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第一話  初めましてはトイレの前で

 1



 学校の怪談というのは、どうしてこんなに人の心をくすぐるのだろう。


 真面目に考えた事は無いけれど、小学生なら一度は聞いたり話した事があるはずである。

 よくよく考えてみるとツッコみ所満載なのがああいった話なのだけど、メジャーな所だと口裂け女とかメリーさんとか五時五十五分に学校にいると危ないとかそんな感じだろう。そしてその中でも誰もが知っていて誰もが聞いたことがある超有名話。

 百人中八十人くらいが最初に言うであろう(僕の勝手な想像)学校の怪談。聞いた時、思わず「一緒に行こうぜ」と出したくもない友人を無理やり連れションさせるくらいのインパクト、かつ有名度。

 おかっぱ頭の赤い服。

 地域によってまちまちな伝説ながらも決して消えない超メジャー級怪談。

「何考えてるんですかあ? ミンちゃん」

 僕の隣でうとうとしていた恋人に苦笑して答える。

「世にはびこる迷信についてだよ」

「世に不思議が無かったら、私は退屈すぎて生きてけませんねえ」

 大きく口を開けあくびをする女性。

 僕はコーヒーの匂いで満たされた室内で、いつの間にか寝てしまった相方を起こさないようにテレビを見ていた。番組は『学校の怪談二時間スペシャル』

 僕の恋人は正にそれ(・・)である。

 名前は〝華〟子だが、本人曰く本物(・・)()お化け(・・・)、だそうだ。まあ、一種の妖怪、というやつである。

 しかしそれよりも重要なのは彼女がどうして僕の隣ですやすや寝ていたかであり、もしくは僕の恋人になっているかということだがそれはともかく。

「華子さん、いい加減僕に抱きついて眠る癖直したら?」

「ミンちゃんの抱き心地が良すぎるのが悪いんです。諦めてください」

 にへらっと蕩けた顔をする。いや、まあ、なんというか、別にいいんだけどね可愛いから。僕は毛量の多いその髪の毛をもしゃっと掻き混ぜ撫でる。気持ちよさそうに猫の如く目を細める華子さん。僕も手の平に伝わる髪の感触が気持ち良くまた撫でる。

「せっかくの休暇なんですからこうやってゆっくり寝ているのが一番なんですよー」

 華子さんはごろごろと喉を鳴らしそうになりながら笑みを浮かべる。

 この話はさして面白くはない。それは保証する。出てくる登場人物も皆変わった人間(外もいるけど)ばかりだけど特別大した事件ではない。じゃあ何故こんなものを人に伝えようとするのか。はっきり言おう。華子さんが可愛いからだ。

 絶対最強無敵に華子さんは可愛い。僕が断言する。華子さんは、可愛い。

 その華子さんと僕との出会いから今に至るまでを、僕は華子さんの可愛さ、これを伝えるためだけに書こうと思う。

 例外は無い。

 最後にもう一度言う。

 華子さんは、この世で一番、可愛いのだ。



 2



 幽霊というものを僕が信じなくなったのは、それなりに理由がある。

 まず、僕自身、全く霊感が無かったからだ。

 他の皆が明らかにおかしいと感じている場所でも全くの普通で、逆に怖がられたりさえした。(ちなみにその場所はストーカーに何度も刺され死んだ女性が息絶えた場所だった)僕は断言してもいい程、幽霊というものにこれまで縁が無い人生だった。それは幽霊にとどまらず妖怪だったり神様だったりでも同じ事で、皆が信心深く受験用のお守りを握りしめる中で、大学というちょっとした人生の節目でさえも信じたのは自分の運と実力だけだった。

 そんな人間に幽霊やお化けを信じろと言う方が無理であり、事実僕はいるのかもしれないけど信じてない。っていうか居ても居なくても関係ない、そう思った。

 そうやって生きてきて、アルバイトしながら貯めていた貯金で念願の喫茶店を開いた時も、特に何もお祈り的を事はしなかった。友人たちがこぞってお祝いの花や開店祝いの品を持ってきてくれた時も皮肉ってお守りを持ってきてくれた子がいたくらいだ。

 そして僕の夢にまで見た喫茶店開始の日、思い知らされことになる。無知という奴は、いやはや本当に怖いな、と。



 3



 宿借(やどかり)市。

 僕が大学を卒業してから戻ってきた地元であり、特に何の変哲もなく変わり映えもしない極々普通の田舎町である。

 しいて特別な所を上げればやたらと妖怪、幽霊の類の伝説が多い事と、夏には3日間に渡って行われる『宿借大祭』があることくらいで、その他は空気も美味しく、人も穏やかで優しく、そしてモテない男の巣窟でもあり、結婚にあぶれた男性が彼女連れを本気で憎みながら歩くというなんとも微笑ましい町である。

 僕もまあその一人ではあるのだが、昔からモテないのは変わらず、友達認定率は高いのに恋人関係に発展したことが殆ど無い人間の代表格である。傷口が深くなりそうなのでこの辺で止めておこう。自分をいじめても何にもならない。そう、人には誰だって得手不得手あるものだ。

 高すぎる身長をかがめて店内に入れば、まだまだ綺麗な内装が僕を出迎える。

 焦げ茶色の丸テーブルが店内に五つ。二つずつそれとセットな椅子が置かれ、カウンターには背の少し高い椅子が四つある。

 奥の調理室、そして僕のスペースであるカウンターにはコーヒーメーカーが置かれ、出番の時を今か今かと待ちわびている。

 脇には観葉植物が置かれ、天井にはおもちゃの飛行機がぶんぶんと回っている。

 初夏の今、店内にはクーラーと扇風機が稼働しちょうどよく冷やしていて、僕の汗ばんだTシャツをゆっくりと乾かした。

 ここから僕の新しい喫茶店経営が始まるのだと思うと胸が一杯になる。この空気を大きく吸い込んでゆっくりと吐き出す。道具もそれぞれ僕の事を見つめているように思う。さあ、今日からだ、僕の夢の始まりは。

 随分長かった苦労の日々を思い、思わず目頭が熱くなる。ああ、ようやく手に入れた僕の夢の(ビッグ・ドリーム)……。こんな商店街の隅の一角で、客が来てくれるかどうかも解らない博打は止めろだなんだとさんざん言われたがいい、いいんだ僕は手に入れた、僕だけの店をようやく手に入れたんだ! 文句は言わせない、僕はここからお客さんに世間の冷たい風から一時の休息場所になるような喫茶店を目指すんだ!! 閉じていた目をカッと見開き、まるで歴戦の勇者のように大股で堂々とカウンターに入る。

 室内を一望する。そこから見た景色は、今まで見たどんな光景よりも美しかった。誇張ではない。いや他の人から見れば充分に誇張なんだが、僕にとっては最高の眺めだった。嘘では無い。本当である。

 よし、ここから僕の本当の戦いが始まる。怖れていてはいけない。もう後戻りは出来ない。そうさ、今更止めようったってそうはいかないんだ。

 だって僕金無いし。今まで長らく耐えてきた労働の対価なる物は全てこの店に消えたし。だから夢云々前に働かなくてはいけない。だから待ってなきゃいけない。僕のお客さん第一号を。

 休日。僕はようやく周りの商店街の方々がその熱を帯び始めたシャッターを開ける音を聞きながら、カウンターの奥で傍に置いておいた文庫本を持ち、読み始めた。

 そう、何だかんだ言って、実はまだ開店時間前なのである。

 テンション上がりまくってついつい早く店を開けてしまったが、周りの音を聞けば解る通り、実はまだ午前八時を回ったばかりだ。本来の開店時間は午前十時。二時間ほど時間がある。

 文庫本のページをめくりつつ、僕は考えていた。僕って実は凄く馬鹿なんじゃないかな、と。

 冷静に見えて猪突猛進な所があるとは言われるし、町沢(まちざわ)民男(たみお)という名前はほとんどよばれる事なくいつもあだ名は『ムーミン』だし、その理由もずんぐりむっくりしつつ猫背気味な身体とぼんやりした顔つきからだし。無味無臭とは聞こえはいいけど要は物足りない奴って事だし。

 言われるのは「脳科学者の茂木健一郎さんに似てますね。頭よさそう」と思い切り褒め言葉になってるのか微妙なお世辞言だし。

 まあ何にせよ僕はクオリアに詳しくないし大学も有象無象の中堅大学である。世の中頭のいい人ばかりでは無い。

 ページの中ではヒロインが登場し、冴えないが実は特殊な能力を持つ主人公に早速ツンデレ攻撃をし始めていた。よく思うのだがツンデレって実際いたらちょっと困るよなあ。端から見てたら楽しいかもしれないけど、実際傍にいたら好意向けられてるって解らないって絶対。そんな事思いつつページを黙々と捲っていると、ふと何やら音がすることに気付いた。ことかたことと何かを擦る音や叩く音、何かを立て掛ける音や何かを流す音。

 僕は奥の住居スペースに目を向けた。気のせいかと思ったが、やはりその音は継続されたままでしきりに何かしている音が店内に響く。響くと言う程でもないが気にはなる。

 文庫にしおりを挟むと立ち上がって奥に向かう。我が家の住居スペースにはまだ片づけられて無いものも多く進む度に段ボールが邪魔する。こんな所にも生活空間を快適にする前に店を優先させてしまう、僕のズレた突き進みっぷりが分かるものだが、性格というものは中々変わらないのがよく解る光景だ。そういえば小学校の時いつも『丁寧ですが一つの事を終わらせてから次の事をするともっと良いでしょう』と連絡欄に書かれた。要するに落ち着きましょうという事なのだが何故か褒められていたと思っていた自分がいた。何故なんだろう。

 安い割に中々作りはしっかりした廊下を通り、僕の乱雑な部屋を通り、何故かこのご時世威風堂々と黒電話が置かれた玄関を通り、物音のする方、目の前を真っ直ぐ行った場所。すなわちトイレへと進んだ。

 さっそくコードネーム〝G〟が発生したのかと思い、僕は脇の使っていない畳の部屋から雑誌を丸めて装備すると、ぽんぽんと手の中で遊ばせドアを睨みつけた。

 もし予想した通りだったらバルサンがいるな。絶対に。店内に入ってきたらその時点で僕の店は終わりだ、間違いなく。オープンして一週間で休業したら笑い話にもならない。本当にならないどうしよう。

 そんなこれからの苦行に思いを巡らせていると、中からやはりかたことと何かが動く音がする。僕は息を飲んで身構える。実は虫を殺すのは苦手だ。というより生き物全般殺すのが苦手だ。出来る事なら殺さずに外に出すなりしてやりたいが僕はもう食品も扱う飲食店の店主(マスター)である。そんな生易しい事は言ってられない。心を鬼にすることも時には必要なんだと自分に言い聞かせ、ドアノブに手をかける。

 ばあんッとドアを開け、その黒い物体を直視しようと細いと馬鹿にされがちな眼を見開き振りかぶった。

「まだ仕事中ですぅ。入らないで下さいねえ」

「あ、お疲れ様です」

 目上の人には『ご苦労様』と呼んではいけない事は社会人になってから知った。それ以来全ての人に『お疲れ様』で通している。今回もそれにならい自然に口から滑り出る。

 邪魔にならないようにドアを閉めた。後でお茶でも持っていこうか。それにしても可愛い掃除婦さんだったなあ。ほっかむりがあんなセクシーに感じるだなんて初めてだよ。そっとドアから離れた。そうだせっかくだから僕の淹れたてコーヒー客第一号になってもらおう、そうと決まればさっそく湯を沸かして―

「――……じゃないじゃないじゃないじゃない!!!」

 もう一度廊下に向かいドアを開け放つ。

 先ほどと変わらず一生懸命便器を掃除している掃除婦(?)さんに向かって言い放つ。

「誰ですかアンタ、今日そんなの頼んでませんっていうか自宅のトイレなんて普通掃除頼まないですよ何なんですかアンタは!!!」

 二回も『アンタ』を使い、僕は滅多に出さない大声を上げてその掃除婦さん風不審者に怒鳴る。

 掃除婦さんは手を止めて僕の方へと振り返る。


 ――毛量の多いおかっぱ頭。

 ――小柄だがどこか色気漂う柔らかそうな曲線を描く身体。

 ――透き通るような白い肌。血のように赤く薄い唇。

 ――大きく光を吸って輝く黒曜(こくよう)石のような瞳。太めの濃い眉毛。

 ――丸みを帯びる幼い(ほお)輪郭(りんかく)とはアンバランスな妖艶(ようえん)な笑顔。


 薄緑色でよく見かける掃除婦さんスタイルなのだがそのほっかむりも含めどこかエロティックな危うさを秘めている。

 金縛りにあったような僕の身体をゆっくりと眺め、彼女はその紅い唇を開き言う。

「へえ……珍しいですねえ。今の(・・)私が(・・)見える(・・・)()()()かぁ(・・)あなた(・・・)

 鈴を転がすように高く、しかし聞きやすい声でそう言うと、僕に向かって微笑んだ。

「随分と背の高い方ですねえ」

 僕に近づき見上げてきて言う。

「トイレに神様はいませんよお?」

 何を言っているのか全く分からない僕に、くすくす笑って彼女は言った。

「妖怪ならいますけどねえ」

 僕は初めて知る。世界中のトイレを掃除する妖怪。同じ仕事をする妖怪達の中でも特に高い実績を誇る()()()掃除(・・)()プロ(・・)()()プロ(・・)

 学校のトイレにはいないが、ここ(・・)には(・・)いる(・・)


 トイレの花子さん。――本名『綺麗(きれい)華子(はなこ)』。


 僕の人生最大の謎と怪奇が目の前にいた。

 初めて見る『妖怪』というやつであり。

「初めまして。ですかねえ?」

 僕の一目ぼれの相手でもあったのだった。



 4



 僕はあっけにとられながらも何とか思考を回復させようと努力する。

 まず、彼女が言っている事がほぼ百%解らなかったので、もう一度尋ねてみようと思い、それから何故自分の家に勝手に入り込んだのか訊こうと思い、その後この出会いを逃してなるものかという闘志に燃えつつ、僕は口を開いた。

「不法侵入だと思うんですけどそれはまず置いておいて、何で家に入り込んでトイレを掃除しているんです? 頼んだ覚え無いんですけど」

 僕の言葉に自分の名前―綺麗華子―を名乗ってから、華子さんはおもむろに口を開いた。口から覗いた歯と歯茎までもが何故か妙にエロティックだ。

「まず第一に、この世には人間以外の者もたくさん住んでるんですよお」

 指を突き出してそう言うと、その人差し指をゆらゆらさせながら僕を見た。出来の悪い生徒に教えを授ける教師のようだ。

「そして、家々にもそれぞれ意志が宿りますー。八百万(やおよろず)の神というでしょお? 物には全てある種の魂が宿りますー。そして私たち『妖怪』と言われている者たちは彼らなどから何らかのサービスをすることによって生活していますー。ここまではよろしいですかー」

 よろしくないばかりかこの娘頭は大丈夫かと本気で心配になった。見て見ぬふりして追い出すべきだろうか、いやいやでもそんなことしたら傷ついてしまうかもしれないな、でもこういう事は専門家に任せておいた方がいいだろうし、でもどうやってそれを伝えよう…と頭で考えを回らせていると、その沈黙を続きを(うなが)してくれとの催促(さいそく)だと勘違いしたのか唇を舐め再び話し始める。

「対価はいろいろありますけど、やっぱりメジャーな報酬は人間と同じ貨幣ですかねえ。物も買えるしサービスも受けられる。彼らがどうやって人間の金を工面しているのかは解りませんが、廃墟に掃除しに行った事が無い事からやはり『住居系の神』は、人が住んでこそ報酬もまかなえるものだと思ってますねえ」

 その小柄な身長からは考えられない程の色気を凝縮させた動作でほっかむりを外すと、わさぁっとおかっぱが揺れた。太そうな髪質っぽいのに一本一本がしなやかで黒々していて美しい。枝毛など無縁そうな髪の毛だ。

「そして私が今日ここに呼ばれ、『仕事』を頼まれたという訳なのですよお。トイレ掃除をねえ。仕事中は人からは見えない様に結界やらカモフラージュやらして気付かれない内にやってしまうんですがぁ、たまーにあなたのように私の事が認知できる人がいるんですよねえ。いやはや、まだまだ世界は不思議で満ちていますよぉ」

 僕はその言葉を聞いて思い出した。

 開店祝いに持ってきてくれたお守り、あれ(・・)()確か(・・)悪霊(・・)退散(・・)()()守り(・・)だった(・・・)はずだ(・・・)。(そのチョイスに悪意を感じた)

 それが功を(?)奏したのかは解らないが、どんな作用か霊感体質ゼロの僕に一時的に目の前の自称妖怪さんの事が見えるようになってしまったらしい。ポケットに入れっぱなしのお守りに触ってみる。熱い。何かが燃えているかのようにお守りが熱を帯びていた。

「そして、私はトイレ掃除が専門の掃除婦、『綺麗(きれい)華子(はなこ)』といいますー。あ、アナタには『トイレの花子さん』の方が伝わりやすいですかねぇ? ふふ」

 そう言って笑い、自称トイレの花子さんはあまり豊かではないが服の上からでも分かる形のいい胸を突き出した。その仕草に顔が思わず熱くなるが、本人は全くの無自覚であるようだったので僕は急いで(せき)をしごまかした。

「私の仕事は、そういった物たちから依頼を受け、徹底的にトイレを新品のような状態に戻す事なんですよぉ。ここは久しぶりに人が入ったという事で、この家の方から依頼されましてねぇ。もうすぐ終わって気付かれない内に帰ろうかと思ってたんですよー。でもまさか結界を張ってる私に気付くだなんて、…あなた相当霊感が強いみたいですねぇ」

 全くないんですよねぇ、実は。と彼女の口調が移りそうになりながら心の中で呟く。いやだってこんなにはっきり見えるのに疑ってはいけないと思うけど、自分ではまだ白昼夢を見てるんじゃないかって疑ってるくらいだし。

「さてどうしましょうか…やっぱり記憶を消すのが一番いいんでしょうが面倒なんですよね、アレ。じゃあせっかくなので妖怪記念写真でも撮ってサヨナラしますか。誰にも言わないでくれれば私としても特に害を与えようとは思わないのですし―」

「コーヒー飲みません?」

「安心して――……って、……はい?」

 華子さんはその細く白い首筋を傾げ僕に訊き直す。

「今何て言いました?」

 不思議そうに言う彼女に、僕は全くいつもの調子を取り戻すことが出来ずただ口から流れる言葉を頼りに文章を繋ぐ。

「いや、実はまだ開店前なんですけど。誰もまだ僕の店でコーヒー飲んでくれてないんですよね。あ、もちろん開店祝いの時に友人達が試飲してくれましたけど、本当の客にはまだ出したことが無いので、よかったら飲んでくれないだろうかな、と思って、いや、嫌なら別にいいんですけど、ハイ」

 僕が一息で離し終えると、華子さんはその形のいい眉を上げ、目を見開き、口をOの字に開けて僕を見上げた。その後俯いて、暫く黙る。

「……妖怪と知って、それでもコーヒーを出そうと言った人、初めて会いましたねえ」

 顔を上げると、笑いながら華子さんは僕を見つめ言った。

「実はコーヒー大好きなんですよぉ、私」

 作業着を脱ぎ上着を手にかけ、その白く眩しい肌を見せてから、言った。

「では、頂くとしましょうかねえコーヒー。楽しみですねぇ」

 口角が上がり微笑んだ彼女は正に美しいの一言で。

 妖怪にコーヒーを御馳走する異常さに全く気付かず、僕のテンションは更に上がったのだった。



 5



 死に物狂いで働いた六年だった。

 いきなり何を言っているのかと思うだろうが、しばしお聞きいただきたい。喫茶店というものを開店するというのは、実に金がかかることなのだ、という事を。

 資金は一千万を超える事はざらだしその分の借金を返すためにしっかりとした事業計画を立てなければならないし、まずドトール、スターバックス、タリーズといった店が勢力を伸ばしているし、何より昔ほど喫茶店を利用する人がいなくなったというのも痛い。

 しかしそんな中、僕は絶対に大きくなったら喫茶店をやろうという夢を持ち続けていた。

 静かな場所で、静かにコーヒーを淹れ、そしてお客さんにゆったりとした場所を提供したい。そんな夢を持っていた。

 子どもの頃に入った喫茶店の、あの木の香りとコーヒーの苦いけれど何処か落ち着く香り、人がお互いを優しい無関心で包む光景、それらに幼い僕は心底参ってしまったのだ。

 コーヒーの味、匂い、香り、人のいる空間。その全てが僕を虜にした。

 高校の頃は毎日近くの喫茶店に通い、そこで流れる音楽を聴きながらマンガみたいな髭の店主(マスター)の淹れる絶妙な苦みのコーヒー一杯で何時間も粘るという、今思うと最悪の客だったが、店主とも仲良くなり彼の体験した波乱万丈な人生譚を聞いて大いに刺激を受けたりした。

『僕もいずれ喫茶店を開く』そんな夢を見て今まで生きてきた。

 コーヒーの勉強をし、淹れ方を学び、実践する。

 味にうるさい父さんの友人に師匠になってもらい、何度も何度も淹れ直した。

 その内、呆れていた家族も本気だと解ったようで少し応援してくれるようになる。

 僕は真面目だった。あの空間を自分も作り出したい。穏やかな音楽と時間とが流れるあんな場所を作りたい。そう願ってきた。

 その思いは形を少しずつ変えながらも着々と僕の中で実をつけ、様々なアルバイトを経験しつつ溜めた金と借金を担保に地元に戻り、この宿借商店街、隅の目立たなくも落ち着いた雰囲気のいい場所を見つけ今に至る。

 夢は、始まった。ここから、始まった。高鳴る期待と不安に心を掻き乱されながら、僕は店を始めたのだった。


 そして何故か妖怪の女の子に自慢のコーヒーを淹れている。満面の笑みを浮かべ美味しそうにそれを啜る彼女。解らん、確かに人生は謎に満ちている。

 町沢民男二十八歳。独身。彼女募集中。只今人生の神秘に遭遇中。解決策求む。

 可愛い女性を前にして鼓動が速まった。

 トイレの花子さんの話は、まだ信じていないが。



 6



「美味しいですねぇ~、私あんまりこういう所で飲んだこと無かったですけど本当に美味しいですね~、いやーコーヒーって、本当に、いいものですね~」

「何で途中から水○晴郎さんになったんですか」

 僕のツッコみを華麗に無視し、華子さんは舌を火傷しない様にかちびちびと飲んでは離し、飲んではまた離してを繰り返していた。そんな仕草も可愛らしく、赤い舌が覗く度にどきりとさせられる。何だこのテンションの上がりようは。さっきからまともに視線を合わせられないぞ、カウンターの奥でこうやってお客さん第一号に自分で淹れたコーヒーを振る舞っているというのに! 

 僕のそんな荒れ狂う内面など露知らず、華子さんは鼻歌さえ歌いながら少しずつから身体を揺らして気分良さそうに微笑んでいる。

 小柄な身体はカウンター席では高すぎるのか足が全部床に届かず空中でぶらぶらしているし、一見どこかの小学生かと思うのだが、言葉に出来ない程の濃厚な色気はそんな印象を一瞬で吹き飛ばすほどの威力を持っていた。(僕の中では)ちなみに僕にロリコン属性はありません。あしからず。

「所で、私のことを訊かないんですかぁ? てっきりそのために誘ったんだと思ったんですが~……」

「? いえ、ただ単純に綺麗な人だなと思ってコーヒーを飲んでもらえたらいいかな、と思っただけですが」

 僕が真正面から正直に発言すると華子さんはその白い頬を一瞬で真っ赤にして、

「何気に凄い事さらりと言われてしまいました……」

 と呟いた。その時僕がどうしたかというとカウンターに頭を打ち付けていた。

 何言っちゃってんだよ僕!! セクハラすれすれというか聴きようによっては完璧アウト発言だよ何ぬかしちゃってんだよ僕!!

 のたうち回りながら椅子から転げ落ち、頭を更に強かに打ち付けごろごろと奥の方までダンゴムシのようになり転がって行く。壁に思い切り額をぶつけ、あまりの痛みに打ち震えた。ガコーン、ストライーク。ピンが目の前に幻覚として現れた。投擲したのは華子さんで自前のグローブとウェアと美しいフォームで僕を見ている。どうでもいい? そうだね非常にどうでもいい。

「あ~、最高。最近働きづめだったから凄く癒されますね~。ほんわかとして温かい感じがします~。店主さんの人柄ですかねぇ~」

 起き上がって椅子に座り直すと華子さんがふやけたように笑っている。幼さが残る綺麗な顔立ちでそういうことを言うと悪いオジサンに連れていかれちゃいますよ。主に背が百九十くらいあって顔立ちが茂木健一郎さんに似ている人に。

 僕が何ともいえず緊張して座っていると、不思議に思ったのか華子さんが訊いてきた。

「失礼ですけどぉ、本当に仕事始めたばかりみたいですねぇ~、凄く固くなってますけど大丈夫ですかぁ~?」

 僕の緊張の原因はあなたにあるんですがね。

 そんな事はもちろん先程の経験を元に言わずに違う言葉を繰り出す。

「僕の緊張の原因はあなたにあるんですがね」

 おおおおおうううううまああああいいいがああぁああぁぁああああぁあああッッ!!

 一瞬で先程よりも赤くなりゆでだこのようになってしまう華子さん。その前で頭を抱えぶんぶん振りたくる僕。

 神よ、神よあなたを恨みます! こんな馬鹿な脳を僕に分け与えたあなたを、心から憎み焼き尽くせそうです!!

 華子さんは何とか笑みを作るとぼそぼそ俯きながらこう言った。

「何かと不便そうですねぇ、その口……あはは」

 便利不便以前の問題です僕の馬鹿ああああ!! 思い切り引かれちゃってるじゃないかアホォオオオオオッ!!

 そんな中、華子さんはまだ少し赤い頬のまま僕を見て言った。

「でも嫌いじゃないですけどねぇ。あんまり」

 最早切り取って絵画にして僕の自室だけに張り付けておきたい衝動に駆られる程美しい顔だったので、

(がく)にして飾っていいですか」

 と言った後、僕はダッシュで奥へと全力疾走した。

 もう何も言わない、聞こえない、見えない、僕は何も感じない!! 何も、感じ、ないッ!!

 そう思いながら、せっかく自分でコーヒーを淹れた最初のお客さんから逃亡するという有りえない行動をとった。背中で、華子さんがこう言った気がした。

「……面白い人ですねぇ、慌ただしいのに何故か落ち着きます~変なのぉ……あーコーヒーが美味しいですぅ……」

 それはとても柔らかく、可愛いらしい声のように僕は、聴こえていたのだった。



 7



「妖怪はですね、実はかなり身近な存在なのですよ」

 そう言った華子さんは、もうすでにコーヒーを三杯おかわりしていた。

 もう九時半になろうとしている。僕は今日の開店を諦め、早々に店の前にCLOSEの看板をかけ華子さんの貸切にすることにした。

 そう言ったら華子さんは「それは申し訳ないですー、帰らせてもらいますよぉ」と言ってきたので即行で「僕のお客さん第一号なので、是非いて下さい。コーヒーも今日は飲み放題にしますから」と言い返すと、「ではお言葉に甘えて~」と返して早速おかわりを要求してきた。僕は少し苦笑いし、コーヒーメーカーからカップにコーヒーを継ぎ足す。まあ今日はこのくらいしてもバチは当たらないだろう。別に信心深くもなんともないけど人には巡り合わせというか『縁』みたいなものがあるのだろうし。華子さんは自称『妖怪』で人じゃないらしいけど。

 続きを聞く。

「社会的に成功を収めている妖怪も少なくないですし、実際人と変わらず生活している物もたくさんいます。でもどちらかというと日本のような多神教の国の方が住みやすさでは上みたいですねー。私は元々日本の妖怪―というよりお化けの類で扱われてきましたからあまり実感はないですけど。仕事で世界中の国々を渡ってみて思うのは、私たち妖怪というものが実に多様な生態をしている事。またその国の歴史や文化に強く縛られているという事ですねえ。そういった観点から見ても日本のようなごった煮の文化というものは非常に海外の妖怪達にとって魅力的に映るらしいですー。私も随分と妖怪達に口説かれたものですよ、いい思い出ですねえ」

 意外に難しいものだったので途中眠くなってしまったが、最後のセリフに一気に覚醒した。それはただ単純にあなたが可愛かったからではないですか、とまた口から出そうになったので思い切り自分の頬をつねってみた。痛くて涙が出た。華子さんに不審がられた。当たり前だった。

 ちょっと僕の事を心配してくれた事が分かって嬉しかったが、それよりも話を続けてもらう事にした。頬が痛いので手で先を促す。

 気を取り直して続ける。

「それでですね。私が生まれたのはずっと前なわけです。もうどのくらい前かも解らないくらい前。学校にいた事は覚えているんですが、気付いたら私は何処か公園の女子トイレにいました。何かがあって死んで、それから地縛霊になって、意識がだんだん固定化されてきて自我が生まれて、以前肉体を持っていた時とは違う人格、になったみたいなんですよー。公園のトイレでまず思った事は一つ。何て汚いトイレなんだろう、という事でした。それからその隣の掃除用具入れからバケツとかタオルとか洗剤とかを持ってきて徹底的に綺麗にしたんです。―その時の解放感、美しくなったトイレが光り輝く光景、快感、忘れられませんねぇ。私はこのために生まれて来たんだ、そう直感しましたよぉ。死んでましたけど。でもまあその頃には実体を持った妖怪でしたから違うかも知れませんがー」

 そこで一息ついて華子さんはコーヒーに口を付ける。少し温くなっていたのか、あまりちびちびせずにゆっくりと、だがさっきより早く飲んだ。

 コーヒーを美味しく飲む人は好きだ。コーヒーを味わって飲む人に悪人はいない。それが僕の中の真理だ。それはさておき。

「でも、綺麗さんは世界中のトイレで掃除して生計立ててるって言ってましたけど、具体的にはどうやって給料貰ってるんです?」

 僕が妖怪業界に詳しくない(詳しい人がいればそれでお近づきにはなりたくない)ので、興味を持って訊いてみる。

「まあ、その時はただ単純にトイレ掃除していれば幸せだったんですけどねぇ、こっちの世界にも人間に化けた妖怪が経営する妖怪ビジネスみたいなのがありまして~。いわゆる人材派遣ですねぇ。採用方法は色々あるみたいでしたが、私の場合はスカウトでした~。汚く聞こえるかもしれませんけど、私は汚いトイレから汚いトイレまでは自由にワープできるのでその利便性も買われたんでしょうねえ」

「さらっと凄い事言ったぞこの人」

 僕が驚愕(きょうがく)に目を見開いていると、くすりと笑って華子さんは、

「ようやく信じたって感じですねえ」

 とまたコーヒーを啜った。僕が棚から出した自作のクッキーを皿に乗せてコーヒーカップの前に置く。

「お茶菓子にどうぞ」

 と言って勧めた。華子さんはちょっと驚いた顔をしてその皿をじっと見た。そろそろと手を伸ばし、一つ摘まむ。ゆっくりとその色っぽい口へと持っていき、

「……美味しいですぅ……」

「手作りなのであんまりしっかりした味じゃないかもしれませんけど。口に合ったのなら良かった」

 僕は満足感で一杯になった。

 最初の相手が妖怪でトイレ掃除が趣味のちょっと変わった娘だけど、凄い美人さんでしかもおっとりしていて好みにドンズバな女性が自分の作ったクッキーを美味しいと言ってくれた。これだけの幸福感はそうそう無い。

 そう思っていたら、

「そう、私たちは別にこういったものを食べなくても生きていけるんですよねー。でも、やっぱり美味しいものが食べたいし、映画も見たいし本も読みたい。音楽だって聴きたいしお風呂にもゆっくりつかりたい。そういうもののために働いているんですよね~で、今はその妖怪派遣会社で掃除婦として雇ってもらってる訳ですが~、今日この家みたいな仕事もしますねぇ。この家の場合は何かの木材やらなんやらをこの家が私の会社に送って、その代金の何割かが私に入ってくる、みたいな仕組みたいですけど。詳しくは私も知らないですー」

 さくさくとクッキーを食べる仕草がハムスターみたいで可愛いなあと思っていると、何か私の顔についてます? 聞かれたので、「いいえ、何も」と慌てて誤魔化す。もうさっきのような失敗は起こすまい。胸に誓う。

「もう本当に普通の人間と変わりませんね」

 心の底から感心して話すと、うーんと言って華子さんは、

「でも困った事も多いんですよ。地縛霊の時とかあんまり意識が無かったから関係なかったんですけど、今は何処かに住んで家賃払わなきゃいけない訳じゃないですか。ここら辺はやたらと霊的な磁場が安定してて私たちみたいのが住みやすい場所ではあるんですけど、いくら田舎とはいえ馬鹿に出来ない値段なんですよねー」

 ふう、とため息をつき生活の苦労を語る妖怪さん。いや、その庶民的な所も含め充分人間ですよまさしく。

 どう返したもんだか悩んでいると、ぽつりと「ここはいいですねえ」と華子さんが

 言った。

 何が? と訊く前に華子さんが言う。

「ここ、霊的な場が非常に安定してます。悪い霊は入って来れないし、逆に善的な霊や妖怪、福の神などは居やすい場所になってますねぇ。私もここが凄く気に入りましたぁ。もういっそのこと住んじゃいたいくらいですよぉ」


「部屋が空いてますから別に構わないですけど。綺麗さんみたいな可愛い人に住んでもらえたらこの家も嬉しいし僕も嬉しいですし」


 ――死のう。今すぐ。

 ふらふらと立ち上がり、ロープを持ってこようと歩き出す。

 口を切り取ってからの方がいいかな。いや待てよ、声帯を傷つけるのも捨てがたいな、こんな自分の言う事を聞かない部位は、もう無用のものだ。潔く散るのが花というものだろう。

 僕が奥に向かって歩き出そうとし、そしてせっかくの出会いを自らの下心で破壊した自分に罰を与えるため、物にぶつかりながら歩いていく。ははは、いやはや全くこれは酷い。 

 何が酷いってこの開店の日に貸切にしてしかもその相手が妖怪で、その上滅茶苦茶可愛い女の子でしかもその子に気持ち悪すぎる言動をしてしまったのだ。ははは、もう駄目だ。終わった。暫く立ち直れそうにない。布団にくるまって寝よう、そして全て忘れて生きるんだ。今日の記憶を抹消して生きるんだ。そうとも、それがいい。そうしよ―


「――いいんですかぁ?」


 背中で高く舌っ足らずな声がした。

 意味が解らず振り返ると、そこにはカウンターテーブルに肘をつき、悪戯っ子のような顔を手のひらで支えて笑っている華子さんがいた。

 僕が漫画の如く首を四五度に傾け首を捻ると、更にくすくす笑いながら華子さんは言った。

「ちょうど引っ越そうと思ってたんですよぉ。宿借町から出る気は無いし、でもあまり都合のいい所も見つからなくてぇ」

 からからと笑う華子さんに、自分の頭の処理速度では答えが導けない事に気付く。

「――……ちょ、ちょちょ、ちょっと、ちょっと待って! 待ってくださいよ!! ……良くないです、やっぱり。だって女性一人で独身男の家に住むのは危ないですし、止めといたほうがいいです! さっきは勢いに任せて、っていうか口から本音が滑り出ただけですけど、色々とわずらわしい思いをすることになるでしょうし。ですから――」

「本音はぁ?」

「めっちゃくちゃ、住んでほしいです」

 僕は今度こそ本当に近くにあった箒で自分の頭をぶっ叩いた。

 痛い。でもそれがお前の罪だ町沢民男。恥を知れ馬鹿者ォ!!

 ずきずき痛む頭をしきりに撫でつつ、僕は華子さんの楽しげな声を聞いた。

「決まり、ですねえ」

 ぽむ、と自分の掌と掌を合わせて笑うと、そそくさと席から立ち上がり、そのまま僕の横を通り過ぎ奥へと入っていく。僕も慌てて追うと、そこは先程のトイレだった。

 作業着を着、磨き終りまばゆい光沢を放っているトイレに入る。

 僕の眼の前で、ドアが締められた。

 ジャーっという水の流れる音と同時に、華子さんの声がする。

不束(ふつつか)者ですがぁこれからよろしくお願いしますねぇ、町沢さん?」

 水の音が消えるとともに、華子さんの気配もぴたりと止む。僕はゆっくりドアを開けた。誰もいない。

 夢だったのか、そう思った僕は急いで店内へと向かった。

 そこには食べかけのクッキーと、まだ湯気が立つ新しいコーヒーがカップの中で揺れている。

 僕はもう一度頬を引っ張ってみる。

 先程痛めた皮膚がふたたび伸び、痛みと共にに現実を感じさせる。

 夢のような開店初日が、始まったのだった。


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