032_新学期
9月になりました。
高校の2学期の始まりって、私の住んでいる地域だと8月下旬なんですけどね。
文化祭編の序章的な役割の話?
まただるいだるい学校生活の幕開けだ。
この夏は高2の夏に相応しい夏だった。ベストオブ夏休み。
MWの出演する夏フェスには行けたし、未羽には再会したし、夏祭りで告白なんて青春全開なこともしたし、見事成就しデートにも何回か行った。
学校への気がかりは勉強がだるいことだけではなかった。
デート中に遭遇してしまった、下倉への対応に関しても俺は悩ませていた。
未羽と一緒の電車に乗り、また学校だねーみたいな新学期らしい会話をして電車を降り、遅刻こそしないものの決して早めとは言えない時間に学校へ向かった。
教室はすでにざわめいていた。話題の中に俺のことも含まれていた。
「あ、翔が来た!!」
まるで芸能人のスキャンダルをスクープするゴシップ記者のように俺のもとへ人が押し寄せた。
「彼女の名前は!」
「告白より先にキスしちゃったってマジ!?」
「何回デートした」
「下倉との関係は!?」
ああめんどくさい。俺、新学期は面倒事に巻き込まれる運命なのか?
「そもそも下倉は関係ないだろ」
それだけ言って無理やり人と人との間を突っ切って自席へ向かった。
下倉に対しても「翔、彼女出来たらしいけど」みたいな話をされていた。
俺に対してはともかく、だ。
俺から見ればハッピーでも下倉からすれば失恋だ。さすがにみんな無神経だ。
しかし綾の反応は俺の想像の正反対であった。
「ふーん。幸せそーじゃん。大丈夫、もう翔に纏わりつくのやめるから」
下倉は笑顔で受け流していた。
流石に俺は動揺した。今までうざいほど付きまとって好き好きアピールしてきた奴なのに、やけにあっさりしすぎている。
結局、その日下倉が俺に話しかけてくることは無かった。
今まで、必ずと言っていいほど挨拶はされたし、なにかしら話しかけられていたのに。
新学期早々、9月の半ばにテストが始まってしまうのが非常にだるいのだが、その後に文化祭が待ちかまえている。
まあ、所詮下倉や鈴谷のようなウェイが楽しむ場なんだけどな。
今日、なぜか3時間もあるホームルームのうちの1時間は、文化祭に関することをするらしい。
俺には関係のないことだ。お化け屋敷か食販か知らないけど、適当な雑用でもやればいいや。
俺は眠りについた。なぜか実行委員でもないのにクラスを取り仕切る下倉の甲高い声を聞きながら。
俺は謎の沈黙に違和感を覚え起きあがったとき、クラス全体の視線が俺に向いているのにわかった。
全体的にニマニマとした視線だった。不快。
教卓に座り白く、細長い足を組む下倉を睨んだ。
というか超ミニスカなのに足組んだらパンツ見えないのか?
うーん、足の組み方が絶妙すぎて見えないなー。って別になんの興味も無いぞ。
「翔、メイドさんに決まったから。よろしく」
は?
俺が?
メイド??
「嫌だ」
「あっれー?嫌って言ってもいい権利あげたのにさ、ずーーっとスヤスヤ寝てるから、起こすのも可哀想かなーって。だから決定事項」
残念ながら、このクラスでは下倉の言ったことが覆ることはほとんどない。いや、このクラスではなくとも覆らないかもしれない。
下倉は、頂点である。自分の意見がなんでも通ってしまうから、もちろんワガママ(例えば、席替えなら俺の近くにしてしまうとか)だって言い放題だ。
しかし、全体の迷惑になるような行為はしない。空気を読めるのだ。
だから下倉を心から嫌う人というのは、実は俺の知っている範疇ではいなかったりする。(もちろん、苦手意識がある人は何人も知っているし、俺だってそうだ)
下倉はクラス全体の雰囲気を作るのがとても上手い。こうなったら俺はもう何も言えない。詰み。
最悪、と呟くしか俺に道は残されていなかった。
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次回予告☞文化祭準備。お色気系の話入るかも。




