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神子様は骨が好き!?【これは断じて私が俺様鬼畜王に捕まるまでの話ではありません!】  作者: 福丸 猫太


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41/66

方法


 再び戻った何もない空間の中で、オリオン王は何やら考え込んでいた。


 そんな中、遠くからかすかに人の声らしきものが聞こえてくる。




『………ン…………オン………リオン……』


『ん? 今度は誰が出てくるのだ?』




 今までのことから、オリオン王は気を引き締めて自然と身構えた。


 遠くで何やら人影らしい光が見える。その光は少しずつオリオン王のもとへと近付いてきた。




『これはっ!?』




 オリオン王の目の前にやってきた人型の光は、虹色に輝いていた。


 虹色は女神の色。オリオン王は、驚きのあまりその場で固まり、口を開けないでいた。




『オリオン、やっと見つけたわ。もう少し、普通に夢を見ていてくれたら、簡単だったのに……』


『貴女は……女神……?』




 虹色に輝く人影に向かって、オリオン王は驚きの表情のまま半信半疑で問い掛けた。


 神子は別として、女神が人の夢の中に出てくるという事はまずない。お告げのような声だけであったなら聞くことも可能であるが、光としてしか見えなくても女神が姿を現してくれることなど、ありえない事なのだ。


 オリオン王は、この不測の事態に暫し、思考が停止してしまった。


 だが、すぐにこの状況を冷静に分析し始め、女神が現れた理由を考えていた。




 一方、オリオン王の驚きを知りながらも、女神は静かな声で語りかけた。




『えぇ、そうです。貴方には光にしか見えないでしょうが、私が女神ネホ・ウボンイレよ。貴方にどうしても伝えたいことがあって、貴方の夢の中に入りました』


『女神よ、お会いすることが出来て、大変光栄です。それで、この私に伝えたい事とは?』




 オリオン王は、片膝をついて恭しく頭を下げ、丁寧に女神への挨拶をした。


 だが、実際は女神の話が気になり、脳裏に眠ったままの菜穂がチラついて、期待と不安で気もそぞろであった。


 そんなオリオン王の気持ちを知ってか知らずか、女神はゆっくりと口を開いた。




『オリオン、貴方が今、一番知りたいことです。そう、菜穂を目覚めさせる方法よ』


『ナホを!?』




 オリオン王は、目覚めたナホを想像し、その表情は期待で歓喜に満ちる。




『それで、その方法とは?』




 急く気持ちを必死に抑え、オリオン王は女神である虹色の光を見つめる。


 女神は、オリオン王の様子を優しく眺めながらくすっと微笑んだ。




『それはオリオン、貴方が菜穂に気を送ってあげればいいのですよ』


『女神よ、既にナホに気を送ることは試しております……』


『送る方法が違うのです』


『違うとは……?』




 オリオン王は、訝しげに眉を顰めた。


 そもそも気を送る方法は、互いに手を握り合って指先に集中して少しずつ相手に流していく事が当たり前であり、他の方法などとられた事は全くない。今まで他の方法の必要性などなかったし、ましてや他の方法が存在するとは誰も想像さえしなかった事なのである。


 沈思していたオリオン王は、何かに気付いたようにハッと顔を上げた。




『違う方法でなければならない理由は、ナホが神子だからでしょうか? 私とナホの気の大きさに関係しているのでは……?』


『えぇ、その通り。さすがオリオンですね。菜穂の膨大な気についていけるのは、同じように膨大な気を持つ貴方だけ……。手から気を送っていては、何日かかるか分かりません。ですから、菜穂に気を送れるのは貴方だけで、その方法も特別なのです。では、もう一つ、貴方たちの気の波長が合い過ぎているのも、もう気付いているのかしら……?』


『はい、それは……ナホからはあまりにも甘い香りが漂ってきますので……』


『そう、だったら、この方法は少々貴方にきついかもしれなわよ?』




 何を思い出したのか、くすっと可笑しそうに女神は笑みを浮かべ、どことなく悪戯っぽく瞳を細めた。


 無論、そんな女神の表情など見えないオリオン王は、怪訝そうにわずかに眉を寄せる。




『きつかろうがきつくなかろうが、どんな方法でも私には関係ありません。絶対に神子を目覚めさせてみせますので、女神よ、どうか教えて下さい』




 真剣な瞳で虹色の光を見つめるオリオン王に、女神は優しげな眼差しを向けて頷いた。




『菜穂に気を送る方法は、ただ一つ。口から送ればいいのよ。ほら、物語にもよくあるでしょう? 王子様のキスでお姫様は目覚めるってね……』




 オリオン王は、その方法が口移しとは考えもしなかったらしく、少々驚いたように目を見開いた。




『口移しで気を送るのですか……』


『えぇ、そういうことよ。でも、ただの軽いキスじゃ駄目よ? 菜穂を目覚めさせるには、貴方の想いを籠めてゆっくりとキスをして気を送ってあげないといけないの。だから、甘い香りで誘ってくる菜穂を我慢しないといけないなんて、きついかしらと思って……』


『いえ、ナホが目覚めるのであれば、何でもできます』


『それならいいけれど……』




 きっぱりと真面目に言い切るオリオン王をニコニコ笑顔で見つめていた女神は、ハッと周囲を見渡した。




『あら、いやだわ……。オリオン、もう……時間…なくなって……きたみたい……最後に、もう一つ、大切な……こと……』


『女神?』




 突然、虹色の光が薄れてきたため、オリオン王はこうして女神と話せるのもわずかだという事に気付き、その声も小さくなってきたため、残りの大切な話を聞こうとして息を殺す。




『……菜穂と貴方は、不思議な運命で……繋がっているわ。貴方が、菜穂を守り、菜穂が、貴方を守る……。忘れ……ない、で……。絶対に……離れ、ないで……。菜穂……を、捕まえ……なさ……い。さぁ、菜穂を、目覚め……させて……』


『…………!?』




 途切れ途切れに聞こえてくる女神の話す内容に、オリオン王は内心酷く驚くが、それを表情に見せず真面目に返事をかえすのであった。




『分かりました、女神。私は、女神の言の葉を守り、神子を目覚めさせてみせます』


『よか…た……。これで、安心………』


『女神よ、感謝致します』




 そうして、オリオン王は虹色の光が消えていくのを、消えてからも深く礼をして、見送るのであった。



『ナホ、これでお前に会える……』



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