第十話 本
あたしはソファーの前のテーブル。
二冊重ねて置いていた本を手に取る。
気分は上昇中。
いざ……!
………………これ昨日読んだ……。
気分が地に落ちた。
いや、突き抜けてマイナス。
なんでここ置いとくかな……。
もう誰だよ!
って、あたしなんだけどさ……。
解ってる。
言ってみただけだもん!
と、言うことで。
あたしはその二冊の本を持って部屋を出た。
そして、この家で一番本が保管されている場所に向かう。
あたしの部屋からはちょっと遠い。
だからあたし。
いつも、数冊本を持って帰るの。
でも今日は時間あるし、そこで読もっと。
あたしの頭の中は、本のことでいっぱい。
というより、本しかない。
スキップ、スキップるんるんるん~。
「はっ! あたしもう九歳!!」
あ、いけない。
ショックで叫んじゃった……。
誰もいないよね?
あたしの取り乱した姿、誰も見てないよね?
バッ、と勢いよく振り返る。
よし、誰もいない!!
良かった……。
ん? あれぇ……。
持ってた本がないよ?
どこ行ったのかな?
辺りを見回す。
無い。
なんで?
あ、解った! 足元!!
……あれぇ…………。
本がない。
ということは……。
後ろだ!!
勢いよく振り向く。
あった!
二冊の本は、背表紙を上に向けて広がってた。
「?! ページ!!」
あたしは慌ててその二冊を拾う。
どこも折れ曲がってないよね?
一ページ、一ページ確認。
一冊はどこも折れ曲がったりしてない。
でも、もう一冊は、一ページ折れ曲がってた。
ショック……。
上がっていた気分は最初以上に落ち込んだ……。
しばらくその場に座り込んで動けなかった。
再起不能……。
あたしの大好きな本……。
あたしのせいで折れ曲がっちゃった。
もう、ヤダ。
部屋に帰ろうかな。
寝たら少しは気分、回復できるかな……。
あたしは、廊下の真ん中で、膝を抱えて落ち込む。
もう、動きたくないな。
この本、お気に入りだったのに……。
「あら、ニコちゃん。どうしたの? こんなとこに座り込んで」
話しかけてきたのは、掃除道具を運んでる猫の耳としっぽのお姉さん。
あたしが来た方から来た、お姉さんを見上げる。
綺麗な青と金のオッドアイ。
「リディさん……」
確認するまでもなかったね。
使用人の人は、あたしと執事さんを抜いたら三人だけだもん。
女の人で、若い声。
ってとこでいつもは気づく。
でも今日は気づけなかった……。
もう嫌。
本がある部屋までまだ遠い。
だからお部屋に帰ろう。
引きこもろう。
「ど、どうしたの。ニコちゃん」
「なんでもないです。大丈夫です……」
「そんな風に見えないよ?」
「だいじょぶ」
「……そう?」
「はい」
納得してないリディさん。
凹んでるあたしは、それに気づかない。
頭の中は自己嫌悪のオンパレード。
あたしは目の前の二冊を抱えて、ふらふらと元来た道を戻る。
そして、あたしは再びピンクに統一された部屋に帰ってきた。
二冊の本は、置いてたテーブルの上に置く。
よたよたと天蓋のついた、ピンクのベットに行き。
それに倒れこむ。
ふて寝決行。
おやすみなさい。
目が覚めたら元のニコラに戻るから。
それまであたしに時間を下さい……。




