135.連絡鳥2
背後のアレイナとレイテが後ろからのぞき込んでくる。
「それって、連絡用の?」
「時々、オウカ様が送っている鳥ですね。でも色が違う」
二人の疑問に答えるより先に、手のひらの上の鳥からオルハントの声が響き始める。
「ご報告が遅くなり申し訳ございませんタキナ様、ルカとルナはこちらで無事に保護いたしました。二人とも、元気にやっています。仕事もまじめに取り組んでくれていて、我々は助かっています。さて、最近のサンタナムについてのご報告です。奴らは森に要塞を建設し、魔獣を集め続けています。まだ、確固たる証拠は何もつかめていない状況ですが、サンタナムは戦争を仕掛けるつもりでいます。ミッドラスは予行演習で、どうやら帝国を相見据えているようです」
その言葉に、全身の毛が逆立つようにゾワリと鳥肌が立つ、なんで……。何に対しての疑問か自分でもわからないが、何故……そればかりが頭の中で駆け巡る。しかし、オルハントの言葉は止まらない。
「既に、帝国への道のりを魔獣が進むことができるか、何度か試験が行われているようです。今すぐ開戦とはならないという情報もありますが、これも、どこまで信憑性があるかはわかりません。ですが、サンタナムの入出国や搬出の警備は厳しくなる一方です。タキナ様の元には各種族から報告を受け取っておられるはず。少しでもこの情報が、お役に立てればと思っております。引き続き、この情報の確証を得るために、調査は行っております。それでは、またご連絡いたします。先も申しました通り、迂闊に連絡ができない状況となっています。タキナ様側からの連絡は、サンタナムの結界に触れて露見する可能性がありますので、お控えいただけたらと思います。タキナ様や皆様も、どうか道中お気を付けください。それでは、失礼いたします」
鳥がピタリと話すのを止めると、世界が無音になったかのような錯覚に襲われる。頭では分かっている。サンタナムの今までの行いを見聞きしてきたのだから、戦争相手が帝国だとしても何ら不思議ではない。だというのに、何故私の心はこんなにも動揺している。なんで……。
沈黙を破るようにレイテがため息をつく
「人間というのは本当に戦争が好きですね」
その言葉にアレイナがおずおずと、私の顔色を伺うようにこちらを見る。
「タキナ様、大丈夫ですか?」
「……少し、驚いただけです。すぐみんなの所に戻って、この話を伝えましょう」
そう呟いて、階段を降り始める。帝国……、私はいったい帝国とどんな関わり合いがあったのだろうか。深く考えようとすると頭の奥が痛み始める。また倒れるわけにはいかないと、思い出すことを止めるが、何故か、思い出したくないと思っている自分がいた。




