第四十九話 笑い方
てなわけで、リディさんのお仕事を手伝うことにしよ!
「ねぇ、リディさん。何かお手伝いできることある?」
「ん? 無いよ~。だからニコちゃんの傍に居たんだよ」
「あ、そうなんだ」
「うん。だから今リビングに行く勇気はない!」
リディさん、そんなに強く断言しなくても……。
まぁ、あたしも行く勇気はないけどさ。
「だよね。間違いなく、とばっちり受けるだろうしね……」
「ねぇ~」
間延びした声で返事をするリディさん。
えっと……。
リディさんの顔が引きつっているように見えるのは、あたしの錯覚だよね?
まぁ、リディさんが考えてる最悪の事態が目に浮かぶよ……。
だって、今リビングに行った場合。
初めにイトコ様方に泣きつかれ、年上の二人をあやすのに神経を擦り減らす。
さらに、ノエルさんの家族=ルイダス一家(奥さん除く)の怒気に当てられ、精神をすり減らす。
…………精神ダメージが半端ないんだよ……。
よって、こうなったら誰も近づかない。
だって巻き込まれたくないからね!
――コンコン。
突然ドアがノックされた。
「あ、誰か来た! ニコちゃん早く寝そべって!!」
すっごく楽しそうに小声でリディさんが言った。
だからつられて、小声で話をする。
「え、なんで?」
「いいから早く!!」
「わ、わかった」
布団の端を持ったリディさんに急かされて、あたしは再びベット横になった。
それを見計らって、リディさんは持っている布団をあたしの顔までかけて、いった。
「ギルデさんだから、うんと驚かしちゃおう!」
って。
とっても弾んだ声だった。
どうしよう。
なんか緊張してきたよ!
――コッコン。
苛立ったようで、焦った様な間隔の短い、大きなノック。
「はぁい。どうぞぉ~!」
間延びしたリディさんの声。
あぁ、どうしよう!
本格的に緊張してきちゃったよ!!
「失礼します」
そういって入ってきたギルデさん。
足音がゆっくりあたしのいるベットに近づいて来た!
でもまだ遠い。
あたしはギルデさんを驚かすタイミングを見計らう。
そしてギルデさんが、完全にベットに近づいて、足を止めた。
今だ!!
あたしはかぶっている布団を跳ね除け、ギルデさんに突撃!
「な?! おじょぅ、ぐはぁ……!」
驚いて、『お嬢様』と言いかけたギルデさん。
あたしの抱き着くというなの、体当たりのせいで床に頭を強打。
リディさんはお腹を抱えて「あはは」と大爆笑。
「っ……おじょ、さま。本当に、お元気そうで。何よりです……」
強打したところと、みぞおちを抑えてそういった。
あ、やっちゃった。
力加減間違えちゃった……。
でも、やっちゃったものは仕方ないよね!
「うん。ギルデさんごめんなさい、力加減間違えちゃった!」
「…………でしょうね……。ところで、リディ。いつまで笑っているのです?」
ギルデさんの言葉にリディさんはベットをボスボス叩いて、大声で笑い出した。
「いひゃひゃひゃひゃ! ギルデさんサイコ―!! ぶふ」
「「………………」」
リディさん。
笑い方がさっきと違って、すっごく変……。
てか、怖い。
どうしたんだろう。
変なの食べたのかな?
もしくは頭が――――。
「リディ。もう少し女性らしく笑いなさい」
あたしの下敷きになったままのギルデさんが言った。
でも、ギルデさんの正論も、リディさんを笑いのツボに押し込むだけ。
「あーひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
とうとう高笑いし始めたリディさん。
ギルデさんは軽くため息をついて、あたしを立たせてから立ち上がった。
「ありがとう。ギルデさん」
ギルデさんを見上げてお礼をいったら、ギルデさんは屈んで、目線を合わせてくれた。
「いえ。お怪我はございませんか?」
「ん、ないよ」
だって、ギルデさんを下敷きにしたしね!
「そうですか。それはようございました」
ホッとしたのか、ギルデさんは微笑を浮かべた。
で、その間。
リディさんはと言うと――。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
と、笑っていた。
ねぇ。すっごく裏切られた感じがするんだよ。
いつもは『あはは』って笑うのに……。
そんなキチガイみたいな声で笑わないでよ!
イメージ壊れる!
それに、そんな笑い方されたら、千年の恋も一瞬で冷めちゃうよ!!
使用人について。
ノエル…エルウィスにだけ冷たい。
ギルデ…使用人兼代理執事。ニコラの頭の中ではよく『執事』だったりする。心配性。
マーティ…セメロ家にいる人たちのお母さんみたいな人。凝り性。
リディ…気分でしゃべり方が変わる。ちゃらんぽらんのような女性。
以上。
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございました。
それと、ロイドが主人公で、三人称の本編『愚者の歩』を、一話とかを修正し、投稿します。




