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20年後に会った元カノ、昨日別れた元彼。  作者: 逢坂 遥
第四章 三月 終わりははじまり
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071_翔に再び惚れるまで 【綾目線】

 中二。翔との再会と同じ年。

 いじめが起こった。


 この頃の私は「女王」なんかではなかった。

 頭の良さは上の下くらい、運動神経は文化部平均以上運動部平均以下ってところ、顔面は自分で評価するなら中の上くらい。

 どこにでもいる普通の子。


 いじめられてた子は悪くない。確か、「イケメンに告られてむかつく」みたいな理由が最初だったと思う。


 でも私は何もすることが出来なかった。言われるままに、無視を続けるしかなかったのだ。


 よくある学校の縮図だ。

 「いじめられてる子を庇う子」は、上層部からすれば邪魔な存在でしかない。

 結果、その子までターゲットになる。

 それが怖くて怖くてたまらなかった。


 ある日。いじめられてた子の弁当をぐちゃぐちゃにされた。

 教室は、「さすがにやりすぎだ」と静まり返った。

 しかし誰もそれに関わろうとはしなかった。

 ただ一人を除いて。


 翔は、その子に、あとでこっそりメロンパンをあげていた。わざわざ教室から離れた場所まで連れて行って。


 私は、惚れ直した。

 冷え切ってしまったかと思える彼の心は、まだ優しさを忘れていなかった。


 その姿に、クラスは上層部も含め変わった。


 一部の人は、翔に優しくされたということに嫉妬して、さらにいじめようとした。

 しかしその他クラスメートは『おかしいんじゃないか』と思い、輪に入れたり話したり一軍の子たちから守ってあげたり、行動する人が増えた。一軍だから、と恐れることもなくなった。

 あと、一軍の中に翔のことを本気で好きな子がいた。彼女は翔に嫌われるのを恐れていじめをやめたらしい。


 いじめのターゲットの子は転校してしまった。けれど、翔のその行動でクラスは少しだけでも変わることが出来た。


 それから、私はギャルになることに決めた。


 それも突飛な話だろう。でも理由ならある。

 カーストの頂点に上り詰めるため。

 頂点に立つ者が平和を望めば、悪口など一言も言わず全員と仲良くできれば、もういじめは起こらないのではないか。

 というすごく単純な思考からだ。

 ……まあ、実はギャルに憧れていた、っていうのもあるけどね。


 ちなみに当時の学校内の序列を表すと、


・運動部エース(なお、県大会上位以上のレベルという条件付き)

・ギャル、不良(逆らうと何があるか分からないから)

・イケメン・美女かつコミュ力が高い人

がSランク。一軍のさらに上みたいな。クラスに5人程度。


・運動部レギュラー

・委員長タイプの真面目な優等生(ガリ勉除く)

・自身はBランク程度だけど、SランクやAランクの人の彼氏/彼女

がAランク。普通の一軍で、Sランクの取り巻きとかをする。クラスに10人前後。


・運動部補欠

・普通の文化部、運動が出来る帰宅部

・その他大勢(特に特筆すべきことがない)

がBランク。二軍。クラスの半分くらい。ちなみに私はここだった。


・オタク

・ガリ勉

・コミュ障、陰キャ

・そもそもいたっけこんな奴

がCランク。クラスに数名。


 こうなる。


 ところで翔は、どこにも属さないような人だった。

 翔がよく話している人を見てランクをつけるならBだし、運動部のレギュラーであるからAともいえるし、コミュ障っぽい感じもするからCともいえる。容姿だけで言うならばSSSランクくらいだろう。


 一匹狼。ランクなんか気にしていない。

 それが逆に、女子からの密かな人気の理由であったりはしたが。


 中3になる時、クラス替えして人間関係はほぼ強制的にリセットされる。

 とはいえ、なんとなく、この子は上でこの子は下、みたいなものは出来てしまうが。

 それでも、4月時点では『なんとなく』の範疇だ。


 運動部の男子や、ギャルっぽい女子と仲良くして上位グループに入ることができた。

 ギャルたちを真似て髪を巻いたりスカートを折ったり、ブロンドヘアに戻(・)し(・)たりしてみた。


 実は、ギャルになった理由はもう一つある。

 悪い印象でも良い。目立って、目立って、翔の視界に入りたかった。


 うざがられてるのは十分承知。それでも毎日挨拶は欠かさないし、誰よりも積極的に話しかける。


 積極的が過ぎるあまり中学の卒業式で無理矢理キスしちゃったのは少しだけ反省してるけど。あくまで少しだけ、ね。

お読みいただきありがとうございました。

次回も読んでいただけると幸いです。


日間ジャンル別ランキング圏外になった今もブクマがじわじわ伸びています。ありがとうございます!

感想・評価も頂けるとひっくり返って喜びます!


次回予告→綾の過去編最後。綾が「女王様」になるまで。

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