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変人公爵一家の義娘  作者: 双葉小鳥
第二章 変人公爵の娘
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第八話 王宮にて



『ごめんなさい。それは無理だわ』

 なんかディティナ無慈悲な言葉が聞こえた気がする……。

 



 その後。

 あたしは王宮に。

 ディティナはウィルロットさんの後から来た、人に任せた。

 てか、取り上げられた……。

 ちぇ…………。

 ディティナさえいれば逃げ出したのに……。

 人質に取られちゃった。

「それで、ニコラ。陛下はどこで?」

 張り付けた笑顔のウィルロットさん。

 口調はいつも通り。

「あ。う、うん。王都の裏道、だよ」

「ほぉ……。そうか、裏道。ねぇ…………」

「う、うん。そ、そう、だよ?」

「で。ニコラ、怪我は?」

「え? う、ううん。し、してないよ?」

「陛下はお怪我は、ございませんね」

「あぁ。でも、この状況に不満はあるかな」

 『この状況』とは、利き手がペンを持った形で縛られて、そうじゃない方の手は胴体と一緒に縄で縛られて、椅子に。

 そして、椅子に固定するためにその上からも縄。

 足も椅子に固定されている。

 だけじゃない。 

 何故なら椅子の後ろ脚に一本の縄が縛られているからだ。

 気づいてると思うけど、縄はルファネスさんの首に巻きついてる。

 もちろん、暴れたら締まるように結ばれて……。

 でもね。

 あたし、見てないよ?

 ルファネスさんの首から外し忘れてた鞄の紐。

 それ見て『ニコラは賢いね』ってウィルロットさんが笑ったことと。

 鼻歌歌いながら縄を結んで輪っかを作って、そうじゃ無い方を引っ張ったら締まるように結んだこととか。

 満面の笑みで『死にたくなかったら仕事して下さいね』って言って、ルファネスさんの首にかけたとことか……。

 さっきのルファネスさんの、明るいふざけた口調のせいで、ウィルロットさんの表情が消えた事とかさ。

 ウィルロットさんの目が射殺すように鋭くなったこととか。

 ………………帰って良い……?

 てか、帰らせて。

 あたし、このピリピリした部屋に居たくない!!

 お願い。

 誰か助けて!!!!

 あたしが必死にそう願った。

 だけど、部屋の雰囲気はピリピリしたまま。

 あきらめかけたその時。

 やっと救いの女神さま(?)が降臨した。 

 ドタバタと激しく足音を立てて、ドアを手で開ければいいのに、なぜか蹴破って。

「お兄ちゃんニコちゃんが来てるってホント?!」

「…………レティ……。ノックしなさい。鍵を開けるから」

 え? 

 鍵かかってたの?

 てか外れたドアがありえない音たててたんだけど?

 明らかに木の板が倒れる音じゃなかったよね?

 だって、金属っぽい音がしたし!

 って、これメッチャ分厚いんだけど?!

 塗装剥げてる! 

 メッチャ見えてる!!

 鉄だよこれ!!

 ま、まさか……。

 あたしはドアを抑えていた金具のところを見た。

 うん。

 本来なら二つだけだよね?

 でも、この分厚い鉄をつないでいた金具。

 隙間無く、一列に整列してるんだ。

 天井近くから床まで……。

 ……大変だっただろうな…………。

 何人がかりで取り付けたんだろ。

「じゃ、行こっか!」

「え?」

 女の人の声。

 って、なんで足が床についてないんだろ。

 変だな?

 ……床が動いてる?

 って。違う!

 誰かに抱えられてるんだ!!

 だって、ワインレッドのドレス着た人の足が見えるし!

 ん? 

 でもちょっと待って。

 このちらっと見える足は、無骨な男の人のじゃない。

 それに、靴は女の人用の、つま先がすらっとした赤い靴。

 全身赤ですか。

 目に痛いですね……。

 ……ピンク一色のあたしも人のこと言えないか…………。

 なんて考えて現実から逃げてたら、どこかの部屋に連れてこられた。

「おまたせ。ニコちゃん拉致ってきたよ」

 あたしを抱えてる人が言った。

 で、その部屋の内装。

 女の人用の、可愛い系のお部屋。

 明らかに誰かいる気配がする。

 どこだろ?

 そう思って、あたしが床を見たまま考えてたら、床に足がついた。

 やっと下ろしてくれたみたい。

 まったく、誰?

 あたしを荷物みたいに小脇に抱えて運んでくれちゃった人は!!

 そう思ってワインレッドのドレスの人をみた。

 これはこれは。

 執事さんの愛娘様(レティさん)ではございませぬか?!

 え?

 ちょっと待って。

 愛娘様は王宮でスティアナ様につきっきりって……。

 …………そうだった。

 ここ、王宮だった……。

 忘れてた。

 ううん。

 忘れてたかったなぁ…………。

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