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魔嬢の使用人  作者: 熊野金太郎
始まりの魔女 編
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000 寂しがり屋の魔法使い

 この世界に現れた、一番最初の魔法使い。

 彼は少女に「どこから来たの?」と尋ねられて、楽園からと答えたらしい。

 エルザがその伝説を聞いたのは、たった5つのときだった。

 その頃はまだ元気だった、優しく美しい母が、その日なぜ、自分にこう尋ねたのかは、15年経った今でも分からない。


「ねえ、エルザ。その魔法使いさんは、どうしてこっちの世界にやって来たんだろうね」

 6つも年上の、双子の姉たちがお勉強に励むこの時間。

 遊んでくれる相手がいなくて、暇を持てあましたエルザが、母の部屋に突撃するのはいつものことだった。

「うー……わかんない。おなかが、すいてたのかなぁ」

 ベッドの上に腰かけて、足をぶらぶらさせながら、エルザはそう、首を傾げる。

「ふふふ、そうかもしれないね。きっとそこには、おいしい食べ物がなかったんだわ」

「かあさまも、そうおもうの?」

 振り返ると、枕にもたれてニコニコしていた母は「うーん」と少しの間、考え込んだ。

「どうだろう。かあさまはねぇ……その魔法使いさんは、もしかしたら」

 絵本を閉じて、母は笑った。

「寂しかったのかもしれないね」

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