1. またですか…
アイス大好き女子高生聖女が帰ってきました。
今度はちゃんと恋愛しますように(笑)
よろしくお願いします。
「ん、ぎゃっ!」
「うぐっ!」
突然、落ちた。下には何か弾力のある堅いもの。
「いったあ…。何?」
自分の手が触れている弾力のある硬いものを見る。目が合った。
「「うわあああああああ!」」
弾力があって堅いものは人の腹筋だった。慌てて飛び退く。
「なっなんで、アルト王子がいるの!」
「それはこちらの台詞ですよ聖女様!それから、服!服着てください!」
人を露出狂みたいに言わないで欲しい。
「服着てるじゃん!」
「その様に肌を晒してはいけません!」
アルト王子は私から視線を逸らすように顔を外方向ける。
「え〜。私の世界じゃ普通なんだけど」
お風呂入って、風呂上がりのアイスを楽しもうと冷蔵庫からアイスを取り出して食べようとした瞬間、これだ…。
風呂上がりだったから、上はタンクトップ、ノーブラ。下は短パン。普通の女子高生ならおかしい格好ではない。
アルト王子は慌てて侍女さんを呼びつけた。んで、その侍女さんにがっつりなドレスを着せられてご機嫌斜めな私なのである。
場所を客室に移してアルト王子に事情を聞く。
「で、また私を召喚したのなんで?」
「召喚…した訳では無いのですが…」
「でも、現に私ここにいるよね?」
「これ、覚えてらっしゃいますか?」
アルト王子が一本の棒切れを差し出した。
「あ〜!アイスの当たり棒!それミリアムさんに渡したやつぅ!なんでアルト王子が持ってんのよ」
「ミリアム嬢が私に下さったのです」
「なんで?」
「…私が聖女様に会いたいと思っているとこぼしてしまっとのです。そうしたらミリアム嬢から『これは聖女様が下さった物。これに願いを掛ければ叶うかも知れませんわ』と言って私に譲って下さったのです」
その棒にそんな効果無いわ。当たりだからアイスは貰えるけど。
「で、その当たり棒に願ったら私が落ちて来たと?」
「そうです」
アルト王子は落ちて来た時の私の服を思い出したのか、顔を赤らめて横を向く。
「アルト王子はなんで私に会いたかったのさ。そんなに親しくなかったよね」
「聖女様に私の婚約者になって頂きたくて」
「ええっ!アルト王子って私の事好きだったの?」
「いいえ」
即答かよ。なんだよ期待させといてさ。
「じゃあなんでさ?」
「実は私の婚約話が持ち上がっているのですが、その相手が隣国の皇女殿下なのです。断る名目に聖女様との婚約が手っ取り早いので」
「もしかしてアルト王子ぃ、他に好きな子いるとか〜?」
「いえ、私も王家の人間。感情で妃を決めたりしません」
面倒くさいなあ…もう帰っちゃおうか。
「聖女様、帰ろうとか考えてます?」
…こいつ、私の心が読めるのか?
「いいえ、聖女様は顔に出やすいので、分かりやすいんです」
マジで心読まれてない?
「じゃあ、帰ってもいい?アイス食べたいんだ」
「だから、あくまでもお願いですよ。兄上とミリアム嬢の事を助けてくださった聖女様なら、私の事も助けてくださるのでは?と」
「買いかぶりだよ。カイル王子の時は面白そうだったからね。それにミリアムさん可愛かったし」
「では私も可愛くなったら助けてくれますか?」
にっこり笑って返してやるわ。
「無理!アルト王子には腹黒さが滲み出てるから」
「やはり、聖女様には効きませんか」
「何が?」
「お茶に薬入れてたんですがね」
お茶?さっき侍女さんが入れてくれたやつ?一口飲んじゃったじゃん。別に変な味はしなかったけど。
「何入れたのよ」
「惚れ薬です。私を好きになって貰って協力して頂こうかと」
「さいってい!」
こういう所がアルト王子が王に相応しい素質ってやつか。目的の為には手段を選ばないってトコ。
カイル王子には無理そうだもん。カイル王子は優し過ぎるんだよ。
「ふふっ、アルト王子って面白いヤツじゃん。分かった、協力してあげるよ」
「ありがとうございます。ちなみに惚れ薬は効いてますか?」
「欠片も。私は面白い事が好きなんだ。アルト王子を面白いと思ったから協力するだけ」
「ありがとうございます。では早速」
「なっ、何すんの?」
「大丈夫、ちょっと淑女教育を受けて頂くだけです」
「なんでよ〜」
「聖女様は些かお言葉が平民に近いものですからね。相手は腐っても皇族。そのままでは困ります」
「謀ったなシ◯ア!」
有無を言わさず侍女さんに連れ出された。後で絶対にアルト王子に仕返ししてやる〜ぅ!
ーーー ◇ ー ◇ ー ◇ ーーー
「聖女様の淑女教育の方はどうだ?」
側近のジルベルトに問うと、以外な答えが帰って来た。
「聖女様は素晴らしい能力をお持ちです。学問の方は異世界の方ですから歴史は一からですが、算術、経済学、語学は完璧です。寧ろ我々を凌駕するかと。淑女教育に関しても、教育を担当してくれた伯爵夫人から絶賛されています」
「へえ…案外、いい拾い物だったのかもね」
「アルト王子、聖女様を妃になさっても遜色ないと思われます。寧ろ聖女という立場は国民から歓迎されるでしょう」
「ふ〜ん…国民の支持は得られるか」
「はい」
思わず笑みが溢れる。彼女がいれば退屈しないですみそうだ。
先ずは、隣国の皇女殿下の思惑を探らなくてはな。過去に再三、聖女派遣の要請があったが、その頃には聖女様は異世界に戻られていた。
今回の婚約の申し込みは皇女殿下自身が強く望んだと聞く。彼の国とは婚姻によって、関係強化を図らなければならない状態ではない。
聖女絡みなのは間違いないだろう。
来週には隣国の皇女殿下が私との交流を名目に我が国にやって来る。
「ふふふっ、あ〜楽しみだ」
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