手が三人となると色々問題がある。


順番とか。


石鹸とタオルを渡すときに、


「今日の夜、またスキルをあげるから、みんなで話して考えておいて。」


と言っておいた。


そのせいか、一向に風呂から出てきやしない。


いい加減もう一回風呂に入らなきゃ体が冷え切るぞ。


ってころにようやく出てきた。


「いろいろありまして。」


全員湯あたりでもしたのだろうか、眼はうつろ、口は半開き、顔は赤い。


唯一かろうじてまともなイルが言ってくるが、かなり待たされて冷えた俺は、それどころではない。


「ちょっと。これで喉を潤して少し待ってて。」


冷えた果実酒一人二杯分の銅貨を渡して、もう一度大風呂へ行く。


温まるだけだから、五分もあれば充分だ。


一人お湯に浸かりながら魔眼を発動し、自分のステータスを確認する。


  [名前]ジン・サカキ・クルーズ・ブレイド

      陸人族・男・十三歳・自由民・レベル5

  [筋力]七〇  

  [精神力]八五

  [器用度]八〇

  [敏捷度]八〇

  [耐久力]七〇

  [抵抗値]九五

  [幸運度]一二

  [魅力値]一〇〇

  [LP(生命力)]七〇/七〇

  [MP(魔力)]七〇/七〇

  [HP(信仰力)]-/-


 2/3 スキル   ポイント27P

  「魔法」光魔法3、闇魔法3、時空魔法2、風魔法2、火魔法1、土魔法1、水魔法1

      ユニーク魔法(スキルコピー2[未/五日]、スキル強奪1[未/五日])、

      補助魔法(ライト、リフレッシュ、種火、暖房、冷房)

  「戦闘」投擲2、弓2、槌3、格闘1、剣1、短剣1、盾1、長柄1

  「非戦闘」テイマー1、騎乗1、気配察知3、算術4、詠唱2(省略)、

       鑑定3(魔眼)、性技1、魅了1、LP回復促進2、MP回復促進2、精神力強化2、

       回避2、耐性(毒1)、遠視、暗視、隠匿1、伝道師、料理人、画家


ポイントは、取っておいた13Pと、レベルが上がったことによる14Pで27Pだ。


考えた末、6Pを使って時空魔法をレベル三へ、10Pを使ってスキル強奪2へと上げた。


時空魔法3の[転移]は[フィールド移動]とは別に、特定した転移点にいつでもどこからでも転移できるというものだ。


距離は関係なく、転移できるのは、術者のレベルと同人数、同箇所というのが気に入った。


この星(星ならだが)の東西南北の適当な位置に転移点を設定して、それぞれの地点に屋敷と使用人を置いておけば、いつでも好きな季節をみんなで楽しめる。


取らない理由が無い。この辺の極東の都市に一箇所設定する。いつでも戻ってこれる。


世界の果てまで行っても一瞬で戻れる。理由は十分どころか必然ですらある。


ルー●無しのドラク●なんてやりたくはない。


なんて俺は自分の欲求に素直なんだろう。


生き残れる保障が無くても、生き残って何をするかのために、投資する。


なにか間違ってるとか、間違ってないとかじゃない。目指す位置を目指す意思表示だ。


[スキル強奪]は、俺の強化に欠かせない。壽眼も考えたが、緊急度ではこっちだ。


残り11Pは将来のために取っておく。


俺が風呂から上がってくると、三人はようやくノボセが治まったという顔で迎えてくれた。


「じゃ、居酒屋で晩飯にしよう。今日は、ちょっと贅沢しようか?」


俺がいたずらな顔で言うと、三人はとてもうれしそうに、とても素敵な笑顔を俺にくれた。


あぁ、この三人のご主人様で良かった。


三人もそう思ってくれていると良いな。


いつもより少し高級な、というか、凝った料理を出してくれるという評判の居酒屋に入った。


名前は「個性派料理居酒屋バラエティ」だ。


ネタ元は、探索者ギルドの受付嬢である。


年上の美人さんである。


ネタ元は確かだし、名前もぴったりだ。


紹介してくれた受付嬢には特別にお礼をしておこう。


大量の討伐依頼の成功報酬と、魔物の死体や、魔魂石の換金の時に、聞いてみたのだ。


もちろんこっそり、小さな魔魂石をプレゼントしている。


「知る人ぞ知る的な、女子が喜ぶ酒の飲める晩飯の店ってしってる?」


何をどう誤解したのかは分からないが、


「今夜なら空いてますよ。」


という言葉と共に、この店を教えてもらったのだ。


パーティメンバーで行きたいから。


と断りを入れたのだが、ギルドを出るまで粘りつくような視線を向けて来ていたことは三人には秘密だ。


視線を送ってきていたのが、くだんの受付嬢だけではなかったことももちろん秘密だ。


その中に男もいたことは、俺が忘れなければいけない最優先事項だ。


この世界は、色々ゆるいのだろう。


貞操観念とか、男女の秘め事とか、恥じらいとか、その他もろもろ。だってアレが女神なんだもの。


幸いにも、俺がなぜこの店を知っているかと突っ込みを受けることも無く、予定を少し上回る酒を飲み、予定をかなり上回る食事をし、居酒屋を出て宿に着くことができた。


ダンジョン攻略より難しいかもしれないミッションをコンプリートした。俺ってできる子やん。


宿に着くと、女子三人の部屋にみんなで行く。


約束したポイントをスキルにして付与する作業。


いや作業なんて言っては失礼だ。


付与の儀式だ。

 

「みんなで相談したんだろ? どんな結果になったんだ?」


三人を[魔眼]で確認しながら問いかける。


「私は、基本的に中衛か後衛ですので、それにふさわしい攻撃や援護の必要性を感じています。」


「攻撃力を。一撃で全てを屠る力をください。そのためなら全てをささげます。」


「魔法を使ってみたいです。ご主人様みたいに、スパッとかドカーンとかチュドーンとか。」


自分の欲求だけじゃなく、パーティとしてどうかってことまで話してきたらしい。


全体主義のすばらしい希望が揃っている。


が、かなえられるかどうかはすべてポイント次第だ。


イルとサミュエルはレベル四にあがったので、4P。


ヒルダはレベル五に上がったので、5P得ている。


ヒルダは前回5P残しているので全部で10P使える。



この間のパターンでいかないと、いろんな問題が噴出する可能性がある。


「じゃあ、この間みたいに、サミュエル、イル、ヒルダの順でやっていこうか。」


前例踏襲。いい制度だ。


どこかの官僚みたいな結論に落ち着いている気はするが、好んで修羅場を発生させる趣味は無い。


「じゃあ、サミュエル。おいで。」


サミュエルを手招きする。


「私だけいつまで愛称で呼んでいただけないのですか?」


えっ?そこに引っかかっちゃう?。


あなたが慣れた雰囲気を見せないからなんですけど、ダメでした?


「サミーと呼んでください。」


真っ赤になった顔からは、騙そうとかハメようとかの意図は感じられなかったから、そう呼んでも問題ないんだろう。尻尾がブンブン振られている。


「じゃ、サミー。君ははどうなりたい?」


前回と同じように抱き寄せようとする。


サミーは、招かれる以上のスピードで懐に入り、抱きつき、そして、何も行ってないのに唇を重ねてきた。考える隙をください。


情熱的に押し付けられる唇を受けながら、剣スキルのレベル3を4Pで付与することに決める。


サミーの希望と俺の構想が一致している。


問題があるとすれば、俺がバッサリやられないかどうかだけだ。


我慢しきれなくなって、少しディープな仕返しをしながらスキルコピーを発動したら成功してしまった。


性交してしまったではない。


剣スキルレベル3が俺にも付いた。



「イルはどうなりたい。」


「むちゃくちゃに襲ってください。」


だからそういうことじゃなくって。


もう勝手にきめる。


中距離遠距離で役に立つって言えば弓や投擲だが、投擲をつけても遠距離攻撃のスキルがカブル。


弓3もいいが、ここは四大元素魔法を与えておくべきだろう。


俺以外にも魔法使いが居れば攻撃のバリエーションが増える。


俺が風魔法しか使って見せない理由付けにもなる。


イルにふさわしい魔法ってなんだ?


イルを抱き寄せキスをする。


左手は頭の後ろに回し、右手はふくよかな胸に這わせる。


舌を絡ませてくるイルに三倍返しで激しく舌を使う。


ヒルダが蹴ってくる。


サミーが突いてくるマチェットはかろうじて避けた。


敵対行為の禁止は、どうなっているんだ?


イルは水魔法をレベル1で使えるようになった。


もちろん習熟訓練は必要だろうし、MP量の心配はあるが、このメンバーであれば、よっぽどのことが無い限り大丈夫だろう。


念のため「回復促進(MP1)」も付けておいた。


ただ、一度気絶するくらいまで使わせて限界を調べておかなきゃいけないな。


攻撃を避けながら、ついつい性技1を発動。胸に這わせた手が、鈍く輝く。


「ひゃうっ」


イルの膝が砕け、全体重を俺にかけてくる。


受け止める、と同時に再度性技1を発動、耳に息を吹きかける。


どこまでやれるか?


ふざけた俺が悪かった。


力が戻るなり、イルは俺に馬乗りになった。


「チャンス到来。」


意味不明な言葉を口走ったイルは、俺にまたがったまま腰を振り始めた。


その瞬間。


能面のような無表情のままのヒルダの蹴りがイルの後頭部を刈った。


多分、普通であれば致命傷になるほどの打撃だ。


イルも吹っ飛んで部屋の壁に激突した。


ピクリとも動かない。死んでないよね。


あわてて[中級回復]をかけておく。


俺は仰向けのまま数歩後ずさりながらも言った。


「ヒルダは、いや、なんでもない。」


「なんでもあります。何でもありです。ありありです。」


意味不明な台詞は無かったことにしたい。


仰向けのままの俺にまたがってくる。


なんか今日は皆さん大分おかしくなっていませんかね?


湯あたりのせいかな?


ヒルダは10Pある。


四大元素魔法ならレベル2まで覚えられて、まだ1Pある。


魔法をつけてあげるべきだろうけど、種族的に持っていないのがおかしいような感じだ。


もしかしたら、理由があってのことかもしれない。壽眼で確かめるまで魔法は保留だ。


「ごめんヒルダ。今回は魔法はつけれないんだ。」


「はい。分かってます。」


ちょっと悲しそうな顔で答える。


「違うんだ。今回は俺の力不足で、ヒルダに原因は無いんだ。」


少し明るい顔になったヒルダは、眼だけが少しおかしい。


「じゃあ、身体で償ってもらいます。お・に・い・ちゃん」


あっ、これヤンデレ臭がハンパない。


マウントポジションからの、シャツ引き裂き攻撃。


ブチブチブチブチ。俺のシャツの前がすべてはだけ、さほど厚くもない胸板がさらされる。


胸にほおずりした後に、俺の顔の前にヒルダの顔が近づく。


なんか別なところから闘気のようなものが立ち上ってる気がする。


サミーだ。


イルはまだ絶賛気絶中だ。


あとでサミーには、説明、いや弁解するとしてだ。


「ごめん、今はこれで。」


マウントポジションをひっくり返す。


まるで正常位みたいな体勢になった。


ワンピースがはだけている。


そのままヒルダに覆いかぶさりキスをする。


ヒルダの足が俺の胴に絡みつく。


斧3で4P、格闘2までで3P、身体能力強化2で2P、隠密1で1P。


スキルをつけれた。と思った瞬間、俺は気を失った。



眼が覚めると朝になっていて、俺は宿の自分の部屋でベッドに寝ていた。


なぜか裸だった。


隣にはサミーが裸で寝ていた。


イルとヒルダも昨夜の記憶は、ある一点で途切れているらしい。


サミー。オマエナニヲシタ?


ナゼオレハハダカデネテイタ?


オレノカラダジュウニアアルウッケツノアトハナンダ?


朝食の時にそれとなく聞いてみた。


「サミー。昨日。」


くいぎみに言われた。


「ご主人様。昨晩のことは一生忘れません。」


モジモジ、ニコッ。


朝食の場が一気に凍りついた。


最後まで問い詰める勇気が俺にはなかった。


サミー。怖い娘。





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