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マリアの目的は?



 如月マリア… 彼女を知らない2年生はまずいない。

彼女は菫同様この学校の美少女ファイブに選ばれた一人である。

それも5人の中でも菫とトップを争う美少女中の美少女。


菫とマリアは『双璧の美女』として学校中でも超有名人である。

菫もマリアもタイプとしては美人系、しかも二人とも超がつくほどの美人。

ただし、菫とは全てが異なる。



菫は穏やかで柔らかさを持った東洋的な美人、それに対してマリアは完璧な西洋風美人である。

マリアの祖母はイギリス人、母もイギリス人と日本人のハーフであり、彼女はその血を色濃く受け継いでいる。アングロサクソン特有の風貌を持つ彼女はもはや日本人とは思えない。


目は切れ長で輪郭はきりっとしており、細く綺麗な眉、鼻筋は綺麗な線を描きしかも高い。

頬や顎のラインもシャープで、もはや女神像として描かれている女性が絵画から飛び出してきたような感じである。そして輝くような光沢をもつブロンドの髪と白人のように透き通るような白い肌…


一目見たら忘れられないようなインパクトを持つ。

更にそのスタイルももはや完全に西洋人である。


足首や腰などくびれるところはしっかりくびれているが、出るところははっきりと出る。

胸もかなり大きいが形をしっかりと保ち、張りが物凄い。

完璧に均整の取れたプロポーションであり、残念だが純粋な日本人では到底かなわない。


だが、彼女が学校中で有名なのはその美貌や体形だけが理由という訳ではない。


彼女の別名は『氷の女神』


彼女と菫の決定的に異なるところで、彼女に優しさや博愛といった感情は微塵もない。



彼女の名前はマリア… 西洋ではよくある名前。

マリア… マリー… メアリー… これらの名前は全て聖母マリアのことを指す。


如月マリアも聖母マリアからその名を頂いているが、その性格はとてもじゃないが聖母とは程遠い。

彼女が人を判断する基準は「使えるか」もしくは「優秀か」しかなく、それ以外は存在を認めない。

そして彼女のプライドは超絶に高い。というか、プライドが服を着て歩いているようなものである。



 彼女がそのような性格となった原因は家庭環境と父の教育によるものだ。

彼女の親は貿易会社を経営している。


そんな父の口癖は『他人は使うもの、自分が使われてはならない』それに『最高のものを目指せ』だ。

マリアは父の言葉を守り決して努力を怠らない。

勉強も、美しさも、センスも常に磨きをかけて最高を目指す。


金持ちの我儘お嬢様ではなく、自分にも厳しく、他人にはその100倍厳しい。

そんな彼女は学校内でも完璧なマリア派を形成してカースト制度を確立している。


言い寄ってくる男を分類し、有用なものは下僕、無意味なものは完璧に無視。

女子に対しても同じで自分に従うものを選別して有用なものだけを従えている。


彼女は自分のカリスマ性や金銭力の全てを利用して自分に従う者を完璧に構築している。

そして敵対する者には情け容赦しない。下僕を利用してその勢力を完全に叩き潰す。

氷の女王という名前は伊達ではなく、本当にある意味女王として君臨している。


それ故に平凡な男子生徒に対する対応は「塩対応」の塩が砂糖に感じるくらい厳しい。

無意味な男子生徒は近寄る事すら許さない。だが、そんな彼女の劇塩対応に喜ぶ超ドM男子生徒には絶大な人気を誇っていた。



 そんなマリアだが… ライバルとして認める者が学校に一人だけいる。それは烏丸菫である。

菫もマリアも常に成績は5番以内、そして美貌に関してもマリアは菫だけを認めている。

そのためマリアは菫のことを唯一のライバルとして認識している。

マリアにとって菫は自分が絶対的トップとなるための最大の障壁となっていた。


ただ、菫の方は何にも思っていない。はっきり言ってマリアなどどーでもいい。

どうやって泰助を落とすか?… 菫の関心は昔からそれしかなかった。



そんなマリアだが、今までクラスが別々だったこともあり、直接菫と対峙することもなかった。

それにマリアは菫の噂を気にしたが、菫は一切マリアのことを気にしたことがなかった。



 そんなマリアがある日突然菫のクラスにやってきた。

学年一の超有名人で日本人離れした美貌… クラスのみんなは突然やってきたマリアに驚く。


昼休みに入ったばかりで騒がしくなっていた教室は一気に静まり返った。

つかつかと他所のクラスに何の遠慮もなく入ってくるマリア。

教室内に入るとある方向を凝視する。彼女の目線の先にいたのは菫…


マリアは「フンッ…」といった感じで顔をプイっと横に向けると教室内をじろじろと見回した。

そして目的の人物を見付けるとズンズンと歩を進めて行きその者の前で立ち止まる。

そしてその生徒を上から見下ろして怪しい笑みを浮かべて話しかける。


「あなたが柳瀬泰助ね?」


女王マリアに声を掛けられた泰助… 泰助はモーレツに焦っていた。


弁当が見つからない… 

今日は誰と弁当を食べようかと思い、ニコニコしながら鞄から弁当を取り出そうとしたが、弁当がない…

焦っていた泰助は呼びかけられた声に全く気付かないでいた。


「………柳瀬泰助」


何の反応も示さない泰助に苛立ちながらマリアはもう一度名前を呼んだ。


やっべー… 真剣に弁当ねーよ… 家のテーブルに置いてきちまったのか? どーしよ?…

今日は金持ってねーんだよな… 昨日エロ本買うのに使っちまったし…


弁当のことで頭がいっぱいの泰助、その横で完全に無視されて怒りに震えるマリア…

マリアは泰助の肩を掴んで睨み付けるように言った。


「返事ぐらいしなさい!柳瀬泰助!」

「うっせーんだよ! こちとら飯抜きになりそうなんだ。命がかかってんだよ!」


………マリアの怒鳴り声とそれを上書きするかのような泰助の怒鳴り声… 教室は更に静まり返る。

泰助に怒鳴り返されたマリアは呆けたように立ち竦んでいた。


そしてようやく自分の横に普段見慣れない女の子…いや、オッパイを見かけた泰助はやっと彼女の存在に気付いた。


…このオッパイは………如月マリアか。


一目そのオッパイを見てそれがマリアのものだと見分ける泰助… それには理由がある。

泰助はこの学校の女子生徒のオッパイをもれなく観察し、その記録をまとめている。

そんな泰助のオッパイ観察記録で唯一、SSランクと表記されている人物がいる。


その人物こそ如月マリアだ。ただし、その観察記録にはこう書かれてある。

如月マリア・・・オッパイ → SSランク(だが対象外…あれはむり)


マリアはその風貌のせいもあり1年生の入学当初から超有名人… 泰助も当然観察しに行く。

初めてマリアのオッパイを見た泰助は愕然とした。外国人パワーは半端ねえ!


マリアの日本人離れしたそのオッパイに泰助は圧倒された。だが、その性格のキツさにも圧倒される。泰助は直接マリアに話しかけたことは無いが、自称イケメンがマリアに言い寄りズタボロにされて廃人になるところを目撃したことがある。その時に思った… あれはムリムリ。


いかに泰助でもその凶暴さを見てドン引きした。

オッパイ触らせてなんて言ったらナイフで刺されそう…


泰助はそれ以来マリアのことを特別に注視することは無かった。

そして今、マリアの方から泰助に近付いて来ている。



こいつは一体俺に何の用なんだ?

泰助は怒鳴られて未だに呆けているマリアをじろじろと観察する。

………しかし、相変わらずすげーオッパイしてやがるぜ。


イギリスとかに行ったらあんなのが普通なのかな?… 留学しちゃおうかなぁ~

泰助がそんなことを考えているとマリアもようやく我に返り厳しい眼差しを泰助に向ける。


「お、女の子に怒鳴るなんてどれだけ失礼なの?」


未だ怒鳴られたショックを引きずりながらも睨むような目で泰助に言う。


なんで俺に絡んでくる? マジでウザいんだけど… 弁当ねーし…

余り関りたくないマリアに絡まれた泰助は超不機嫌な顔で席を立ってどこかへ行こうとする。


「ちょっと待ちなさいよ」

そう言ったマリアの顔には少し焦りがあった。


マリアのプライドは異常に高い。学校でもその類まれなる美貌と抜群のプロポーションで男子だけではなく女子からも羨望の眼差しを受けている。そしてそれをマリアも当然のように思っている。


それにマリアから直接話しかけられる男子生徒は滅多にいない。マリアから話しかけられるなど男子生徒であればそれだけで恐縮してしまう。


そんなマリアが話しかけているのに無視される… それはあってはならない事だ。

だが泰助の対応は興味ないどころか思いっきりウザいという感情を顔に出している。


(噂には聞いていたけど本当に美少女には興味が無いのね…)

マリアも泰助が美少女に興味を示さないことは聞いていたが、流石に自分程の美少女であればそれは無いと思っていた。だが実際に自分を目の前にしても興味を示さぬどころか邪魔者扱いする泰助に驚いている。


本当にこいつは何処かイカれてるんじゃないの?

マリアは予想以上の泰助の異常さに呆れ返っていた。


「んで、なんか俺に用でもあんの?」


相変らず泰助の態度は横柄だが、マリアも用もなくここに来たわけではないので本題に入る。


「フン… その喋り方は気に食わないけどまあいいわ…」


マリアはグッと泰助に近寄り泰助の目を見据えながら言った。


「柳瀬泰助… 私の彼氏になりなさい」


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