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月を仰げば。  作者: 水城
第一章
13/18

11



「うわぁ…もーなんか嫌になって来た」


「辛抱してください。今、そんなことを言っていてはこの先やっていけませんよ」


「俺は若干薄暗い部屋で、パソコン弄れれば何の問題も無いのに」


「ダメですよ、そんな不健康な生活は」


うっさいわ。

ジトリと要のお綺麗な顔を睨んでやれば、ますます腹が立つ。

なんで、理事長(父親?)といい、要といい顔がやたら整っているのだろうか。


「つか、これ、何の意味が有るの?」


そういって、つまむのは黒い髪。

実を言えば、俺の髪は色素がやたら薄いため、赤茶だった。

それが今となっては真っ黒。しかもやたら、重い感じに。

つまるところ、今の俺は黒い鬘をした地味な印象の人間。


瞳は鳶色。これは、まぁ隠さなくても良いだろうということで、眼鏡オンリー。

元々、暗い中でパソコンいじる位だから、目が悪くなっているのだが、別に眼鏡が無くても日常生活に事欠いた事は無い。

が、もしかしたら、この先の学校生活で必要とするかもしれないということでかけてみた。


「暁乃様は少々、ご自身を理解し、自覚する事が必要かと思います」


「自覚っつったって…、何を?」


髪をいじりながら言えば、要にため息を吐かれた。珍しい。


「では、ご自身のお顔について思われる事は?」


「……平凡?あ、もしかして、平凡より酷い?ごめん、気付かなかったわ」


「どうしてそうなるのですか」


「いや、だって、どう考えても、ポジティブには考えれないでしょ。俺ナルシストじゃないし。自分の事は重々理解してるつもりだけど」


盛大なため息どうも。

僅か数分の中で、またもやため息を吐かれる。


「ああ、そういや、昔、女顔だとは言われたな」


よく分かんなかったけど、と付け足して言えば、要は既にため息を付けない程呆れている様子。

何が悪くて、何が良いのかさっぱり理解できなかった。


「とにかく、素顔を生徒の前で曝さないように。勿論教職員にもですよ?」


「分かった分かった。別に、醜い顔を自分から進んで曝す気は毛頭ねぇよ」


「…今はそれでいいですよ。バレてしまったら大騒ぎですからね」


それはいやだな、と笑ってやる。

ところで、皆様。

僕はさっきまで、要と寮へ向かっているつもり…でしたけど?


「何、ここ」


でっかい、マンション…ホテル?

やたら綺麗で、壁にしろ、窓にしろピッカピカ。


「暁乃様が入寮される寮ですよ。」


「いやいや、待て。ちょっと待て。金持ちはなんだ、毎日ホテルに泊まるのか?」


旅行とかならともかく、日常で、こんなところは…非常に嫌だ。落ち着かない。


「大丈夫ですよ。住めば都、ですから」


すでに、都ですけど?別の意味で。

今まで、普通に、自分が稼いだ金で適当マンションに住み、適当に家賃を払って生きて来た俺にとってこの綺麗過ぎるマンションの様なホテルの様な寮は明らかに格違い。


「こんなの、何年たっても慣れねぇよ…」


呆れ半分、諦め半分。

急性ストレス性胃炎で倒れたらどうしてくれよう!


スーっと静かに開く、自動ドアの脇に、寮管室とプレートに書かれたドアがあった。

要はそこをノックした。

が、待てども待てども人が出て来る気配は無かった。


ふっと、辺りを見渡した時、ゴンッ!という音が俺の身体の前方から聞こえて、首を元に戻す。

ドアの中央やや下辺りにへこみが出きているのは気のせいでしょうか?


「あんの、クソ。どこで油売ってやがる」


あれ、この人こんなキャラだっけ?

敬語がさようならしてますよ?


すると、ガタッガッタンなんていう音が聞こえて来る。

ガチャリと開くのは、寮管室のドア。


「おせぇよ、クソ。俺が来たら1秒ででるのが常識だろうが」


だから、貴方誰ですか?あの、似非紳士より酷くなってませんか?


「あれ、要やん。何してん」


「うっせぇよ。編入生だ。さっさとキー寄こせ」


出て来たのは金髪のカッコいい…?不良なお兄さん。

ただし、はにかむように笑う姿はすっげぇ愛嬌がある。


だから、要さん?何か悪い物でも食べましたか?


「んー?ああ、そこのちっこいのが編入生か。自分、影うっすいなぁ。要に隠れてまってんやん」


「黙れ、このクソ。こっちは忙しいんだ」


「あ、俺寮管の迫 涼成言うん。自分は、えっとー…」


「風間…?暁乃です」


一瞬迷う。

確か、この学園では騒がれないように”風間”の方だった筈。

しかもまだ、養子縁組の申請途中で”藤堂”ではない筈。


「あきのんな!俺は大抵涼ちゃん言われてん。好きに呼べばええよ」


「ああ、はい。えっと迫さん」


「涼ちゃんでええって!」


好きに呼べって言ったじゃないですか。

そして、要さん、この辺り一帯を氷点下にするつもりですか?

ブリザードが吹いてますよ。


にっこり笑う寮の管理人、涼ちゃんと要の冷酷な顔の違い。

とりあえず、要は似非紳士という仮面を被るが、実際は口の悪い普通の人間ということが分かった。

というか、なんで寮管と知り合いなんだ?






涼ちゃんの口癖はおそらく自分の口癖かと。

だから、多分色々混ざっております。

関西から関東まで。

関東あたりの言葉、関西辺りの言葉。

両親の影響で色々混じりますが、ご容赦ください。


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