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子爵令嬢

私はとある子爵令嬢です。そして転生者だったりもします。

前世を思い出したとき、なんでこんな男尊女卑が激しくて不便な時代に……なんて思いもしましたが、平民ではなく一応貴族だったので、それなりに生活も保証されて安全なのでよかったと言う気持ちが大きかったです。

そして一番嬉しかったのは、転生前は幼い頃にちょっとした事故で頬に傷があったんですが、それが今ではシミ1つ無い……事もないけどそれなりに綺麗な肌で、化粧で隠す必要も無いことでした。

転生前はアラサー独身キャリアウーマンでした。子供の頃、傷にせいで男の子にからかわれていた反動なのか、男性より出世することに生き甲斐を感じていました。

そんな私にとって、この世界の男尊女卑な考えは受け入れがたく、日々憤りを感じていました。

まぁ家族には恵まれたようで、父は母が大好きだったので他の家よりは自由だったように思います。


弱小貴族ですが、例に漏れず私にも10歳の時に婚約者が出来ました。ですが、酷い俺様男で……これも貴族であるには仕方が無いので、私は生涯この俺様旦那とそこそこの人生を歩むんだなと思っていました。

ある日、お茶会に出ていたら天使のように可愛らしい少女に扇子を誉められました。遠回しに欲しいと言われているのには気付きましたが、俺様婚約者に海外旅行のお土産で貰った物なのでさすがに渡せないと断ると、何故か俺様婚約者にキレられて扇子を取り上げられてしまいました。

何が起こったのかわからずに、そのまま少女と庭園へと消えていく俺様婚約者を見送ることしか出来ませんでした。

正直貰った手前使うしかなかったので使っていましたが、センスの欠片も無い扇子でしたので、手元から無くなってホッとしました。


それからも俺様婚約者はお茶会で会う度に例の少女と共に過ごすようになり、私はすっかりほったらかされることとなりました。

なんだかまるで悪役令嬢みたいだな~なんて思っていると、どうやらうちだけでは無く、他のご令嬢方の婚約者も彼女といい感じになっていたようです。

まさに物語のヒロインですね。なのでやってもいない罪を擦り付けられて人生をめちゃくちゃにされる前に、こちらから婚約破棄をすることにしました。

一応他のご令嬢方にも婚約破棄を伝えると、皆さんもそれぞれお怒りだったようで、一斉に婚約破棄を突きつけることになりました。ちょっと楽しそうですよね。


意外なことに俺様婚約者は婚約破棄を嫌がり、必死で食い下がってきました。

バカな女を皆でからかっていただけなんだとギャーギャー言っていましたが、むしろそっちの方が最低ですよね……女を玩具か何かだと思っているんでしょうか?

本当、こんなアホと婚約破棄できてよかったです。

その後わかったのですが、なんと俺様婚約者達はみんな彼女と体の関係があったそうです。天使の容姿なのに少し押せば簡単にやれる女として俺様が友人に自慢して、その話が広がって仲間内で共有して遊んでいたようです……

思った以上に元婚約者達がクズ過ぎてビックリです。確かに乙女ゲームにしては下位貴族の令息ばかりだし、イケメンでもお金持ちでも無く、みんなモブキャラだよな~と思っていたんですよね。どうやら乙女ゲームの世界では無かったようですね。

結局彼等は暫くしたら貴族社会に醜聞が広がり、家の恥と言われ弟や従兄弟に次期男爵や子爵の座を強制的に譲ることとなり、そのまま勘当されて家を追い出されたり、領地に戻され王都への出入りを家族に禁止されたりしたようです。

そこまで落ちぶれてしまえば、貴族女性には誰にも相手にされず、あの女のせいだ等とほざいていたようですが、自業自得ですよね。


あの天使のような少女は、とある侯爵様の、たくさんいる愛人の1人になったそうです。まぁ、ある意味天職なのかもしれませんね。

それから3年、私はここぞとばかりにもう男の人はこりごりですと言って新たな婚約話を持ってこられる前に王宮の侍女になりました。

本当は計算なども得意なので事務官になりたかったのですが、女と言うことで叶いませんでした。それでも自分で仕事をして、実力次第で上に行けると言うのは生き甲斐を感じることができて楽しかったです。


ある時、大国より視察団が来ることになりました。大国と言うと戦闘民族で、みんな大きくて厳つくて荒々しい人ばかりです。蛮人何て言う人も少なくはありません。

接待役の募集がありましたが、少しでも粗相をしたら殺されるんじゃないかとみんな怖がって立候補は居なかったようです。

何故知ってるかって?ふふ、下位の弱小貴族で婚約者のいない私は、ちょうどいい生け贄のようで駆り出されてしまったんです。

まぁ前世日本人だからかどこか危機感に欠ける私は、そこまで恐怖でも無いんでいいんですけどね。

酔っぱらった勢いで殴られたりしないように気を付けておけば大丈夫でしょう。


当日、なんと例の彼女がいました。相変わらず天使のような美貌はそのままで、恐怖に震える女性達の中で1人だけにこにこしていて、はっきり言って異質な存在でした。

直接話したのは最初の1回だけでしたが、もしかしたら頭のネジがどこか外れているのかもしれませんね……

広間に入ると、上座に他の人よりさらに一回り大きくて眼光だけで人が殺せるんじゃないかと思える様な男性が座っていました。リアル魔王ですね。

他の女性達が怯えるなか、彼女は臆すること無く魔王のとなりに座りました。魔王はおそらく皇太子様でしょうが、彼女に任せて残りのメンバーは他に散ることにしましょう。

最年長なのでサクサクしきって彼女達がみんな座ったのを確認して、自分は2番目に怖い見た目……と言うか顔に傷があるから怖く見えてしまう男性の隣に座ります。

縦横が大きいのはわかりますが、どうしたらこんなに厚みが出るんだろうと不思議でなりません。横向きでも私の横幅よりだいぶ大きいんじゃないでしょうか?


「くっくっく、国の女以外にこんなにまじまじと見られたのは初めてだ。俺が怖くないのか?」


あんまり見すぎて笑われてしまいました。怖い?う~ん、確かにちょっと殴られただけで死にそうですが、そんな野蛮な人達でも無いみたいなので大丈夫な気がします。

むしろこの国の男の方が行儀が悪いんじゃないでしょうか?セクハラとか普通ですしね。

怖がらせないように気を使ってくれている彼等の方が、好感が持てる気がします。

アラサー+18歳の私は、すっかりおばちゃん思考になってしまっていて怖いもの知らずと言うかなんと言うか……神経が図太くなってしまっていて、ついつい前世で大好きだったお酒をガブガブと飲んでグチグチと絡み酒をしてしまいました。

うちの国は実力社会だからこんな国捨てて俺のところに来ればいい。仕事でもなんでもしていいぞと言われ、酔っぱらった私は思わず頷いてしまいました。


酔っぱらってハイテンションのまま彼の寝室へ行き、そのままの勢いでサクッと処女を捨ててしまいました。

翌日私が寝室に連れ込まれた(実際はノリノリで着いて行った)話は広まってしまっていたので、このままここにいてもセクハラが酷くなるだけだと瞬時に計算して、そのまま顔に傷のある彼について行くことにしました。

大国に着くと、なんと彼は騎士団長で、侯爵様だったようです。中々結婚しない主を心配していた使用人達は大喜びで私を迎えてくれました……と言うか侯爵夫人なら仕事出来ないじゃん!

だーまーさーれーたー!と思っていましたが、彼は根っからの脳筋で執務系が大の苦手だったので、彼の仕事を手伝う事に生き甲斐を……と言う可愛い量の仕事ではありません!

ちょっと、どうしてこんなに溜め込んでるのよ!この筋肉バカ共、書類が間違ってるんだよ!ちゃんと確認してから提出しなさい!とやっているうちにすっかり騎士団では鬼嫁として認識されてしまったようです……

日々忙しく過ごしていますが、とても充実して身も心も満たされて幸せです。

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