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1.推しとの別れと新たな出会い

推しを見守りたいたい派と付き合うとかで妄想する派、どっちもいると思い、設定が浮かんだので勢いで書いてみました。コメディ感強めかもですがぜひご覧ください。

オタクなら誰しも一度は考えたことがないだろうか?


無機物になって推しを1日中そばで見守っていたい!と。


推しとの恋愛?それよりも推しが幸せなら私も幸せ!という気持ち。


推しへの全力の愛で生きる。

かくいう私もそんな1人だった。








私の推しは、携帯アプリの恋愛シュミレーションゲームのルキウス・メビア様。


6人いる攻略対象の内の1人でヤンデレキャラ担当。

幼少期の複雑な家庭環境のせいで心に闇を抱えている人。


光属性の魔法を使うのに闇落ちしたり、HAPPYENDルートでさえヒロインを監禁して


「もう逃がさないよ、僕の愛しい人…」


で終わるという、制作陣に嫌われているのではというくらいひどい設定で、人気は最下位だった。


私はどうにかルキウス様を幸せにできるルートはないのかと、愛情度がMAXになっても上げ続けてみたり、ひたすら彼にだけ絡み続けたりもした。


だけど、彼を幸せにする設定はどこにもなかった。






そしてついにその日はやってきた…






仕事を終え、帰宅してすぐに開いたアプリに届いていた運営からのお知らせ。




【サービス終了のお知らせ】




「嘘でしょ!?なんでなんでなんで!はぁ!?

あんなに課金してたのに終わるとかどういうことよ、信じらんない!」


すぐにお知らせの内容を読んでみるが、ありがとうございましたとかの挨拶だけで終わってて理由なんか書いてない。


アプリの評価だって☆4は切ってないのにおかしくないか!?

しかもこれから先の更新がされないだけとかではなく、アプリ自体の完全消去。


「なんでよ…

これから先の人生、推しに会えないとかしんどすぎる。何の為に働けばいいのよぉ…」


悲しすぎて涙が出てきて、

怒りが湧いてきてまくらを殴った。


それでも状況は何も変わらない。

アプリの画面にいるルキウス様だけがいつも通り笑って声をかけてくれる。


「月が綺麗だな。君と出会うまでは景色なんて何でもないものだったけれど、君と出会ってからは全てが綺麗に見える気がするよ」


私もだよルキウス様。


はじめは何となくインストールしただけのアプリだったけど、貴方を見つけて、物語を読んで、知れば知るほど好きになったの。


ただ過ぎていく日常の1日1日が大事になった。

貴方に貢ぐ為に働くことにもやりがいを見つけられた。貴方に恋をして初めて人を愛することを知った気さえする。

それなのに…


「もー生きてる意味ないよぉ」


大人になって久しぶりの号泣。

疲れたのか、携帯を握りしめたままベッドにつっぷし、私の意識は落ちていった。

















ん………なに?なんか喉が痛い。確か昨日は泣いてて…

あぁ寝落ちしたのか。


「ッゴホ。ゴホゴホゴホッ。はぁっ…、な゛に゛ご れ゛」


咳き込みすぎて涙が溜まった目に入ってきたのは、真っ赤な世界だった。


「あっか?…って、火?え!?これ火事じゃ!?」


慌てて逃げようとして携帯が無い事に気が付く。


「携帯!手に持ってたのに無い!?」


手から落ちたのだろうと、布団をめくったりベッドの下を探すが見つからない。


「なんで!こんな時に見つからないの!?」


時間にしてみれば1分位だと思う。

泣きながら必死に探したが見つからず、諦めて玄関に向かう。ガチャガチャッ!


「なんで開かないの!?やだっ、どうして」


ガチャガチャッ、バンバンバン、壊す勢いで押したり引いたり叩いたりとやってみるが扉は開かない。


どうしようもなくなり、その場にへたり込む。


「お母さん…お父さん、お兄ちゃん…ごめ…、こんな風にいきなり会えなくなるなんて思ってなかった…のに…」


家族の顔を考えると涙が溢れてくる。

早く結婚しろ、ってうるさいから最近は実家にも帰っていなかった。こんなことなら帰っておけばよかった。


死を身近に感じると火への恐怖よりも悲しみの感情の方が強くなった。


ふとベッドの方に目を向けると先程は見つからなかったはずの携帯がある。


「けい…た…い」


さっき見たはずの布団の上に何故あるのか?

そんな疑問も浮かばず、ただ家族の声が聞きたい…と思って携帯の方へ這い寄っていく。


煙を大分吸ってしまっていたようで、体が思う様に動かず、やっと手に取った時にはほとんど考える力が残っていなかった。


いつも通りに画面を開けばルキウス様がいた。昨日のままだったのだろう。




そして普通なら彼が話すのは同じセリフのはず、だけど何故かその時は違っていた。




「僕には君が必要だ。


君の愛だけが僕を救うだろう。


愛しい君よ、ずっと僕の傍にいてくれないか?」




初めての言葉。


だけどそれに感動するとかもなく、私にはもう現実との区別も何もつかなくなっていた。


「もちろん。ずっと貴方を愛しています」


画面の中のルキウス様が伸ばしてきた手に自分の手を重ね、そして私の意識は途絶えた。













「やっと…、やっと手に入れた」













(…ん?なに?なんか体が動かない?私、たしか…そうだ火事!私どうなって)


意識が完全に覚めると、視界に入ってきたのはどこかの部屋だった。

私の住んでいたアパートではなくどこかの部屋みたい?


(もしやこれは流行りの異世界転生!?)


転生モノの小説を読み漁っていた私はすぐにそう考えた。

だけどおかしい………


なんで部屋の全体を見てるの?隅っこにいるの?

体は動かないし、視界もおかしい。

疑問だらけで頭を抱えた気分になっていると、部屋の中にあるベッドの中がもぞもぞと動き出した。


(…誰かいる?)


そしてそこから少年が起き上がった。

寝起きなのにサラッサラで艶のある銀髪、くしくしとこすった目が開けばそこにあるのは大きくて青空の様な瞳。


(うわぁ…なんかまるでルキウス様をちっちゃくしたみたい。可愛すぎる!天使?天使なの!?ここは天国だったの!?)


テンション爆上がりで思考回路が吹っ飛んで、少年を見つめてしまう。…ショタコンじゃないよ?


すると少年はベッドから降りて扉を開け、そのまま出て行ってしまう…




ということもなく、何かを持って戻ってくる。その手にあるのは…


(もしかしてごはん?え?部屋の前に置いてあったってこと?)


少年はパンと思える物体を一生懸命ちぎっては湯気のたっていないスープ?

…いや、うっすく色づいた水に浸して食べ始めた。


見た感じ5歳位の少年が1人で食べていることも、食べている物もとてつもなく異様な光景だった。


(ひど。なんで子供がこんな環境にいるのよ。親は何してるの?)


私が何と思おうが状況は何も変わらない。少年は何とか食べ終えると器を部屋の前に置いて戻ってきた。

そしてまたベッドに戻り、ヘッドボードに背を預けて座り目を瞑った。


「めいそう」


そう一言唱えれば少年はかすかに光りだした。


ただでさえ綺麗だった銀色の髪が光をまとったことで更に神秘的に見える。そして一切動かなくなってしまった。


何か起こるのかなーとワクワクして見ていたが5分位?経っても全く動く様子が無い。


(少年は動かなくなっちゃったし…

そういえば私って今どんな状態?少年は私に全然気づく様子もなかったし)


身体を動かそうと思ってもやっぱり動かない。考えてみたら少年を見ていた間、1回も瞬きもしていない気がする。こういう時こそ、あの定番…!!


(ステータス!!)


すると目の前?にゲームのウィンドウみたいのものが出てきた。

〔種族/性別〕壁(1)/-

〔名称/年齢〕-/-

〔職業〕-

〔レベル〕1/30

〔スキル〕シャットアウトLV.1

〔体力〕D

〔知力〕D

〔魔力〕E

〔器用〕E

〔運〕SS


(………ねぇ、


ちょっとさ、ちょっとだけ予想はしてたよ?


見えてる視界?とか変だし。でも壁って!?


えぇそりゃ前は思ったことあるよ?

壁にでもなったらルキウス様のことずっと見守ってられるのに、とかさ。




…え?そしたらもしかしてあの少年って)


動かない少年をまた見てみればやはり似ている。

ゲームでは幼少期の描写なんてなかったけど髪の色も瞳の色も同じで、尚且つ顔がそっくり。声は高かったけど子供だから?


(もしかしなくても私、推しの部屋の壁に転生しました!?)

タイトル通りですね…。今まで見たことない設定目指すと中々難しいですよね。今後の展開で少しでも読んでいただいた方が予想したのと違う方向いきつつご満足いただけるよう頑張ります!!

ありがとうございました。

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