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21話



 瞼を開けば手元には途中で中断された読み掛けの書類の束がカサリと音をたてた。その者は目の前に積まれた資料の山の一つに手元に持つそれを無造作に投げれば深く腰掛けていた椅子から立ち上がり部屋に一つしかない扉へと足を向けた。

扉のノブへと手を伸ばした手は不意に動きを止め、左手を目の前へと掲げた。


「飼い犬に噛まれた、か。無邪気なものだね」


 無機質な瞳が爛れた手を一瞥するだけで興味を失ったように下げられた手は今度こそノブを掴み部屋を後にした。


 握られた左手は跡を消して。










「今から君に、先程君から取り出したこの光力を吸収してもらうよ。放出は出来るようだし吸収も出来る筈だよ。まず初めは君の思うようにしてごらん」



 そう言って掌の上で鎮座している赤色の光力をセルシアの目の前で浮遊させその位置に静止させる。



 私の思うようにと反覆しながら目の前に静止する赤色の球体はまるでこちらを伺っているような鳴りを潜めたままだ。これは私の力の暴走によって産まれた光力であり本来なら私自身がコントロールしなければならない力である。

 何故目の前に居る人がそれを私に教えてくれようとしてくれるのかは後々考えるとして()()()()指導者に伺えるこの機会を逃すのは惜しい。今まで放出はできていたのだからその逆を連想させ目の前に浮遊するそれを()()()




 息が詰まった。体内の光力へと繋げようと触れた途端球体から絡めるように掴み勢いよく自身の光力を奪われていく。このままではいけないとこの小さな見た目に似つかわしくない強欲な力を断ち切るべく手を振り解こうにも肝心の繋がれた経路を断ち切らなければこの球体は離してはくれないはず。ただでさえ先程の光力の異常で消耗が激しくコントロールが難しい中、どうするべきか迷っている場合ではないとはっと息を吸い込み歯を噛み締め掴んでいない反対の右手を左手首に触れ一気に精霊の(シキ)を球体の中で暴れ回る流れに向かって打ち込んだ。


 吸収の流れを強制的に止めるように(シキ)力を打ち込まれた球体は途端大きな亀裂が入り、器を失ったそれは飽和し光力が辺り一面に吹き出された。




「うわーーーお」



 一連の光景を見ていた人物は強制解除した反動で跳ね返り地面になぎ倒されたボロボロのセルシアを見て一言申した。



「不合格〜」


 赤色の光力が周囲を多う中、口元に笑みを浮かべこちらを見る榛色の瞳はやはり好奇心を変わらず浮かべていた。








「いやぁ、久方ぶりに面白いものが見れたよ」



 そう言ってケラケラ笑う人物に光力を無理矢理抜かれ慣れないことをした反動で暫く動けないでいたが漸く居住まいを正せたセルシアは罰が悪いように眉を下げた。



「……私は必死でしたのに」

「ははは、ああごめんごめん。ねえ君って外見に似合わず大胆な性格してるね」

「雑と言いたいのですね」

「だって君吸収どころか止め指してたからほんと、びっくりしたよ」



 そう言ってお腹に手を当て笑いあげる人物に思うようにしてごらんと言われたから触れたらまさか球体があれ程の力を持って自身の光力を奪いにくるなんて思いもしなかったのだもの。警戒せずに触れた私も悪いけれど必死の抵抗を笑われるのは目の前の人物はやはり意地が悪いと思う……。なので目の前の人物に対してどんどん目が細くなっていくのはしょうがないはず。しかし結果として球体を破壊してしまったので反論ができず口を閉ざしていた。





「さてと、ああ笑った笑った。それでは振り返りといこうかな」



 人物は今だに辺り一面赤色の光力が浮遊しているのを指差しくるくると回転させればそこに風が吹いているように赤色の光力が渦を巻いていく。まるで指先に吸い込まれていくように浮遊していた光力がその一点に集中していくようだとセルシアは思った。そしてあっという間に辺りにばら撒かれた光力がセルシアを覆おう程の大きな渦となったと思えばそれは徐々に小さな渦へと変化していき最終的には拳程の大きさの渦で落ち着いた。



 そして人物は渦を巻き出来上がった光力を右手に、左手にはいつの間に作ったのか長細い棒の形をした赤色の光力を手元に持っていた。


 

「いいかい先程の君の行動を分かりやすく説明しよう。この渦がさっきの球体としよう。君はこの渦の中に無造作に手を入れてしまったことになるそしてそうなった場合二つの事が起こる。一つは相性が合わずに弾かれるか、それかもう一つが」


 流れる赤色の渦を私の目の前へと見えるようにして

「取り込まれる。




ってのは頭の隅に置いといてくれれば構わないよ。さてさて本題だよ!」




 冷たく告げれれた言葉にぞくりと背筋が凍った感覚に陥ったが途端ひょいと渦を下げ明るく弾んだ声へと切り替わる。目の前の人物は時に言いようのない緊張感を醸し出したと思えばコロコロと剽軽な態度へと変わりどう接して良いのか掴みづらいと思った。



「咄嗟に君はこの流れる渦をどうにかしようとこの渦の中にこっちの棒の形を突っ込んだんだよね。()()()はあってるんだよけれど見てて、右手の渦の中に左手に持った赤色の光力の棒を入れれば渦と棒が溶け合うように回転していくんだ。溶け合い混ざった状態の中、君が突然爆発的な力を持ってこの棒へ負荷を掛ければその負荷はどこへいくかな」


 ぎゅっと強く握りしめた音がした途端流れる渦が鷲掴まれたように一瞬逆向きに流れを変えたかと思うと次には先程の比でない大きな渦が一度だけできて均衡を失った流れがあちらこちらに流れそれはもはや渦ではなく小さな波へと変わり光力はまたしても辺りに分散してしまった。




「急な負荷は渦へ、それで球体が壊れたんだ」






お久しぶりです。かなりお待たせしてしまいすみませんでした。

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