みんなで海へ行こう
尾賀さんの本屋でのバイトも終了し、泰助にもようやく本当の夏休みがやってきた。
だが、連日のバイトでさすがに疲れた泰助の第一希望はひたすら寝る事である。
昨日までの癖で朝7時に目を覚ますが、ニマァ~と気持ちの悪い笑顔を浮かべてすぐさまもう一度ベッドに潜り込む。そして二度寝の幸福感を全身で味わいながらスヤスヤと眠りにつく。
そして二度寝した泰助は昨日寝る前に見たエロ本の影響なのか幸せな夢を見ていた。
泰助の夢の中に現れたのはSランクおっぱいを持つ水着姿の少女… その少女がなんと泰助に近付いてくる。
少女は泰助に微笑みかけてその見事なおっぱいを見せつけると、泰助に手を差し伸べてきた。
泰助も近寄りその少女の手を取ると、少女は恥かしそうに少し横を向き頬を赤らめる。
「これ、行けんじゃねーか?」 少女の様子を見て俺に惚れていると確信する泰助…
ま、まて… 慎重に行くんだ、俺。
泰助は焦った… こんなチャンス滅多にあるもんじゃない。そこで必死に思い出す…
昨日読んだエロ本に書いてあった『ロードオブおっぱい』 おっぱいへの道のり…
(ひとぉ~つ) まずは雰囲気、女の子をその気にさせるため優しく抱きしめるべし!
そ、そうだ… 確かこういう時は、まず優しく抱きしめて女の子にエッチな雰囲気を持たせるんだった。
(ふたぁ~つ) 女の子がその気になってきたら優しくキスをするべし!
…それで… キスすればいいんだっけ? 優しく優しく…
あれ? なんか凄いぞ… 女の子の唇ってこんなに柔らかいんだ… 案外キスもいいかも。
(みぃっ~つ) ここが勝負!女の子が興奮してきたら激しいキスでメロメロにするべし!
次は激しくだったな… よし、行くぞ!
うぉりゃ~~~!
なんなんだ…この唇の柔らかさを食いつくしているような感じは… エロすぎる!
それに…この超リアリティーのある感覚は… す、凄い…凄すぎる。
女の子の様子はどうかな… すげー! 本当にメロメロになってきてる。
あともう一息だ… 最後の仕上げ。
なんだっけ… そうだ! むさぼるようにキスをしろ! …だったな。
モッシャ、モッシャ… アム、アム…
泰助は野獣のように女の子の唇に食らいつき、その全てを食すかのように唇を奪い続ける。
よし、これで準備完了だ。
女の子の様子はどうだ?… 凄い! 完全にメロメロになって意識がない… イケる!
いくぞ~ いくぞ~ いよいよそのSランクおっぱいを揉みまくってやる!
「兄ちゃん… 兄ちゃん! なにやってんだよ…」
に、兄ちゃん? なんで夢に佑助が出てくんだ? それに一番いいとこなのに… 佑助、邪魔すんじゃねー。
「兄ちゃん、… 秀雄さんたちが迎えに来てるよ!」
「な、なんだ?」
「それに朝からベッドに菫さん連れ込んで何やってんだよ… 菫さんおかしくなってるよ?」
「へ?… 佑助お前なに言ってんだ? なんで菫が………」
佑助に言われてようやく目を覚ました泰助…
佑助が菫、菫とうるさいので、視線を近くに移してみると…
ベッドの中でしっかりと、しかも思いっきり菫を抱きしめている自分の姿に気付いた。
はて? なんで菫が俺のベッドで寝ている?
………しかも、…どうして菫はこんなにメロメロになってんの?
そこには興奮のあまり意識を失っている菫の亡骸があった。
10分前の話…
「おはよう佑助君、泰助は起きてる?」
「おはよう菫姉さん… 兄ちゃんはまだ部屋で寝てるよ」
あんにゃろう… 今日は秀雄君たちと遊びに行くって言ったのに…
「じゃあ佑助くん、泰助を起こしに行ってくるね」
「ごめんね菫姉さん、お願いします」
そして泰助の部屋に入る菫…
「泰助~ 今日は秀雄君と花蓮ちゃんと4人で出かけるって………」
菫が寝ている泰助にそうやって文句を言っていると、なにやら布団から泰助の手が伸びてくる。
………なんなの?
そう思ったが、取り敢えずその手を握ってみると… 物凄い力で泰助の布団の中に引きこまれた。
「ち、ちょっと泰助… なにやってんのよ…」
布団の中に引き込まれた菫は、泰助の目を覚まさせようと声をかけようとしたが、泰助はいきなり菫を抱きしめる。しかも優しく、優しく…
優しく包むように泰助に抱かれた菫は… 即落ちする。
抵抗するどころか、菫は徐々に興奮を高めている。
菫がうっとりし始めたころ、次なる泰助の攻撃が始まった。
いきなり菫の頭を抱かえて優しく唇を合わせてキスをする泰助…
既にうっとりし始めていた菫はそのキスで一気に興奮を上昇させられる。
もうこの段階で菫はふにゃふにゃの状態… 意識の半分は体から離脱している。
そこへとどめの一撃、
泰助からの猛烈に激しいキス…
その激しさたるやディープキスがあいさつ程度に思えるほどのもの…
野獣のように菫の唇に食いつき、全てを奪うかのごとく菫の唇をむさぼり食べつくす。
舌が少し触れるなんてそんな生易しいものではなかった。
菫の意識はどんどん失われていくが、それでも泰助は攻撃を止めない。
泰助がようやく激しいキスの猛攻を止めたときには、すでに菫は逝っていた。
そして泰助がメインディッシュであるおっぱいに、いざ取り掛かろうとしたときに佑助に起こされる。
佑助は泰助のベッドで寝ている菫を見て驚いた。
あ~あ… 菫姉さん逝っちゃてるよ 兄ちゃんいったいなにしたの?
彼女じゃないって偉そうに言ってたのに… 何をやったら菫さんがこんなんになっちゃうわけ?
いまだに意識を失っている菫の表情は… ヤバかった。
口は半開きでにやついている。 恍惚な表情と言えば聞こえはましだが、簡単に言うと間抜けである。
菫姉さんのこの顔は見なかったことにしよう…
さすがにこの顔は菫の尊厳に関わると考えた佑助は、この事実を記憶から全て消去することに決めた。
「兄ちゃん、菫さんに何したの?」
菫の破壊されようを見て佑助は泰助が何をやったのか気になって聞いてみると、
「俺は何もやってない…」
素知らぬ顔で泰助はそう答える。
兄ちゃん… んなわけないでしょ?
泰助が何かをやったのは確実だが、佑助はふと自分がそれを止めたことに後悔しだした。
しまったなぁ~… 起こさなけりゃよかった…
そしたら兄ちゃんは知らず知らずのうちに菫さんと大人の階段を上ったんだ。
秀雄さんたちにもこの理由を言えば喜んで待っていてくれたかも…
兄ちゃんは現在進行形で菫さんと一緒に大人の階段を上っている途中ですって…
泰助の周りは菫の応援者100%、みんな早くくっつけと思っている。
「とにかく玄関で秀雄さんたちが待ってるよ… 早くいかないと…」
「しゃーねーな…行くか。 佑助、菫起こしといて…」
そう言って泰助は着替えて玄関に向かっていく。
泰助の部屋に取り残された佑助は必死に菫の蘇生を行い、その努力でようやく菫も現世に復帰した。
それから泰助は部屋に戻って、まだふらついている菫を連れて待ってくれていた秀雄たちと合流する。
「おはよ、菫ちゃん… ん、…なんか… 顔が赤いよ?」
「そ、そんなことないよ… おはよう、佳蓮ちゃん」
そう言って誤魔化すが、乱れた髪、着崩れた服、おどおどして狼狽しきっている態度…
全てがおかしい菫の様子は誰が見ても怪しすぎる。
「泰助、お前何やってたんだ?」
秀雄は怪訝な目で泰助を見て尋ねるが、
「んー? なんもやってねーよ」
全ては夢の出来事と思っている泰助に自覚があるはずもなく、泰助自身が一番不思議に思っている。
「そんで、秀雄… どこ行くの?」
相変らずの泰助の言葉に秀雄も頭痛と眩暈を感じる。
「昨日海に行くって伝えただろ!」
「そうか…そうだったな。………でもおれ、何も準備してねーぞ…」
「大丈夫、私がやっておいたから。そこのリュックに全部入ってるよ」
多分こうなると分かっていた菫は前日に泰助の分の用意を済ませておいた。
泰助の服や水着など、何がどこにしまわれているのか菫は完全に把握している。
そもそも何故こんな状況になっているのか? 全ては菫の策略によるものである。
昨日、バイトが終わり家に帰ってきた泰助…
昨日でバイトが終了することを知っていた菫は、泰助が帰ってくるのを家で待っていた。
泰助がバイトから帰ってきて部屋に入ると、暫くしてから菫はおもむろに泰助の部屋を尋ねる。
「たいすけ~ 部屋に入っていい?」
「………おう」
部屋に入ると泰助は夢中でエロ本を見ている。
それを見た菫は、今が好機と思いおもむろに携帯を取り出し録画開始。
「たいすけ~ 明日秀雄君たちと海にいこうね~」
「………おう」
「来週は遊園地に連れていってね~」
「………おう」
「それとお買い物にも付いて来てね~」
「………おう」
何かに夢中になっているとき、泰助は基本「おう」しか言わない。
そして菫はふと気付く… 今が絶好のチャンスだ。録画してるんで証拠も残る。
「たいすけ~ 私と付き合って~」
「……………」
あれ? なんで返事無いの? 「おう」と言わんかい!
泰助は寝ていた。エロ本に顔を埋めて…
そんな感じで泰助の残りの夏休み予定は全て埋められた。
その後、目を覚ましてリビングに来た泰助に、菫は証拠動画を突き付けて今後の予定を泰助に承認させた。
そんな訳でこれからみんな揃って海水浴。
これから電車を乗り継いで所要時間は1時間30分程度、お昼前には浜辺に到着する。




