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20年後に会った元カノ、昨日別れた元彼。  作者: 逢坂 遥
第四章 三月 終わりははじまり
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073_終業式

※最終回ではないです


皆既月食。スーパーブルーブラッドムーン、でしたっけ。

月が綺麗ですね。

 ホワイトデー以来、俺は下倉と話せていない。


 一条と西門に見張られているからだ。

 おそらくあいつらが少々の誇張を含めつつ周りに広めたのだろう。関係無さそうな女子もなんとなく俺を避けている。


 「学校一のイケメンがホワイトデーに好きな子に壁ドンしたのがバレてクラス中の女子に避けられる……ってなかなか珍しいエピソードだよな」

 俺を酒の肴にするんじゃないぞ、佐藤。


 ついに終業式の日がやってきた。


 「翔~、来年同じクラスになれるかな~」

 「それは難しくないか?それに、佐藤と俺進路違うじゃん」

 俺は私大文系に行くつもりだが、佐藤は理系に進むつもりらしい。


 3年になると、文系2クラス、理系3クラス、就職&専門学校2クラス、といったクラス編成になる。

 下倉も理系だから、クラス離れるな~。


 「コースケは?」

「スポーツ推薦狙うつもり。まあ、来年度インハイ出れなければ考え直さないといけないけどな」

 コースケは去年の、まだ1コ上がいる時の夏の大会で県大会入賞。その後の大会では関東大会でいいところまでいっていた。全国には及ばなかったけれど。


 スポーツ推薦となると、どのクラスか分かんねーな。専門学校に行きたい人たちと同じクラスになるのかな?

 おそらく俺ら全員、クラスは離れる。


 そうだ、下倉とクラス離れたらもう接点無くない?

 今までは下倉側からグイグイきていたから、クラスが違った高一の頃も何かと関わりがあった(というか関わらざるを得なかった)けれど。


 残された日が今日しか無いのかよ!!

 でも一条と西門のガード厳しいよ!!


 通知表が入っていると思しき袋を抱えた担任が教室に入ってきた。

 本当に、高校二年生として学校に来るのって今日で終わりなんだな。実感ねぇな。


 ――あああー、ダメだ。

 ついに最後の45分間。全校集会。

 校長の話の9割7分を寝て過ごした。名簿順に並んでいるので俺の真後ろに下倉がいるけれど、だからといって何も出来るわけではない。


 集会が終わった。

 もう、計画的に持って帰っていなかったせいでパンパンなリュックを背負って帰るだけだ。

 ……結局、何も言えないままか。


 左ポケットに何か入っていた。自分は基本的に右ポケットしか使わないので、入れたのは俺ではないはずだ。


 なんだこれ、紙きれ?


 〈HRが終わってから、12時半に、校舎裏にきてください。下倉〉


 相変わらずの丸い文字だ。

 何を言われようともこのチャンスを逃すわけにはいかない。

 神様も下倉もチャンスをありがとう。


 たとえ死ねって言われたとしても、俺は言ってやる。


 「翔、この前はごめんね」

「別に、大丈夫だけど」

 本人を前にすると頭真っ白。やばい、言えそうに無い。


 「ピアス……大事にするね。絶対」

「ありがとう」


 「初恋の、最後の思い出。これでいい?」

 下倉は清々(すがすが)しそうに笑っていた。

 いや、最後の思い出にされちゃ良くねーよ。


 「多分来年はクラスも分かれるし……これで、最後にするから」


 「幸せに、なってね。翔が幸せなら私はなんでもいいよ」


 「私は翔のこと大好きだったよ。でも…これで、諦める。だから、翔は……私が翔のこと好きだって想いよりも、それよりも強く好きになれる人見つけなきゃダメだからねっ」


 なんでこんなこと言いながらめちゃくちゃ笑っているんだよ。

 最高の笑みです!みたいな表情しているんだよ。


 「引き止めてごめん。じゃあね」

 下倉は走っていなくなった。


 追いかけないと。何も言えてないじゃん。


 校門の外まで走った。背中が遠い。あいつ逃げ足早すぎるんだよ。

 俺は駅まで走った。でも下倉に追いつけない。


 なんで俺は計画的に教科書を持って帰らないんだ。この背中の、10キロはありそうなリュックさえなければ余裕で追いつけるはずなのに。


 下倉は改札を通ってしまった。俺も急いで改札を通る。

 とりあえず、下倉が電車に乗ってしまう前に。


 良かった。電車はあと5分は来ない。

 ホームに立っているはずの下倉を探す。


 「綾ぁあっっっ!!」


 俺はスマホを弄っていた下倉に後ろから抱きついた。

 名前呼びなんかしたこと無い。勢いってやつだ。


 コツン、とコンクリートで出来たホームの床に固い音。

 下倉は驚きのあまりスマホを落としてしまったようだ。悪い。壊れてたら弁償するから。


 「だだだ誰ぇ!?」

「……俺」

「え、翔!?!?」

「俺が幸せならなんでも良いんだな?」

「そ、そうだけど」

 下倉は困惑しまくっている。

 俺は下倉の耳元で、囁き以上日常会話以下の音量で言う。


 「俺が好きなのは下倉なんだけど」





 「下倉が俺を幸せにしろよ」





 電車が来た。乗る人も降りる人も、俺と下倉を避けて通り過ぎていった。

お読みいただきありがとうございました。

これで、翔たちの高校2年生としての物語は終了します。


といいますか、都合上次の話でいきなり5年経ちます。

5年の間の話も書きたいのですが、多分それをやるとダラダラと続いてしまうので……。


次回も読んでくださいね!あと、ブクマ・評価・感想頂けると嬉しいです!!


次の次の次の次の回くらいに未羽が再び登場します。

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