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フェアリー・クインテット  作者: 芝森 蛍
高らかに嘶く鎮魂歌(レクイエム)
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64/138

前奏曲

 魂のにおいがする。

 刈り取るべき命のにおいがする。

 それが胸の内を揺らしてこの手に抱けと衝動を重ねる。

 降り注ぐ陽光を遮る木々の下。吹き抜ける風に揺れない体躯は、嘶きを発して行き場のない気持ちを振り翳す。

 首の無い馬は一心同体、我が存在のはんぶん。

 募った不満と期待が足元の草木を振るわせる。

 死せる冬の大地に死の権化。

 絵画の世界のように綺麗に嵌った景色が、不幸の兆しを内包して歴史を歪ませる。

 この身は死の象徴。魂を刈り取る災厄の死神。世界に拒絶される歪曲の理(ことわり)。

 ありえてはならない存在。

 だからこそありえないはずの結果を手繰り寄せる。

 人はそれを死と呼ぶ。人はそれを災禍と呼ぶ。

 人はそれを、デュラハンと呼ぶ。

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