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影と光

影の精霊使いカスーレイナは、”言えること”と”相談できること”を神殿の聖女であるルミナリアに伝えた。ただし、一族の全員の家業が暗殺者だとは言えないが…。勿論、一族が三人になってしまっても、闇ギルドから送られてくる暗殺リストには、聖女ルミナリアの名が、最優先&最難関として、載っている事も知っていた。そして自分が一番、暗殺を達成できる環境に居ることも。


(居場所がないだけの自分とは違って、ルミナリアさんは、命を狙われているのに、なぜ、他人に優しく出来るのだろう?)


カスーレイナが暗殺者として第一歩を踏み出したのは6歳の時、ターゲットは10歳の貴族の女の子だった。勿論、暗殺依頼の理由など知らない。ただ殺せと命令されただけだ。それから覚えていられないぐらいの暗殺を繰り返してきた。それは自分にとって日常であり、疑問にすら思ったことはなかった。


暗殺が悪いことだと感じ始めたのは、夜の女王に皆殺しにあったときだ。夜の女王…。それは兄の恋人であり、いつも優しく自分を可愛がってくれていたお姉さん…。夜の女王の精霊である夜の精霊は、夜にしか召喚できない精霊だが、召喚されてしまえば一族の誰もがひれ伏すほどの圧倒的な闇だ。誰も勝てはしない。その闇の刃が自分に迫ってきた時、”死にたくない”と思った。自分の影の精霊など光が無ければ召喚することも出来なず、召喚できたとしても脆弱な精霊なのだ。それにお姉さんと戦う気力もなかった。


夜の精霊は、死への恐怖と、生き残る手段のない絶望と、命の尊さを心に叩き込んだ。自分が殺されそうになって、初めて気が付いた。


「殺されるのは怖いでしょ?」


お姉さんは、それだけ言って、里から立ち去ってしまった。死にかけていた兄をどうにか蘇生したのだけど、兄は歩けるようになると、何かに取り憑かれてしまったかのうように、お姉さんを探す度に出てしまった。そして兄を追いかける自分が、この街で見つけたのが、犬亜人のミニン。どうにかして助けたかったけど、奴隷商人モドレノーズを殺すことは出来なかった。だからミニンを買うつもりで、冒険者ギルドを通さない動物の狩りや素材採取の野良依頼で金を稼ごうとしたが、足元を見られタダ同然で働いていた。


***** ***** ***** ***** ***** 


元・聖女であるルミナリアは、影の精霊使いカスーレイナに潜む心の闇というか、生き方を縛り付ける何かに気が付いていた。何と言えば良いのだろう? 放って置けないのだ。自分の見える場所に置いておきたい。何か良いアイディアは無いだろうか? 


確か…奴隷ならば年齢に関係なく、冒険者として登録できたはず! 駄目、誰の主人にするというのだ? ベスパ? 駄目だ。まだ子供だし…。自分? それも…もう聖女ではないが、他人の人生を背負い込むことなど出来るはずがない。


領王指定冒険者マーナビルに、二階の警備およびカスーレイナの護衛を任せて一階に下りると、ベスパが馬鹿騒ぎをしているではないかっ!! なぜかカチンときてしまい…。


「ベスパ、あなたね、10歳の幼気な少女が、皆に迷惑をかけまいと、一人身を引く覚悟でいるのに、何をヘラヘラと!!!」


完全な八つ当たりである。呆然とするベスパ。誰のことかを察したアルネ。それは本人の問題だと、ルミナリアに反論するアルデル。


「どうする気なのよっ!?」


更にベスパを追い込むルミナリアに、ベスパは先程の脳天気な笑顔が反転し、涙目のショタっ子に早変わりしている。


(うっ、ちょっと泣き顔のベスパも可愛いじゃないの…)


ルミナリアが、ドS女の才能を開花させた瞬間である。


(あぁ…。もっといじめたいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!)


そんなベスパに助け舟を出す人物が現れたのだった。


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