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キミと見ている景色が違っても、永遠にキミを愛すと誓おう

 これはエゴだ。


 蓮は手のひらを固く握りしめる。

 由依が記憶を捨てたなら、失ったまま生きるという選択をしたのなら、それを受け入れ、決して思い出さないように、全ての悲しみや苦しみから由依を守る盾となる。灯里には母親を奪って申し訳ないが、由依の分もしっかりと責任を持って弔うと誓おう。父親としての愛情を全て灯里に捧げよう。


 だが、もしも……万が一、由依が苦しみを受け入れて過去の幸せと共に生きるというなら、蓮と共に生きてくれるというのなら、今度は決して由依の手を離さない。もう二度と、離れない。


 これは最後の賭けなのだ。


 ずっと胸ポケットに大切に忍ばせていた、女物の指輪を手に取り、祈るように握りしめる。自身の左手の薬指に光る指輪と同じデザインのそれは、自身のものよりも小さく、朝日と共に消えてしまいそうなほど儚いもののように思えた。


「君に返すよ」


 由依のワンピースのポケットにそれをそっと忍ばせると、祈るように彼女の左手をとり薬指にそっと口付けた。








 目覚めると、そこは幼い頃から見慣れた部屋の天井だった。由依は固まった喉に手をあてて、数回咳をする。風邪でも引いたのだろうか。


「あれ、私、いつ実家に帰ってたっけ?」


 はっきりしない記憶を辿るも、何にも思い出せない。服も着替えずに寝ていたようで、体のあちこちが軋む。


 何か大事なことがあったはずなのに。


 寝起きだからか、まだ身体が重く起き上がるには辛い。ごろり、と寝返りを打つと腰の辺りに硬い違和感を感じ、由依は首を傾げる。何かを下敷きにしてしまったようだ。


 たぐるようにワンピースを引き寄せ、ポケットに手を入れて違和感の根源を探り当てる。


「指輪……」


 由依はそう呟くと、ゆっくり瞳を閉じた。


 そして、長い眠りから覚めた時のように、ゆったりと瞳を開くと、指輪を指にはめた。

 ご主人との再会を喜ぶように、その指輪はきらりと一際淡い光を放つのだった。

最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました。

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