9-別Side
高熱に侵され、起動不能となったパソコンを見つめため息を吐いた。
いや、ため息ではなく、感嘆が漏れたと言うべきか。
「やられたな」
「朧月の腕はまだまだ健在ですね」
「まーったくー!少しは衰えというものがないのー!」
三人は二台のパソコンを囲むように、一人が座り、二人が立っていた。
三人が三人、それぞれで、感服していた。
数年ぶりという対決に、またしても完敗。
数年のブランクがある相手に、だ。
「この腕には相変わらず驚かされますね」
落ち着いた表情ながらも、その目は懐かしみと強敵に高揚していた。
「これで復活してくれたらまた退屈しなくてすみそうだねー!」
暁乃と同じ事を言い座っている者の肩に手を置いた。
座ってる者は椅子をクルリと回転させ二人に向き直る。
その顔をみた二人は一度固まった。
「貴方がそのような顔をなされるなど。珍しい」
「やっぱり朧月ちゃんだからかなぁ?」
「……うっせぇよ」
笑っていた。
ただ笑うではない。
新たな、再会。
今までにない、満足できない、気持ち。
満足できそうな相手との出会い。
捻り潰したくなるような。
捩じ伏せたくなるような。
それでいて、できない。
それでいて、触れられない。
それでいて、傍観していたくなる。
パソコン越しに伝わる、相手の意。
強く、たくましく。
繊細なくせに荒々しく。
「ある意味恋だよね~あれ」
「気づいてないでしょうよ。自分自身」
向き直った後、さっさと立ち去ってしまった男に対して。
二人は互いの思いを言った。
彼が満足できるよう。
「私たちでは彼らに介入できませんからね」
「一応、力を貸してるけど、貸してないよね。全然」
ケルベロスという名前は意味などない。
ただ、”三人”いるだけだ。




