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貴志は勇太がダイッキライだった。貴志は勇太と同じ中島という姓を持ってるというだけで何かと比較の対象にされたのだ。
先月行われた学校恒例の寒中マラソン大会がその象徴だった。小学5年生のレースで優勝したのが3組の中島勇太。そして最下位になったのが同じく3組の中島貴志。6年生のレースがすでにスタートを待っている状態の中、重い足を引きずり、吐きそうになるのを我慢してゴールした貴志の耳に聞こえたのは、1着の選手に送られるのとは意味合いの違う拍手と、6年生を受け持つ体育主任の先生の「5年生には優秀な中島と、不出来な中島ってのがいるんだな」という言葉だった。
クラスの友達にもからかわれ続けていた。学力テストの結果が張り出される度に「1位中島って書いてあったけど、お前かと思ったら勇太だった。まさかお前が1位になるなんてありえないもんな」と言われるのがわかっていた。だから貴志は、学力テストも、マラソン大会も、勇太も、クラスの友達もみんなダイッキライだった。




