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災害発生?

事情聴取が終わり、アロックとベスパがギルドの受付ホールに戻ると、何やらただならぬ雰囲気であった。二人が、その原因を特定するのは、そう難しい話ではなかった。


身長は180cmを軽く超えた女騎士を中心に、周囲に人だかりができていたのである。その女騎士の足元には、数十にも及ぶ生首が転がっていた。


受付嬢のアレーラは、「床が汚れるような物は、買い取り部屋で広げて下さい」と、女騎士に注意していた。


ベスパは今日の床掃除は大変だなと覚悟し、巻き込まれるのも面倒なので、「アロック、俺、居酒屋の仕事があるから」と断りを入れて居酒屋の更衣室に逃げ込んだ。


更衣室に行くには、居酒屋の店主アルバのいる事務室を通ることになる。予想はしていたが、帰りが遅いベスパを心配していて、理由を尋ねてきた。ベスパは、簡潔に説明すると、アルバは「災難だったな。だが無事でよかった」と労をねぎらう。


更衣室に入ると、年上の接客担当のお姉さんであるミレが、下着姿で挨拶してきた。本日、性に目覚めてしまったベスパは、挨拶を返すよりも、ミレの下着姿に釘付けになっていた。


「おい、いよいよ女の体に興味が出てきたか?」


ミレはベスパのおでこをペチッと叩いた。ミレにとってベスパは弟のような存在であり、性に興味を持ち始めたベスパの成長を嬉しく思う反面、これからは気を付けないと、ベスパの欲求を溜めることになるのだなと寂しくなった。


「それで? 試験はどうだったの?」


「あ、うん。多分、大丈夫」と顔を赤くしながら答えるベスパだった。


着替え終えたベスパがホールに戻ると、ウドちゃんの騒ぎは収まったらしく、冒険者たちはいつものように、テーブルに座り、酒やつまみを注文し始めていた。


ベスパに取って接客担当など、もう4年以上の経験があり、客の会話に聞き耳を立てながらでも、十分に対応することが出来るのであった。


本日、一番盛り上がっているネタは、先程のウドちゃんの生首事件だった。どうやらウドちゃんは単身、街の北東にある”山猫盗賊団”のアジトに乗り込んで壊滅させたらしい。山猫盗賊団の規模は小さいが、冒険者たちは例えクエストが討伐クエストが出ていても手出ししなかった。


理由は中級冒険者1パーティでは太刀打ちできず、複数のパーティが必要なため、報酬を分割すると割に合わないこと。アジトに乗り込んで討伐しても、外に出ている盗賊がいる可能性があるため、完全に討伐しきれず、後々、復讐される可能性があること。盗賊団には街の出身者が多く在籍するため街で嫌がらせされる可能性があること。


街にとって盗賊団は邪魔な存在でしかなかったが、そんな理由もあり指をくわえて見て見過ごすだけであった。しかし、まったく柵のない女騎士が、あっさりと壊滅させてしまったのだ。声に出して喜べないが、誰もが女騎士の偉業を賞賛していたのである。


ベスパも何だか誇らしく思えてきた。閉店後、どらいアドちゃんを褒めてあげようと心に誓った。


一通り冒険者たちに酒と食べ物が行き渡ったが、冒険者達ははいつにも増して酒をおかりするペースが早かった。


冒険者たちの体に酒が巡り始めた時、何の予兆もなく、大地震が発生した。


テーブルからジョッキや皿が落ちると、今度はテーブル自体が引っ繰り返る。調理場の食器やホールのランプも床に落ちる。落ちたランプから漏れた油に引火するが、冒険者たちの手によって鎮火する。冒険者たちの座る椅子も倒れ、立ち上がることも出来ず、床に這いつくばっていた。冒険者の中には地震を体験したことがない者がいるみたいで、暗闇の中、叫び声を上げるものがいた。


数分続いた揺れも収まり、ベスパは店の被害状況を確認するため、立ち上がるが光源が一切なく何も見えなかった。


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