嫌われトリップ?
遅くなりました。
ーー様
ーーじょーーさま
「お嬢様!起きてください!」
怒声と乱暴な揺すり方で、俺は目を覚ました。
思わず何事かと思い飛び起きると、俺を蔑んだ目で見るメイドがそこにいた。
ーーー幾ら何でも三歳児にそれはなくないか?
魔力持ちが嫌われるこの世界では無理もないことなのかもしれないが。ただ当事者の身にもなってほしい。
「お嬢様!?聞いてるんですか全く。……気味の悪いこと。」
今俺の目の前でぶつくさ言ってるメイドは、見た目だけなら十代半ばの、若草色のふわふわ髪と大きな瞳の大変可愛らしい、毒など到底吐きそうにない少女なのだが、どうやら俺は使用人どころか両親にまで嫌われているらしかった。
「…あの」
声をかけると、ぎょっとした顔で振り返られた。
「ーーー私がこんなこと言ってたなんて旦那様や奥様に行ったら許しませんよ。」
メイドはそう釘をさすと、俺の世話を焼くことなく部屋から出て行ってしまった。
確かゲームでのユリアは無意識に魔法を使ってたけど、それが幼少期にも反映されているのだろうか。それならメイドに世話をしてもらえないのも納得はしなくても理解しなくもない。
俺は小さく溜息をつくと、昨日混乱しすぎでわけわからんことになった状況の整理に努めた。
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ーーーマリーは現在、とてつもなく焦っていた。メイドとして、淑女として許されるギリギリの速度で脚にまとわりつくスカートを捌き旦那様の元へ向かう。
ーーーああ、早くお知らせしなければ。
永遠にも思える時間をかけて旦那様の元へたどり着き、早る気持ちを抑えて報告をする。
「旦那様、奥様!!お嬢様がお目覚めになりました!!」
マリー…15歳。主人公付きのメイド。興奮すると目つきがかなり悪くなる。実は危険な状態だった主人公が目覚めたことに喜びすぎてあんなことになった。
本当は良い子。
ちなみに、
•「お嬢様!?聞いてるんですか全く。……気味の悪いこと。」
↓
「(うわ、自分でも思うけど私今顔緩みまくってて気持ち悪いかも?!)」
•「ーーー私がこんなこと言ってたなんて旦那様や奥様に行ったら許しませんよ。」
↓
「私がこんな荒っぽい口調で話してただなんて言わないでくださいね?」
以後は副音声付きでお送りします。